急性毒性
経口
【分類根拠】 (1) のGLP/TG試験により信頼性があると判断し、区分4とした。 なお、新たな情報源の使用により、旧分類から区分を変更した。
【根拠データ】 (1) ラットのLD50:> 300 ~ < 2,000 mg/kg (REACH登録情報 (Access on July 2019)) (2) ラットのLD50:4,696 mg/kg (環境省リスク評価第5巻:暫定的有害性評価シート (2006)、HSDB (Access on June 2019))
経皮
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。
吸入: ガス
【分類根拠】 GHSの定義における液体であり、ガイダンスの分類対象外に相当し、区分に該当しない。
吸入: 蒸気
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。
吸入: 粉じん及びミスト
【分類根拠】 (1) より、区分4とした。 新たな情報源の使用により、旧分類から区分を変更した。
【根拠データ】 (1) ラットのLC50値 (エアロゾル、4時間):1.8 mg/L (REACH登録情報 (Access on July 2019))
皮膚腐食性及び皮膚刺激性
【分類根拠】 (1)、(2) より、区分1とした。
【根拠データ】 (1) OECD TG 404に準拠したウサギ皮膚刺激性試験 (4時間半閉塞適用) において24/48/72hの紅斑のスコアが4であり、非可逆性の反応と評価されている (REACH登録情報 (Access on July 2019))。 (2) 本物質はモルモットの皮膚とウサギの結膜を強く刺激する (HSDB (Access on June 2019))。
【参考データ等】 (3) EU-CLP分類でSkin Irrit. 2 (H319) に分類されている (EU CLP分類 (Access on July 2019))。
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性
【分類根拠】 (1)、(2) のデータから皮膚腐食性物質 (区分1) と判断されているため、ガイダンスに従い区分1とした。
【根拠データ】 (1) OECD TG 404に準拠したウサギ皮膚刺激性試験 (4時間半閉塞適用) において24/48/72hの平均スコアは4を示し、区分1とされた (REACH登録情報 (Access on July 2019))。 (2) 本物質はモルモットの皮膚とウサギの結膜を強く刺激する (HSDB (Access on June 2019))。
【参考データ等】 (3) EU-CLP分類でEye Irrit. 2 (H319) に分類されている (EU CLP分類 (Access on July 2019))。
呼吸器感作性
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。
皮膚感作性
【分類根拠】 (1)、(2) より、区分1とした。なお、新たな情報が得られたため区分を変更した。
【根拠データ】 (1) 36歳の日本人男性が本物質を作業場で扱った際に経験したアレルギー反応が本物質によって引き起こされることが判明した(REACH登録情報 (Access on July 2019))。 (2) アレルギー反応又は交差アレルギー反応の症例が多くのアルキル化メタクリル酸に当てはまると考えられ、本物質も皮膚感作性物質と評価された (GESTIS (Access on July 2019))。
【参考データ等】 (3) EU CLPでSkin Sens. 1に分類されている (EU CLP分類 (Access on July 2019))。
生殖細胞変異原性
【分類根拠】 (1)、(2) よりin vitro染色体異常試験で陽性知見が認められたが、in vivo小核試験では陰性であったことから、専門家判断に基づき、ガイダンスにおける分類できないに相当し、区分に該当しない。
【根拠データ】 (1) in vivoでは、マウスの小核試験で陰性の報告がある (厚労省既存化学物質毒性データベース (Access on June 2019))。 (2) in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験で陰性、哺乳類培養細胞の染色体異常試験で陽性の報告がある (厚労省既存化学物質毒性データベース (Access on June 2019))。但し、染色体異常試験の結果については、in silicoデータや類似構造をもつ物質の変異原性データも考慮した証拠の重み付け (weight of evidence) に基づき、本物質の懸念レベルは無視できるとの報告がある (Morita et al, Mutat. Res., 741, 32-56, 2012)。
発がん性
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。
生殖毒性
【分類根拠】 (1) より、雌親動物に一般毒性を示さなかったが、出生児数の低下傾向、分娩率の低下がみられたことから区分1Bとした。
【根拠データ】 (1) ラットを用いた強制経口投与による反復投与毒性・生殖発生毒性併合試験 (OECD TG 422) において、雌親動物では一般状態、体重、摂餌量、病理学的検査において異常はみられていない。雄親動物ではヘモグロビン量、平均赤血球容積、平均赤血球血色素量、平均赤血球血色素濃度の低値、尿素窒素の高値、腎臓の絶対及び相対重量の高値がみられている。生殖影響として、胚/胎児の胎生期の死亡が原因と考えられる出生児数の低下傾向 (対照群: 172匹、500 mg/kg/day群: 104匹)、分娩率の低下 (対照群: 95.0%、500 mg/kg/day群: 68.8%) がみられている (環境省リスク評価第5巻:暫定的有害性評価シート (2006)、厚労省既存化学物質毒性データベース (Access on June 2019))。
特定標的臓器毒性 (単回ばく露)
【分類根拠】 (1) より区分2 (呼吸器) とした。新たな情報源の使用により旧分類から分類結果を変更した。
【根拠デ-タ】 (1) 雄ラットに本物質のエアロゾルを4時間、吸入ばく露した試験で、0.4 mg/L以上で鼻汁がみられ、1.1 mg/L (区分2相当) 以上で努力呼吸、異常呼吸音が認められた。致死濃度は最高用量の1.8 mg/Lであった (REACH登録情報 (Access on July 2019))。
【参考データ等】 (2) ウサギに本物質 (用量の記載なし) を強制胃内投与したところ、最初に脳の電気的活動性が抑制され、その後、間代性強直性痙攣が誘発された (HSDB (Access on June 2019))。
特定標的臓器毒性 (反復ばく露)
【分類根拠】 (1) より、ラットへの経口投与において区分2の範囲で腎臓への影響がみられているが、組織変化を伴わないため標的臓器としなかった。経口投与については区分に該当しないと考えられる。なお、他経路については情報がなく、データ不足のため分類できない。
【根拠データ】 (1) ラットに50~500 mg/kg/dayを交配開始14日前から雄に49日間、雌には哺育3日目まで41~54日間強制経口投与した試験で、150 mg/kg/day (90日換算: 68 mg/kg/day、区分2の範囲) 以上で腎臓相対重量増加、血中尿素窒素濃度の増加が、500 mg/kg/day (90日換算: 228 mg/kg/day、区分2超) で血液学的パラメータの変化、肝臓及び腎臓重量増加、ASTの上昇がみられた (厚労省既存化学物質毒性データベース (Access on June 2019)、環境省リスク評価第5巻:暫定的有害性評価シート (2006))。
誤えん有害性*
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。
* JIS Z7252の改訂により吸引性呼吸器有害性から項目名が変更となった。