窒化ガリウム 化学特性,用途語,生産方法
性質
窒化ガリウムは、融点が800℃、沸点が1,600℃以上、密度が6.1g/cm3です。化学的に非常に安定な物質で、塩酸、硫酸、硝酸などの一般的な酸や塩基には溶けませんが、紫外線を照射することで、強アルカリに溶解します。
なお、窒化ガリウムの主な特徴は、以下のとおりです。
- 熱伝導率が大きく、放熱性に優れている
- 高速スイッチング・高温動作が可能
- 飽和電子速度が大きい
- 絶縁破壊電圧が高く、耐久性に優れている
解説
窒化ガリウム,暗灰色の固体.GaとNとを反応させて形成した半導体材料で,周期表13~15族半導体に分類される.エネルギーギャップは3.4 eV で,比誘電率9.5の直接遷移半導体である.エネルギーギャップが広いことから,ワイドギャップ系半導体ともいわれる.大きなイオン性をもつため,安定(α)相は六方晶系ウルツ鉱型構造をとり,準安定(β)相として立方晶系せん亜鉛鉱型構造をとる.青色発光素子材料として注目を集めている.
森北出版「化学辞典(第2版)
構造
窒化ガリウムの結晶構造はウルツ鉱型の四面体構造をとっており、空間群はC6v4-P63mcで格子定数はa=3.19Å、c=5.19Åです。純粋な結晶では、格子定数の異なるサファイアまたは炭化ケイ素の薄膜に堆積することができます。
シリコンまたは酸素をn型に、マグネシウムをp型にドープすることができますが、Si原子とMg原子はGaN結晶の成長方法を変えてしまい、引張応力により結晶が脆くなってしまいます。
製法
窒化ガリウムは欠陥が多く,良好な結晶を得ることが難しいとされていたが,アルミナ(Al2O3)基板上に低温で窒化アルミ(AlN)層をエピタキシャル成長(エピタキシー)させ,その上に窒化ガリウムを成長させる技術の開発が突破口になり,大きく研究が進展してp型制御が可能となった.さらに中村修二らは,低温の窒化アルミのかわりに低温の窒化ガリウム層を用いることで良好な膜質の窒化ガリウムが得られることを報告し,高輝度の青色発光ダイオードが得られるようになった.
化学的特性
yellow powder
使用
Gallium nitride (GaN) is a wide band gap semiconducting material, which can be used in the development of a variety of electronic devices, such as light emitting diodes (LEDs), and field effect transistors (FETs). It can also be used as a transition metal dopant for spintronics-based applications.
使用用途
窒化ガリウムは従来、青色LEDやの材料として広く用いられてきました。現在は、バンドギャップが3.4と高いため、Siのバンドギャップ1.1に対して、ワイドギャップ半導体と呼ばれています。
窒化ガリウムは、飽和ドリフト速度が高いことや破壊電界強度が高いことが特徴です。高耐圧化や低損失化、スイッチングスピードの高速化を可能とします。シリコン製のダイオードやトランジスタを窒化ガリウム機器へと置き換えることで、電力損失を小さくし、発熱量を減少させ、機器そのものを小型化することが可能です。
また、5G通信基地局用途として、GaN HEMT (高電子移動度トランジスタ) の需要も高まっています。
法規情報
毒物及び劇物取締法、消防法、化学物質排出把握管理促進法 (PRTR法) など、主要な法規制のいずれにも該当していません。
ただし、窒化ガリウムのダストは、皮膚、目、肺を刺激する物質ですので、取り扱いには注意が必要です。
取扱いおよび保管上の注意
取扱い及び保管上の注意は、下記の通りです。
- 容器を密栓し、乾燥した冷暗所に保管する。
- 屋外や換気の良い区域のみで使用する。
- 水や湿気と接するとアンモニアガスを生じるため、湿気を避ける。
- 有害なガリウム酸化物や窒素酸化物を生じるため、強酸化剤との接触を避ける。
- 使用時は保護手袋、保護眼鏡、保護衣、保護面を着用する。
- 粉塵を吸い込まないよう、充分注意する。
- 取扱い後はよく手を洗浄する。
- 皮膚に付着した場合は、速やかに水で洗い流す。
- 眼に入った場合は、水で数分間注意深く洗う。
窒化ガリウム 上流と下流の製品情報
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