急性毒性
経口
ラットのLD50値は、1854 mg/kg(雄)、1945 mg/kg(雌)(OEDC TG401、GLP)(厚生省報告 (Access on May. 2012))に基づき区分4とした。GHS分類:区分4
経皮
データ不足。なお、モルモットのLD50値は、>1000 mg/kgとの報告があるが、区分を特定できない。GHS分類:分類できない
吸入:ガス
GHSの定義における固体である。GHS分類:分類対象外
吸入:蒸気
データなし。GHS分類:分類できない
吸入:粉じん及びミスト
データなし。GHS分類:分類できない
皮膚腐食性及び刺激性
モルモットの24時間閉塞適用した経皮ばく露試験(用量:250、500、1000 mg/kg)で、パッチ除去後、中等度の浮腫と軽度の紅斑が見られ、1週間後に落屑が認められたが、試験終了1週間後には回復し、軽微な刺激性(slightly irritant)との結果(SIDS (2003))により区分外(国連分類基準の区分3)とした。GHS分類:区分外
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性
ウサギを用いた眼刺激性試験(OECD TG405)で、中等度の刺激性(moderately irritating)の結果があり(SIDS (2003))、別のウサギ6匹に100 mgを適用した眼刺激性試験で、適用1時間後、結膜と瞬膜に僅かな発赤が認められたが、24時間後には全ての動物で回復し、2週間の観察期間中も異常は見られず、結果は軽微の刺激性(slightly irritating)であった(SIDS (2003))ことから区分2とした。GHS分類:区分2
呼吸器感作性
データなし。GHS分類:分類できない
皮膚感作性
モルモットを用いた感作性試験で、適用後24時間と48時間に10匹中1匹で重度の紅斑が見られ、結果は曖昧であったとの報告があるが、OECDで認められた試験法ではないためデータ不足で分類できない。GHS分類:分類できない
生殖細胞変異原性
in vivo試験のデータがないため分類できない。なお、in vitro試験としては、エームス試験(OECD TG471,472、GLP)で陰性、CHL細胞を用いた染色体異常試験(OECD TG473、GLP)で陽性の報告がある(厚生省報告 (Access on May. 2012))。GHS分類:分類できない
発がん性
データなし。GHS分類:分類できない
生殖毒性
ラットの強制経口投与による反復投与毒性・生殖発生毒性併合試験(OECD TG422、GLP) において、親に一般毒性が示された用量で、雌雄親の生殖能に影響はなく、また仔の発生について、総出産仔数、出生率、性比、新生仔の体重、生存率および形態に対照群と比較して変化は認められなかった(厚生省報告 (Access on May. 2012))。しかし、催奇形性を含む仔の発生に対してのデータが不十分であるためデータ不足で分類できない。GHS分類:分類できない
特定標的臓器毒性(単回ばく露)
ラットを用いた急性経口毒性試験(用量:819~2500 mg/kg)で、主な中毒症状として自発運動の低下、腹臥位、筋弛緩、眼険下垂、呼吸深大化、立毛、体温降下、流涙および全身蒼白が認められ、これらの症状は、生存動物では投与後1日から5日までに概ね回復し、13日には全てが回復した。死亡は雄の1280 mg/kg以上、雌の1600 mg/kg以上で見られ、症状は上記の症状が重度化、呼吸が微弱となり死亡し、剖検では腺胃に点状出血が観察され、病理組織学検査で腺胃の粘膜のびらんが確認されたが、生存動物では腺胃に異常は認められなかった(厚生省報告 (Access on May. 2012))。以上から臓器を特定するには困難であるが、上記の症状および死亡は区分2のガイダンス値内で認められていることから区分2(全身毒性)とした。GHS分類:区分2(全身毒性)
特定標的臓器毒性(反復ばく露)
ラットの強制経口投与による反復投与毒性・生殖発生毒性併合試験(用量:8, 25, 80, 250 mg/kg/日)(OECD TG422、GLP)で、80 mg/kg(90日換算:40 mg/kg/日)以上の雄の投与群で、赤血球数の減少、平均赤血球容積の増加、250 mg/kg(90日換算:125 mg/kg/日)で平均赤血球血色素量および網状赤血球数の増加、メトヘモグロビン含有率の増加傾向が認められた。病理組織学検査では、80 mg/kg(90日換算:40 mg/kg/日)以上の投与群の雌雄で、肝臓および脾臓にヘモジデリン沈着の程度の増加、250 mg/kg(90日換算:125 mg/kg/日)群で脾臓に髄外造血の程度の増加が認められ、本物質の反復投与により溶血性貧血が惹起されることが確認されたと報告されている(厚労省報告 (Access on May. 2012))。以上から症状はガイダンス値区分2の範囲で示されていることから区分2(血液)とした。GHS分類:区分2(血液)
吸引性呼吸器有害性
データなし。GHS分類:分類できない