急性毒性
経口
GHS分類: 区分外 ラットのLD50値として、1,630 mg/kg (環境省リスク評価第10巻 (2012))、4,310 mg/kg (雄)、3,270 mg/kg (雌) (IRIS Tox. Review (2003))、4,050 mg/kg (SIDS (2011)) との4件の報告がある。1件が区分3に3件が区分外 (国連分類基準の区分5) に該当するので、最も多くのデータが該当する区分外 (国連分類基準の区分5) とした。
経皮
GHS分類: 区分外 ラットのLD50値 (OECD TG 402) として、> 2,000 mg/kg (SIDS (2011))、ウサギのLD50値として、6,130 mg/kg (雄)、4,790 mg/kg (雌) (IRIS Tox. Review (2003)) との報告に基づき、区分外とした。
吸入:ガス
GHS分類: 分類対象外 GHSの定義における固体である。
吸入:蒸気
GHS分類: 分類対象外 GHSの定義における固体である。なお本物質と1-メチルナフタレンとの2:1混合物の飽和蒸気をラットの6時間ばく露させた結果、毒性影響はみられなかったとの報告 (IRIS Tox. Review (2003)) がある。
吸入:粉じん及びミスト
GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。
皮膚腐食性及び皮膚刺激性
GHS分類: 区分外 ウサギを用いた試験において本物質を4時間又は24時間閉塞適用した結果、4時間適用群では回復性のある弱い発赤と浮腫がみられ、24時間適用群では中等度から強度の刺激性がみられたとの報告がある (BUA 47 (1990))。また、本物質と1-メチルナフタレンの混合物をウサギの皮膚に適用した結果、刺激性はみられたが腐食性はみられなかったとの記載がある (IRIS Tox. Review (2003))。なお、具体的な情報ではないが、本物質は皮膚刺激性を持つのとの記載があるものの、刺激の程度について記載はない (環境省リスク評価第10巻 (2012)、HSDB (2015))。以上より、4時間適用の結果軽度の刺激性がみられたとの結果から、区分外 (国連分類基準の区分3) とした。
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性
GHS分類: 区分2 本物質は眼に対して刺激性を持つとの記載から (環境省リスク評価第10巻 (2012)、HSDB (2012))、区分2とした。なお、本物質と1-ナフタレンの混合物をウサギの眼に適用した結果、刺激性はみられたが腐食性はみられなかったとの記載がある (IRIS Tox. Review (2003))。
呼吸器感作性
GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。
皮膚感作性
GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。なお、本物質の含む一般流通品 (本物質60%、1-メチルナフタレン40%) を用いたマキシマイゼーション試験 (OECD TG406、GLP適合) において感作性はみられなかったとの報告がある (BUA 240 (2005))。
生殖細胞変異原性
GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。すなわち、in vivoデータはなく、in vitroでは細菌の復帰突然変異試験、哺乳類培養細胞の染色体異常試験で陰性、姉妹染色分体交換試験で陽性結果があるが、本物質はin vitroで変異原性なしと評価されている (SIDS (2011)、環境省リスク評価第10巻 (2012)、ACGIH (7th, 2007)、IRIS Tox. Review (2003)、ATSDR (2005)、NTP DB (2015))。
発がん性
GHS分類: 分類できない マウスに81週間混餌投与した試験において、雄の低用量群で肺腺腫の発生頻度の統計的に有意な増加がみられたが、用量相関性のない変化であった (ACGIH (7th, 2007)、ATSDR (2005))。国際機関による発がん性分類結果としては、EPAが1991年に 「I (Inadequate to assess human carcinogenic potential)」 に (IRIS Summary (2015))、ACGIHが2006年に本物質と異性体の1-メチルナフタレンに対し、「A4」に分類している (ACGIH (7th, 2007))。以上より、分類ガイダンスに従い、本項は「分類できない」とした。
生殖毒性
GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。なお、マウスに81週間混餌投与した試験で、113.8 mg/kg/day相当量まで雌雄の生殖器官への影響はみられないとの報告がある (ATSDR (2005))。
特定標的臓器毒性(単回ばく露)
GHS分類: 区分3 (気道刺激性、麻酔作用) 本物質は気道刺激性がある (ACGIH (7th, 2007)、環境省リスク評価第10巻 (2012)、HSDB (2015))。実験動物では、マウスの吸入ばく露で、50%呼吸数低下濃度 (RD50) が67 mg/m3 (0.067 mg/L) であり、刺激性に起因して呼吸変化が生じたとの報告がある (ACGIH (7th, 2007)、SIDS (2011)、環境省リスク評価第10巻 (2012))。 ラットの吸入ばく露 (0.35~0.53 mg/L) で、熱刺激に対する前脚なめ反応時間が増加したため痛覚低下としたとの報告がある (ATSDR (2005)、SIDS (2011)、IRIS Tox. Review (2003)、BUA 240 (2005))。この痛覚低下については、麻酔作用と判断した。 以上より、区分3 (気道刺激性、麻酔作用) とした。
特定標的臓器毒性(反復ばく露)
GHS分類: 区分2 (肺) 実験動物では、マウスを用いた81週間混餌投与毒性試験において、雄で54.3 mg/kg/day、雌で50.3 mg/kg/dayの用量で、肺の肺胞蛋白症がみられている (ATSDR (2005)、ACGIH (7th, 2007)、環境省リスク評価第10巻 (2012))。この用量は区分2の範囲であった。 したがって、区分2 (肺) とした。 なお、1-メチルナフタレンと2-メチルナフタレンの混合物をマウスに2回/週の頻度で30週間 (総投与量: 119 mg/kg)、あるいは61週間 (総投与量: 30、119 mg/kg) 経皮投与した試験において、いずれも119 mg/kgで肺胞蛋白症がみられ、死亡例においては死因と考えられる内因性脂質性肺炎 (リポイド肺炎) がみられている (ATSDR (2005)、ACGIH (7th, 2007)、環境省リスク評価第10巻 (2012))。
吸引性呼吸器有害性
GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。