急性毒性
経口
GHS分類: 区分4 ラットのLD50値として、545 mg/kg、900 mg/kg (EHC 78 (1988))、1,000 mg/kg (HSDB (Access on June 2017))、1,832 mg/kg (EHC 78 (1988)) との報告に基づき、区分4とした。
経皮
GHS分類: 区分外 ラットのLD50値として、> 5,000 mg/kg (HSDB (Access on June 2017)) との報告に基づき、区分外とした。
吸入:ガス
GHS分類: 分類対象外 GHSの定義における固体である。
吸入:蒸気
GHS分類: 分類対象外 GHSの定義における固体である。
吸入:粉じん及びミスト
GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。
皮膚腐食性及び皮膚刺激性
GHS分類: 区分2 本物質を含有する製品がヒトの皮膚に対して熱傷、発疹、かゆみ、皮膚の変色や発赤、水疱形成などの刺激性を示すとの記述 (EPA Pesticide (2009)) や、ウサギの皮膚に軽度の刺激性を示したとの記述 (HSDB (Access on June 2017)) から、区分2とした。
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性
GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。なお、多くのジチオカルバマート系の農薬が眼刺激性を示したとの記述や、ジチオカルバマート系の農薬の一部 (ナバム (CAS番号 142-59-6)、 ジネブ (CAS番号 12122-67-7)) は眼刺激性を示さなかったとの記述 (いずれもEHC 78 (1988)) がある。
呼吸器感作性
GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。
皮膚感作性
GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。なお、ジチオカルバマート化合物のいくつかは感作性を起こすとの記述 (EHC 78 (1988)) がある。
生殖細胞変異原性
GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。すなわち、in vivoデータはなく、in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験で陽性、哺乳類培養細胞の遺伝子突然変異試験で陰性である (HSDB (Access on June 2017))。
発がん性
GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。なお、HSDBには本物質がEPAで2006年に L (Likely to be carcinogenic to humans) に分類されていたとの記述がある (HSDB (Access on June 2017)) が、EPAの農薬発がん分類リストからは既に本物質は削除されている (Chemicals Evaluated for Carcinogenic Potential, Annual Cancer Report (2016))。
生殖毒性
GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。
特定標的臓器毒性(単回ばく露)
GHS分類: 区分2 (神経系、全身毒性) 本物質のヒトでの単回ばく露のデータはない。実験動物では、ウサギの単回経口投与試験において、500 mg/kg以上で中枢神経系抑制、触覚及び知覚感受性の低下、食餌量減少がみられたとの報告がある。1,000 mg/kg、1,500 mg/kgでは24時間以内に全例が死亡した。500 mg/kg では死亡例はなかった。死亡例のみか生存例を含むかの記載はないが、剖検では内臓のうっ血、肺水腫、胃粘膜の出血が認められたと報告されている (HSDB (Access on June 2017))。影響がみられた用量はガイダンスの区分2範囲に該当する。このうち肺水腫は二次的影響である可能性があり、他の症状からは神経系以外の標的臓器が特定できないため、区分2 (神経系、全身毒性) とした。
特定標的臓器毒性(反復ばく露)
GHS分類: 区分2 (神経系、全身毒性) ヒトに関する情報はない。 実験動物については、ウサギに100 mg/kg/dayの用量での15週間投与 (投与経路の記載なし、経口経路と仮定して区分1のガイダンス値の範囲内) で、体重増加量が増加し、筋無力症、血液形態、神経系、心血管系の変化、被毛の黄色化がみられたとの記載がある (HSDB (Access on June 2017))。 以上、ウサギのデータについては、経口経路と仮定し、また、リスト2の情報源であることから区分2 (神経系、全身毒性) とした。
吸引性呼吸器有害性
GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。