急性毒性
経口
ラットLD50値: 560、600、965mg/kg bw (DFGMAK-Doc. Vol.2 (1991))。(GHS分類:区分4)
経皮
ラットLD50値: >10000mg/kg(HSDB (2003))。(GHS分類:区分外)
吸入
吸入(粉じん・ミスト): ラットLC50値: 1.9 mg/L/3h(= 1.43 mg/L/4h)(PATTY (5th, 2001))。なお、急性毒性値(1.9mg/L)が常温での飽和蒸気濃度(0.000158 mg/L)より高いことよりミスト/粉じんの基準値を適用した。(GHS分類:区分4)
吸入(蒸気): データなし。(GHS分類:分類できない)
吸入(ガス): GHSの定義における固体である。(GHS分類:分類対象外)
皮膚腐食性・刺激性
ウサギを用いた試験において刺激性なし(DFGMAK-Doc. Vol.2 (1991))。ウサギを用いた他の試験で紅斑、浮腫共に観察した時間全てでスコア:0(Keml-Riskline (2000))。(GHS分類:区分外)
眼に対する重篤な損傷・刺激性
ウサギを用いた試験において角膜混濁、結膜、虹彩の発赤が認められた(DFGMAK-Doc. Vol.2 (1991))。なお、ウサギを用いた他の試験で刺激性スコア:81.0、26日後のスコア:31であるが、この値は砂によるような機械的刺激である(HSDB (2003))。(GHS分類:区分2)
呼吸器感作性又は皮膚感作性
皮膚感作性:モルモットを用いたマキシマイゼーション試験で、弱い陽性を示した(1/20)(Keml-Riskline (2000))。別のモルモットのマキシマイゼーション試験で陰性(DFGMAK-Doc. Vol.2 (1991))なお、工業品を用いたモルモットのマキシマイゼーション試験では弱い陽性(3/20)を示したとの報告もあり、職業ばく露による感作性が示唆される(DFGMAK-Doc. Vol.2 (1991))。(GHS分類:データ不足で分類できない。)
呼吸器感作性:データなし。(GHS分類:分類できない)
生殖細胞変異原性
経口投与したマウスの骨髄細胞を用いた小核試験(OECDガイドラインに準拠)(体細胞 in vivo 変異原性試験)で陰性(KemI-Riskline (2000))。なお、in vitro試験では、エームス試験、CHO細胞の染色体異常試験で陽性(NTP DB (Access on Sep. 2010))。(GHS分類:区分外)
発がん性
マウスを用いた104週間の混餌投与試験において雄には腫瘍発生が認められず、雌の低投与群に肺胞気管支ガンが有意に認められたが、用量依存性がなく、同試験機関の背景データ内であるため投与による影響とはいえない(NTP TR 88 (1978))。 またラットを用いた78週間の混餌投与試験において雄の高投与群の肝臓小結節に新生物が有意に認められたが、同試験機関の背景データと比較すると投与による影響とはいえない。雄の全投与群に脳腫瘍が見られたが発がん性と結論付けるには充分ではない。雌の子宮内膜間質ポリープは用量依存性が認められず投与による影響とはいえない(NTP TR 88 (1978))。(DFGMAK-Doc. Vol.2 (1991))。(GHS分類:データ不足で分類できない。)
生殖毒性
ラットの雄、雌に42日間経口投与した試験において、交尾率、受胎率、妊娠黄体数、着床痕数、着床率、出生仔数、生存仔数、分娩率、出生率、性比に影響はなく性機能及び生殖能に対する悪影響は認められなかった(経産省生殖試験 (2007))(GHS分類:データ不足で分類できない。)
特定標的臓器・全身毒性(単回ばく露)
ラットを用いた吸入毒性試験(LC50: 1.43 mg/L/4h)において1.0 mg/l/4hから5.0 mg/l/4hの投与量で、深い腹式呼吸と喘ぎの症状、肺に重篤な出血が認められた(HSDB (2003)) 。ラットの経口投与試験において正向反射の抑制、痛覚欠除が認められた(HSDB (2003))。(GHS分類:区分2(呼吸器)、区分3(麻酔作用))
特定標的臓器・全身毒性(反復ばく露)
ラットを用いた8週間の混餌投与試験における影響は投与量10 mg/kg bw/dayから100 mg/kg bw/dayの範囲外で体重増加量の減少のみであった(DFGMAK-Doc. Vol.2 (1991))。ラットを用いて42日間の経口投与試験において、血液学検査、及び血液生化学検査で投与量10 mg/kg bw/dayから100 mg/kg bw/dayの範囲外で異常が認められた項目があったが、病理組織学検査では関連する異常が認められなかった(経産省生殖試験 (2007))。(GHS分類:経口投与では区分外に相当するが、他の投与経路による報告が無いため分類できないとした。)
吸引性呼吸器有害性
データなし。(GHS分類:分類できない)