安全データシート

N-(ヒドロキシメチル)アクリルアミド

改訂日:2024-01-24版番号:1

1. 化学品及び会社情報

製品識別子

  • 製品名: N-(ヒドロキシメチル)アクリルアミド
  • CB番号: CB3182194
  • CAS: 924-42-5
  • 同義語: N-メチロールアクリルアミド,N-(ヒドロキシメチル)アクリルアミド

物質または混合物の関連する特定された用途、および推奨されない用途

  • 関連する特定用途: 繊維・皮革・樹脂改質剤、塗料・接着剤原料 (NITE-CHRIPより引用)
  • 推奨されない用途: なし

会社ID

  • 会社名:Chemicalbook
  • 住所:北京市海淀区上地十街匯煌国際1号棟
  • 電話:400-158-6606

2. 危険有害性の要約

GHS分類

分類実施日(物化危険性及び健康有害性)
R4.3.15、政府向けGHS分類ガイダンス(令和元年度改訂版(Ver2.0))を使用 ※一部、ガイダンス(H22.7版) (GHS 3版, JIS Z 7252:2009)
物理化学的危険性
-
健康に対する有害性
急性毒性(経口)   区分4
眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性   区分2
発がん性   区分1B
生殖毒性   区分1B
特定標的臓器毒性 (単回ばく露)   区分2(神経系)
特定標的臓器毒性 (反復ばく露)   区分2(神経系)
分類実施日(環境有害性)
ガイダンス(H22.7版) (GHS 3版, JIS Z 7252:2009)
環境に対する有害性
-

他の危険有害性

施錠して保管すること。
内容物や容器を、都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に委託す
ること。
使用前に取扱説明書を入手すること。
すべての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
粉じん、煙、ミスト、蒸気、スプレーを吸入しないこと。
この製品を使用する時に、飲食または喫煙をしないこと。
汚染された作業衣は作業場から出さないこと。
取扱い後は手や顔をよく洗うこと。
保護手袋、保護衣、保護面を着用すること。
飲み込んだ場合:直ちに医師に連絡すること。口をすすぐこと。
皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。皮膚刺激または発疹が生じ
た場合:医師の診断、手当てを受けること。汚染された衣類を脱ぐこと。そし
て再使用する場合には洗濯をすること。
眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。コンタクトレンズを着用して
いて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。眼の刺激が続
く場合は、医師の診断、手当てを受けること。
暴露または暴露の懸念がある場合:医師に連絡すること。

3. 組成及び成分情報

  • 化学物質/混合物の区別: : 化学物質
  • 化学名又は一般名: : N-(ヒドロキシメチル)アクリルアミド
  • 濃度又は濃度範囲: : >98.0%(T)
  • CAS RN: : 924-42-5
  • 別名 : N-Methylolacrylamide
  • 化学式: : C4H7NO2
  • 官報公示整理番号 化審法: : (2)-1022
  • 官報公示整理番号 安衛法: : 公表化学物質

4. 応急措置

吸入した場合:

空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。医師に連絡す
ること。

皮膚に付着した場合:

直ちに、汚染された衣類をすべて脱ぐこと、取り除くこと。多量の水と石鹸で
洗うこと。医師に連絡すること。

目に入った場合:

水で数分間注意深く洗うこと。コンタクトレンズを容易にはずせる場合は外し
て洗うこと。医師に連絡すること。

飲み込んだ場合:

直ちに医師に連絡すること。口をすすぐこと。

応急措置をする者の保護:

救助者はゴム手袋、密閉ゴーグルなどの保護具を着用する。

5. 火災時の措置

適切な消火剤:

粉末, 泡, 水噴霧, 二酸化炭素

火災時の特定危険有害性:

火災時、温度上昇などにより急激に重合し、容器が破裂する恐れがある。安全な場所から消火すること。燃焼や高温により分解し、有毒なヒュームを発生する恐れがあるので注意する。

特有の消火方法:

消火作業は、風上から行い、周囲の状況に応じた適切な消火方法を用いる。関係者以外は安全な場所に退去させる。周辺火災時、容器に水を噴霧して冷却する。安全に対処できるならば着火源を除去すること。

消火を行う者の保護:

消火作業の際は、必ず保護具を着用する。

6. 漏出時の措置

人体に対する注意事項、保護具及び緊急時措置:

個人用保護具を着用する。
漏出場所の風上から作業し、風下の人を退避させる。
漏出した場所の周辺に、ロープを張るなどして関係者以外の立入りを禁止す
る。

環境に対する注意事項:

製品が排水路に排出されないよう注意する。

封じ込め及び浄化の方法及び機材:

粉塵の飛散に注意しながら掃き集め、密閉容器に回収する。
付着物、回収物などは、関係法規に基づき速やかに処分する。

7. 取扱い及び保管上の注意

取扱い

技術的対策:
取扱いは換気のよい場所で行う。適切な保護具を着用する。粉塵が飛散しないように注意する。取扱い後は手や顔などをよく洗う。
注意事項:
できれば、密閉系で取扱う。粉塵やエアゾールが発生する場合には、局所排気を用いる。
安全取扱い注意事項:
あらゆる接触を避ける。

保管

適切な保管条件:
容器を密栓して冷蔵庫に保管する。施錠して保管する。酸化剤などの混触危険物質から離して保管する。
避けるべき保管条件:
熱, 光
安全な容器包装材料:
法令の定めるところに従う。

8. ばく露防止及び保護措置

設備対策:

密閉化した設備又は局所排気装置を設ける。取扱い場所の近くに洗眼及び身体洗浄用の設備を設ける。

管理濃度:

設定されていない。

保護具

呼吸用保護具:
防塵・防毒マスク、自給式呼吸器、送気マスク等。
手の保護具:
不浸透性の手袋。
眼、顔面の保護具:
保護眼鏡(ゴーグル型)。状況に応じ保護面。
皮膚及び身体の保護具:
不浸透性の保護衣。状況に応じ、保護長靴。

9. 物理的及び化学的性質

物理的状態

物理状態
固体 (20℃、1気圧) (GHS判定)
白色または黄色
臭い
特異臭

融点/凝固点

75 ℃(ICSC(2006)) 74~75 ℃(GESTIS(2022)) 74.5 ℃(PubChem(2022))

沸点、初留点及び沸騰範囲

277 ℃(ICSC(2006))

可燃性

可燃性(ICSC(2006))

爆発下限界及び爆発上限界/可燃限界

データなし

引火点

データなし

自然発火点

データなし

分解温度

データなし

pH

データなし

動粘性率

データなし

溶解度

水: 188 g/100ml(20℃)(ICSC(2006)) 水に可溶(GESTIS(2022)) 水: <1 mg/mL(68.9°F)(PubChem(2022))

n-オクタノール/水分配係数

Log Kow: -1.18(計算値)(ICSC(2006))

蒸気圧

0.03 Pa(25℃)(ほとんどない)(ICSC(2006))

密度及び/又は相対密度

1.074 g/cm³(20℃)(ICSC(2022)) 1.185 (23℃)(危険物災害等支援システム(2022))

相対ガス密度

データなし

粒子特性

データなし

10. 安定性及び反応性

反応性:

情報なし

化学的安定性:

熱、光などの影響や過酸化物などの重合開始剤との接触により重合することがある。

危険有害反応可能性:

特別な反応性は報告されていない。

避けるべき条件:

熱, 光

混触危険物質:

酸化剤, 酸

危険有害な分解生成物:

二酸化炭素, 一酸化炭素, 窒素酸化物

11. 有害性情報

急性毒性

経口
ラットLD50値;563 mg/kg bw(NTP TR352(1989))に基づき区分4とした。
経皮
ウサギLD50値:約16000 mg/kg bw(NTP TR352(1989))に基づき区分に該当しないとした。
吸入: ガス
GHSの定義による固体である。
吸入: 蒸気
データなし。
吸入: 粉じん及びミスト
ラットLC50値として>0.319 mg/L/6h(= 0.478 mg/L/4h)(IUCLID(2000))が得られているが、このデータのみでは区分を特定できないので分類できない。なお、試験濃度(0.319 mg/L)が飽和蒸気圧濃度(0.001 mg/L)より高いので粉塵とみなした。

皮膚腐食性及び皮膚刺激性

ウサギの皮膚に2000-16000 mg/kgを24時間適用した試験で、軽度の刺激性~明確な刺激性(mild to marked irritation)との結果(NTP TR352(1989))が得られているが、極めて高い用量の4時間以上の適用であり、通常の試験方法では、より軽度の刺激性が示唆されるためJIS分類基準の区分に該当しない(国連分類基準の区分3)とした。

眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性

ウサギを用いた試験で、軽度の刺激性~明確な刺激性(mild to marked irritation)との結果(NTP TR352(1989))に基づき区分2とした。なお、ウサギの結膜嚢に3 mgを適用した別の試験では軽度の刺激性(slightly irritating)が報告されている(IUCLID(2000))。

呼吸器感作性

データなし。

皮膚感作性

データなし。

生殖細胞変異原性

マウスに経口または腹腔内投与による骨髄細胞を用いた小核試験(体細胞in vivo変異原性試験)では陰性(NTP DB(Access on July. 2010))の結果に基づき区分に該当しないとした。in vitro試験としてはエームス試験で陰性、CHO細胞を用いた染色体異常試験では陽性の結果(NTP DB(Access on July. 2010))がそれぞれ報告されている。

発がん性

【分類根拠】 (1)より、動物種1種(マウス)であるが適正な試験で雌雄両性に悪性を含む腫瘍(雄雌の細気管支-肺胞上皮腺腫とがんの合計)の発生増加が認められたことから、動物実験において発がん性の十分な証拠があると判断し、区分1Bとした。新たな評価に基づき、分類結果を変更した。旧分類からEUでGHS区分が変更されたため、発がん性項目のみ見直した(2021年)。
【根拠データ】 (1)マウスを用いた2年間経口投与試験において、25 mg/kg/day及び50 mg/kg/dayの投与で、ハーダー腺(雄雌の腺腫)、肝臓(雄の肝細胞腺腫とがんの合計、雌の肝細胞腺腫)、肺(雄雌の細気管支-肺胞上皮腺腫とがんの合計)及び卵巣(雌の良性顆粒膜細胞腫)の腫瘍の発生頻度が増加したと報告されている(NTP TR352 (1989)、IARC 60 (1994)、CLH report (2017))。 (2)(1)より、NTP及びEUはマウスに対する発がん性の明らかな証拠、IARCはマウスに対する限定的な証拠と結論付けている(NTP TR352 (1989)、IARC 60 (1994)、CLH report (2017))。 (3)国内外の評価機関による既存分類結果として、IARCは(1)より実験動物により限定的な証拠があるもののヒトでの知見がないためGroup 3に (IARC 60 (1994))、EUは(1)に加え、構造類似体であるアクリルアミド(CAS番号 79-06-1)がCarc. 1Bに分類されていることから、本物質をCarc. 1Bに(CLP分類結果 (Accessed Jan. 2022))に分類している。
【参考データ等】 (4)ラットを用いた2年間経口投与試験において、12 mg/kg/dayまでの投与で発がん性の影響はみられなかったとの報告がある(NTP TR352 (1989)、IARC 60 (1994)、CLH report (2017))。

生殖毒性

継続交配による生殖評価(RACB)のプロトコールに従いマウスの二世代にわたり経口投与した生殖試験において、F0世代では明確な全身毒性はなく、F0およびF1世代のマウスで1腹当り仔数の減少、出産間隔の延長、着床後胚損失率の増加が見られ、試験物質のばく露が中等度の生殖毒性を生じさせたと述べられている(NTP RACB 90017 abstract(1993))。また、本物質には優性致死作用があり、F0世代の生殖毒性は全て優性致死作用に関連している可能性があると記述されている(NTP RACB 90017 abstract(1993))。以上より、親動物が一般毒性を示さない用量で生殖への影響が認められたことから、区1Bとした。

特定標的臓器毒性 (単回ばく露)

ラットおよびマウスで本物質がアクリルアミドによる場合と同種の末梢神経障害を引き起こした報告(IARC 60(1994))があり、また、マウスに経口投与後、LD50値の範囲(350-510 mg/kg)で運動失調、疼痛・正向反射の消失、死亡前に軽度の強直性間代性痙攣が観察された(IUCLID(2000))ことから、区分2(神経系)とした。なお、吸入および経皮投与ではガイダンス値範囲に相当する用量での悪影響は記載されていない(IUCLID(2000))。

特定標的臓器毒性 (反復ばく露)

ラットおよびマウスを用いた13週間反復経口投与試験において、ラットでは50 mg/kg/day以上で後肢の運動失調が後肢麻痺に進行し、神経行動学的検査では12.5 mg/kg/day以上で前後肢の握力および驚愕反応の低下と25 mg/kg/day以上で脳幹、脊髄および末梢神経の軸糸とミエリン鞘の変性の発生増加が見られた(NTP TR352(1989))。マウスでは25 mg/kg/day以上で前肢の握力低下、100 mg/kg/dayで驚愕反応過剰、協調運動低下が見られた(NTP TR352(1989))。以上の影響はガイダンス値区分2に相当する用量で発現していることから、区分2(神経系)とした。なお、上述のラット13週間反復経口投与試験では、25 mg/kg/day以上で膀胱拡張、膀胱粘膜の炎症、出血および浮腫が認められたが、二次的な影響であろうとの記載がある(NTP TR352(1989))ことから分類根拠に採用しなかった。

誤えん有害性*

データなし。

* JIS Z7252の改訂により吸引性呼吸器有害性から項目名が変更となった。

12. 環境影響情報

生態毒性:

魚類:
情報なし
甲殻類:
情報なし
藻類:
情報なし

残留性・分解性:

16 - 109 % (by BOD) , 99 - 100 % (by TOC) , 100 % (by HPLC)*既存化学物質安全性点検による判定結果:良分解性

生体蓄積性(BCF):

情報なし

土壌中の移動性

オクタノール/水分配係数:
情報なし
土壌吸着係数(Koc):
情報なし
ヘンリー定数(PaM 3/mol):
9.6 x 10-7

オゾン層への有害性:

情報なし

13. 廃棄上の注意

適切な保護具を着用する。
地方条例や国内規制に従う。
焼却処理する場合には、可燃性溶剤に溶解または混合した後、アフターバーナー及びスクラバーを備えた焼
却炉で焼却する。
空容器を処分する時は、内容物を完全に除去した後に行う。
処理施設がないなどの理由で廃棄できない場合は、許可を受けた産業廃棄物処理業者に委託する。

14. 輸送上の注意

国連番号:

2811

品名(国連輸送名):

Toxic solid, organic, n.o.s.

国連分類:

クラス6.1(毒物)

容器等級:

輸送の特定の安全対策及び条件:

運搬に際しては容器に漏れのないことを確かめ、転倒、落下、損傷のないように
積み込み、荷崩れの防止を確実に行い、法令の定めるところに従う。

15. 適用法令

労働安全衛生法

該当しない

化学物質排出把握管理促進法(PRTR法)

該当しない

毒物及び劇物取締法

該当しない

16. その他の情報

略語と頭字語

ADR: 道路による危険物の国際輸送に関する欧州協定
CAS: ケミカルアブストラクトサービス
EC50: 有効濃度 50%
IATA:国際航空運送協会
IMDG: 国際海上危険物
LC50: 致死濃度 50%
LD50: 致死量 50%
RID: 鉄道による危険物の国際運送に関する規則
STEL: 短期暴露限度
TWA: 時間加重平均

参考文献

【1】労働安全衛生法 ウェブサイト https://www.mhlw.go.jp
【2】化学物質審査規制法(化審法)https://www.env.go.jp
【3】化学物質排出把握管理促進法(PRTR法) https://www.chemicoco.env.go.jp
【4】NITE化学物質総合情報提供システム (NITE-CHRIP)https://www.nite.go.jp/
【5】カメオケミカルズ公式サイト http://cameochemicals.noaa.gov/search/simple
【6】ChemIDplus、ウェブサイト http://chem.sis.nlm.nih.gov/chemidplus/chemidlite.jsp
【7】ECHA - 欧州化学物質庁、ウェブサイト https://echa.europa.eu/
【8】eChemPortal - OECD 化学物質情報グローバルポータル、ウェブサイトhttp://www.echemportal.org/echemportal/index?pageID=0&request_locale=en
【9】ERG - 米国運輸省による緊急対応ガイドブック、ウェブサイトhttp://www.phmsa.dot.gov/hazmat/library/erg
【10】有害物質に関するドイツ GESTIS データベース、ウェブサイトhttp://www.dguv.de/ifa/gestis/gestis-stoffdatenbank/index-2.jsp
【11】HSDB - 有害物質データバンク、ウェブサイト https://toxnet.nlm.nih.gov/newtoxnet/hsdb.htm
【12】IARC - 国際がん研究機関、ウェブサイト http://www.iarc.fr/
【13】IPCS - The International Chemical Safety Cards (ICSC)、ウェブサイトhttp://www.ilo.org/dyn/icsc/showcard.home
【14】Sigma-Aldrich、ウェブサイト https://www.sigmaaldrich.com/
免責事項:

本MSDS中の情報は指定された製品にのみ適用され、特に規定がない限り、本製品とその他の物質の混合物には適用されません。本MSDSは、製品使用者の適切な専門的なトレーニングを受けた者にのみ製品安全情報を提供します。本MSDSの使用者は、本SDSの適用性について独自に判断しなければならない。本MSDSの著者は、本MSDSの使用によるいかなる傷害にも責任を負わない。

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