急性毒性
経口
ラットを用いた経口投与試験のLD50値として、540 mg/kg(Patty (5th, 2001)、114 mg/kg(RTECS (2008))がある。List1の情報源に記述されているLD50値 540 mg/kgから、区分4とした。
経皮
ウサギを用いた経皮投与試験のLD50値 250μL/kg(換算値:195 mg/kg)(Patty (5th, 2001)、RTECS (2006))から、区分2とした。
吸入
吸入(ミスト): データがないので分類できない。
吸入(蒸気): ラットを用いた4時間吸入ばく露試験において「ばく露濃度75 ppmで死亡数:4/6匹」(Patty (5th, 2001)との記述があり、LC50値は<75 ppmと考えられる。本物質の飽和蒸気圧濃度122.89 ppm(25℃)から、気体基準を適用し、区分1とした。
吸入(ガス): GHS定義上の液体であるため、ガスでの吸入は想定されず、分類対象外とした。
皮膚腐食性・刺激性
ウサギを用いた24時間皮膚刺激性試験で、アミン類の刺激性をGrade 1-10で評価したところ、本物質は「Grade 4」(Patty (5th, 2001))との記述があり、4時間ばく露のデータではないが、本物質は刺激性ありと推定される。また、「皮膚刺激性である」(Patty (5th, 2001)、ICSC (2005))、「皮膚にやけど」、「刺激性がある」(HSDB (2002))との記述があり、可逆性については不明であるがこれらの所見より、区分2とした。
眼に対する重篤な損傷・刺激性
ウサギを用いた眼刺激性試験で、アミン類の刺激性をGrade 1-10で評価したところ、本物質は「Grade 1:未希釈物質0.5 mLを点眼したところ、非常にわずかな壊死を示す」(Patty (5th, 2001)旨の記述があるが、刺激の程度については不明である。また、「ほとんどの脂肪族アミン類は眼刺激性である」(Patty (5th, 2001))、「重度の影響あり、流涙、結膜炎、角膜浮腫を引き起こす可能性がある」、「刺激性がある」(HSDB (2002))、「軽度の刺激性あり」(ICSC (2005))との記述がある。刺激の程度に重度~軽度までばらつきがあるが、本物質は皮膚刺激性物質なので区分2とした。
呼吸器感作性又は皮膚感作性
皮膚感作性: 「皮膚感作性を引き起こす」(Patty (5th, 2001)、HSDB (2002)) 旨の記述があるが、詳細不明であり、データ不足のため分類できない。
呼吸器感作性:データがないので分類できない。
生殖細胞変異原性
in vivo試験のデータがないので、分類できない。 なお、in vitro変異原性試験(ネズミチフス菌を用いたAmes試験)で「陰性」(NTP DB (Access on November 2008))との記述がある。
発がん性
主要な国際的評価機関による評価がなされておらず、データもないので分類できない。
生殖毒性
データがないので分類できない。
特定標的臓器・全身毒性(単回ばく露)
マウスを用いた吸入ばく露でのRD50値(50%呼吸数抑制濃度)を求める試験で「呼吸数の減少から肺の刺激性が推定される」(HSDB (2002))旨の記述から、区分3(気道刺激性)とした。 なお、Patty (5th, 2001)に、脂肪族アミン類は「非常に強い刺激性を示し、動物を高濃度で蒸気ばく露すると、粘膜及び気道を刺激する」、「致死に近い濃度での単回投与で、気管炎、気管支炎、肺炎及び肺水腫を起こす」との記述がある。また、本物質の哺乳動物(動物種不明)を用いた経口投与試験で「し眠、興奮」(RTECS (2008))、「頭痛、悪心、嘔吐、めまい、興奮及びけいれんを引き起こす」(HSFS (1999))との記述がある。
特定標的臓器・全身毒性(反復ばく露)
雌雄ラットを用いた19日間吸入ばく露試験で「鼻に対する刺激性、不穏、協調運動失調及び振戦が見られた」(Patty (5th, 2001)、HSDB (2002))旨の記述がある。これらの症状は、区分1のガイダンス値の範囲内で見られているが、OECD TG準拠、GLPが不明なので、区分2(中枢神経系)とした。また、「脂肪族アミン類を致死下濃度で反復吸入ばく露すると気管炎、気管支炎、肺炎及び肺水腫を起こす」(Patty (5th, 2001))旨の記述があるが、ばく露期間及び濃度が特定できないので採用しない。 なお、「中枢神経を刺激するとの報告がある」(Patty (5th, 2001)、(HSDB (2002))との記述がある。
吸引性呼吸器有害性
データがないので分類できない。