急性毒性
経口
GHS分類: 区分外 ラットのLD50値として、> 3.000 mg/kg及び> 3,250 mg/kgとの報告 (EU-RAR (2008)) に基づき、区分外とした。
経皮
GHS分類: 区分外 ラットのLD50値として、> 6,500 mg/kgとの報告 (EU-RAR (2008)) 及びウサギのLD50値として、> 3,250 mg/kgとの報告 (EU-RAR (2008)) に基づき、区分外とした。
吸入:ガス
GHS分類: 分類対象外 GHSの定義における液体である。
吸入:蒸気
GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。
吸入:粉じん及びミスト
GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。
皮膚腐食性及び皮膚刺激性
GHS分類: 区分外 本物質65%溶液をウサギに4時間適用した3件の皮膚刺激性試験 (Directive 79/831/EEC、GLP準拠) で、ごく軽微~明確な紅斑とごく軽微な浮腫がみられたが、紅斑の平均スコアが2を超える動物は1例のみであった。本試験でみられた紅斑及び浮腫は適用7日後においても15例中7例が回復していなかったとされるが、その後の結果は示されていない (EU-RAR (2008)) ことから、刺激の程度が軽度であると判断し、区分外とした。
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性
GHS分類: 区分外 本物質65%溶液0.1 mLをウサギに適用した眼刺激性試験 (OECD TG 405、GLP準拠) において、6例中2例でみられた刺激性をもとに、24、48及び72時間における眼一次刺激指数は、3.5、1.17及び0 (平均1.6) となり、実質的に刺激性なしとの報告 (EU-RAR (2008)) に基づき、区分外とした。
呼吸器感作性
GHS分類: 分類できない、 データ不足のため分類できない。
皮膚感作性
GHS分類: 区分外 ヒトを対象とした複数の皮膚感作性試験 (HRIPT法、マキシマイゼーション法及びパッチテスト) において、感作性は認められていないとの報告 (EU-RAR (2008)) がある。また、モルモットを用いたマキシマイゼーション試験において、あいまい又は感作性なしと報告 (EU-RAR (2008)) されている。EU-RAR (2008) は、本物質が感作性を誘発する明確な証拠はなく、本物質は感作性物質ではないと結論している。以上より区分外とした。
生殖細胞変異原性
GHS分類: 分類できない In vivoでは、マウス骨髄細胞の小核試験で陰性、in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験、哺乳類培養細胞の染色体異常試験、ヒトリンパ球の小核試験、姉妹染色分体交換試験で陰性である (EU-RAR (2008))。以上より、ガイダンスに従い分類できないとした。
発がん性
GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。
生殖毒性
以上、1報告のみであるが、ラット催奇形性試験において母動物毒性発現量で胎児に骨格奇形がみられたことから、本項は区分2とした。なお、ラットにおける乳汁移行性の報告、及びヒト母乳中に本物質検出例の報告があるが、授乳を介した次世代への有害影響はこれまで報告されておらず、母乳中濃度が毒性発現濃度まで達していないと考えられたため、授乳影響の追加は採用しなかった。
実験動物では妊娠ラットの器官形成期に本物質を強制経口投与した催奇形性試験において、母動物には150 mg/kg/day以上で体重増加抑制、摂餌量低下、500 mg/kg/dayでは加えて臨床症状 (流涎、尿による腹部汚染など) がみられ、胎児には 500 mg/kg/dayで胎児重量の低値、骨化不全/胸骨分節未骨化の増加に加えて脊椎/肋骨の奇形の頻度増加がみられた。この骨格奇形の頻度増加は胎児単位のみならず、妊娠腹単位でも有意に増加したと記述されている (EU-RAR (2008)、SIDS SIAP (2008)、HSDB (Access on October 2015))。一方、本物質の多世代生殖毒性試験は報告がなく、高用量投与での受胎能及び次世代の発生・発育への有害影響については不明である。なお、妊娠ラットに妊娠後期からF1離乳まで、F1児動物は成育後交配させ得られたF1妊娠雌に周産期からF2離乳まで、それぞれ最大20 mg/kg/dayを強制経口投与した試験において、F0、F1親動物の受胎能、及びF1、F2児動物の発生、生後の成長発達に有害影響はみられなかったが、本試験に組込んだ体内動態試験において、F0母親動物への2及び20 mg/kg/day経口投与 (14C標識体投与) でF1新生児に乳汁を介して本物質 (代謝物を含む) が移行したことが示唆される結果 (2.28及び32.8 mg本物質相当/L乳汁) が得られている (EU-RAR (2008)、SIDS SIAP (2008))。
GHS分類: 区分2 ヒトの生殖影響に関する情報はない。ただし、ヒトの母乳中から本物質が検出されたとの複数の報告があり、例えば本物質を含む日用品の使用経験があり乳児を哺育中の母親107人から採取した母乳サンプルを分析したドイツの研究報告では、最大で1,316 µg/kg 脂肪 (乳脂肪含量を 3.67%とすると、母乳1 kg当たり48 µgに相当) の本物質が検出されたと報告されている (EU-RAR (2008)、SIDS SIAP (2008))。
特定標的臓器毒性(単回ばく露)
GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。
特定標的臓器毒性(反復ばく露)
GHS分類: 分類できない ヒトに関するデータはない。 実験動物では、ラットを用いた90日間混餌投与毒性試験において、この試験の最高用量である150 mg/kg/dayまで影響がみられていない。このほか、混合物についての吸入経路、経皮経路での毒性試験の報告があるが、標的臓器を特定するには適切な試験条件でなかった。 したがって、分類できないとした。
吸引性呼吸器有害性
GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。