急性毒性
経口
ラットのLD50値として、2,542 mg/kg、3,200 mg/kg (PATTY (6th, 2012))、4,190 mg/kg (ACGIH (7th, 2013)) との報告に基づき、区分外 (国連分類基準の区分5) とした。
経皮
ウサギのLD50値として、8,880 mg/kg との報告 (ACGIH (7th, 2013)、PATTY (6th, 2012)) に基づき、区分外とした。
吸入:ガス
GHSの定義における液体である。
吸入:蒸気
ラットのLC50値 (6時間) として、3,813 ppm (4時間換算値:4,670 ppm) との報告 (PATTY (6th, 2012)) に基づき、区分4とした。なお、LC50値が飽和蒸気圧濃度 (5,923 ppm) の90%より低いため、ミストを含まないものとしてppmを単位とする基準値を適用した。
吸入:粉じん及びミスト
データ不足のため分類できない。
皮膚腐食性及び皮膚刺激性
本物質 (未希釈) をモルモットに24時間適用した結果、軽度な刺激性が認められたと記述 (PATTY (6th, 2012)) や、ウサギに本物質 (20 mL/kg) を24時間適用した結果、紅斑及び壊死がみられたとの結果がある (ACGIH (7th, 2014))。以上の結果は、24時間適用のデータであるため、区分を判断するには不十分なデータとし、分類できないとした。
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性
ウサギを用いた眼刺激性試験において軽度の刺激性が認められた (ACGIH (7th, 2001)) との記述から、区分2Bとした。
呼吸器感作性
データ不足のため分類できない。
皮膚感作性
データ不足のため分類できない。モルモットを用いた皮膚感作性試験 (フロインド完全アジュバント試験) において5例中1例 (20%) で軽度な皮膚感作性が認められた (PATTY (6th, 2012)) との記述があるが、動物数が少なく、結果の詳細等不明であるため分類に用いるには不十分なデータと判断した。
生殖細胞変異原性
データ不足のため分類できない。In vivoデータはなく、in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験で陰性である (ACGIH (7th, 2013))。
発がん性
データ不足のため分類できない。
生殖毒性
データ不足のため分類できない。
特定標的臓器毒性(単回ばく露)
本物質は気道刺激性がある (ACGIH (7th, 2013)、HSDB (Access on September 2014))。ヒトのデータはないが、実験動物では、ラットの吸入ばく露1,603 ppm (7.49 mg/L) で音刺激に対する反応性低下、3,207 ppm (14.98 mg/L) で呼吸数減少、麻酔作用が報告されている (ACGIH (2013)、HSDB (Access on September 2014))。以上より、区分3 (気道刺激性、麻酔作用) と した。
特定標的臓器毒性(反復ばく露)
ヒトで本物質ばく露による有害性の知見はない。ただし、化学構造上の類似物質であるメチルイソブチルケトン (CAS No: 108-10-1) の職業ばく露により、粘膜刺激、中枢神経系及び消化器症状がみられたと報告されている (ACGIH (7th, 2013)) 。 一方、実験動物ではラットに本物質蒸気を2週間又は13週間吸入ばく露した試験において、1,000 ppm (4.66 mg/L: 1 ppm= 4.66 mg/m3 (ACGIH (7th, 2013)) の濃度で、鼻及び眼への刺激、嗜眠、音刺激に対する反応性の低下、腎臓への影響 (重量増加、尿細管の再生、硝子滴) がみられた (PATTY (6th, 2012)、ACGIH (7th, 2013)) との記述があり、 2週間吸入試験では鼻粘膜、中枢神経系、及び腎臓への影響は区分2 (ガイダンス値換算: 0.62 mg/L/6時間 (90日換算)) の範囲内でみられている。 以上、実験動物の知見に基づき、分類は区分2 (中枢神経系、呼吸器、腎臓) とした。なお、今回は旧分類時以後にTLV値の見直しを行ったACGIH (7th, 2013) における根拠データである上記ラット吸入ばく露試験結果より標的臓器を追加したため、分類結果が異なった。
吸引性呼吸器有害性
13を超えない炭素原子で構成されたケトンで、動粘性率が0.867 (20℃、CERI計算値) であり、区分2に該当するため、現行分類ガイダンスに従い分類できない。