急性毒性
経口
【分類根拠】 (1) より、区分4とした。
【根拠データ】 (1) ラットのLD50: 542 mg/kg (ACGIH (7th, 2001)、HSDB (Access on October 2019)、Committee of the Health Council of the Netherlands (2002))
経皮
【分類根拠】 (1) より、区分に該当しない。
【根拠データ】 (1) ウサギのLD50: > 20,000 mg/kg (Committee of the Health Council of the Netherlands (2002))
吸入: ガス
【分類根拠】 GHSの定義における固体であり、ガイダンスでは分類対象外に相当し、区分に該当しない。
吸入: 蒸気
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。
吸入: 粉じん及びミスト
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。
【参考データ等】 (1) ラットの1時間吸入ばく露試験 (粉じん) において、20,500 mg/m3 (20.5 mg/L) (4時間換算値: 5.125 mg/L) で10匹中5匹が死亡した。(Committee of the Health Council of the Netherlands (2002))
皮膚腐食性及び皮膚刺激性
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性
【分類根拠】 (1) の記載はあるが、データ不足により分類できない。
【参考データ等】 (1) 過剰なばく露は眼や粘膜、呼吸器を刺激する可能性がある (HSDB (Access on October 2019))。
呼吸器感作性
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。
皮膚感作性
【分類根拠】 (1) より、区分1Aとした。
【根拠データ】 (1) OECD TG 406に準拠したモルモットを用いた皮膚感作性試験 (ビューラー法、感作 1%、惹起 1%) で陽性 (陽性率 60%) であった (SIDS (2008))。
【参考データ等】 (2) EU-CLP分類でSkin Sens. 1 (H317) に分類されている (EU CLP分類 (Access on December 2019))。
生殖細胞変異原性
【分類根拠】 In vivoデータがなく、データ不足のため分類できない。
【根拠データ】 (1) In vitroでは、細菌の復帰突然変異試験、哺乳類培養細胞の姉妹染色分体交換試験及び染色体異常試験で陰性、マウスリンフォーマ試験で陽性の報告がある (NTP DB (Access on October 2019))。
発がん性
【分類根拠】 (1) の既存分類結果より、ガイダンスの区分外に相当し、区分に該当しないとした。
【根拠データ】 (1) 国内外の分類機関による既存分類では、EPAでNL (Not Likely to be Carcinogenic to Humans.) (EPA Annual Cancer Report (2018): 2000年分類) に分類されている。
生殖毒性
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。
【参考データ等】 (1) 雌マウスの妊娠6~13日に1用量 (500 mg/kg/day) を強制経口投与し分娩させた発生毒性試験 (予備試験) において、母動物毒性 (死亡率18%) がみられる用量で児動物に影響はみられていない (HSDB (Access on October 2019)、Committee of the Health Council of the Netherlands (2002))。この試験は予備試験であり、投与量も1用量であることから参考データとした。
特定標的臓器毒性 (単回ばく露)
【分類根拠】 (1) のヒト症例1例と (2) の動物での吸入ばく露試験の結果から、区分3 (気道刺激性) とした。(3) の経口投与試験での所見は、致死量付近での症状と考えられることから根拠としなかった。
【根拠データ】 (1) 時間加重平均濃度0.2 mg/m3超の本物質にばく露した労働者1名が、咳と胸の不快感を訴えたとの報告がある (ACGIH (7th, 2001))。 (2) ラットの1時間単回吸入ばく露試験において、本物質の粉じん20.5 mg/L (4時間換算値: 5.125 mg/L、区分2超) のばく露で10例中5例が死亡した。症状としては流涙、流涎、粘液性の赤色鼻汁、喘ぎ、活動性低下、半眼がみられ、剖検では肺と肝臓の変色、気体貯留による胃の膨張が認められた (Committee of the Health Council of the Netherlands (2002))。
【参考データ等】 (3) ラットの単回経口投与試験において、400~900 mg/kg (区分2相当、LD50値が542 mg/kgとされていることから致死量と考えられる) で、全身の振戦、流涎、過呼吸、旋回 (cyclic running) がみられ、剖検では消化管の出血が認められた (Committee of the Health Council of the Netherlands (2002))。
特定標的臓器毒性 (反復ばく露)
【分類根拠】 (1) より、ラット経口投与により区分2の範囲までで影響がみられていないことから、経口経路については区分に該当しないとした。他経路についてはデータがなく、分類できない。
【根拠データ】 (1) ラットに100~1,000 mg/kg/dayの用量で2年間混餌投与した結果、1,000 mg/kg/day (区分2超) の雄で生存率低下、体重増加抑制、雌で体重減少がみられたが、血液、血液生化学、尿、剖検、臓器重量、病理組織学的検査で影響はみられなかった (HSDB (Access on October 2019))。
【参考データ等】 (2) イヌに4,000~40,000 ppmの用量で1年間混餌投与した結果、40,000 ppm (ガイダンス値換算: 1,000 mg/kg/day、区分2超) の雄で副腎相対重量増加、副腎皮質のびまん性/両側性の肥大がみられた (HSDB (Access on October 2019))。 (3) ラットに本物質を塩素量として20 ppm の濃度で30日間飲水投与した結果、血液、血液生化学、尿、剖検、臓器重量、病理組織学的検査で影響はみられなかった (ACGIH (7th, 2001)、HSDB (Access on October 2019)、Committee of the Health Council of the Netherlands (2002))。
誤えん有害性*
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。
* JIS Z7252の改訂により吸引性呼吸器有害性から項目名が変更となった。