急性毒性
経口
【分類根拠】
(1)より、区分に該当しない。新たな知見に基づき分類結果を変更した。
【根拠データ】
(1)ラットのLD50:> 2,000 mg/kg(JMPR (2010)、EFSA (2014))
経皮
【分類根拠】
(1)より、区分に該当しない。
【根拠データ】
(1)ラットのLD50:> 5,000 mg/kg(JMPR (2010)、EFSA (2014))
吸入: ガス
【分類根拠】
GHSの定義における液体であり、区分に該当しない。
吸入: 蒸気
【分類根拠】
(1)~(3)より、区分1とした。なお、ばく露濃度は飽和蒸気圧濃度の90%(47,343 ppm)より低いため、蒸気と判断し、ppmVを単位とする基準値より判断した。
【根拠データ】
(1)ラットのLC50(4時間):80.5 ppm(JMPR (2010))
(2)ラット(雄)のLC50(4時間):83.2 ppm(EFSA (2014))
(3)ラット(雌)のLC50(4時間):109 ppm(EFSA (2014))
吸入: 粉じん及びミスト
【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
皮膚腐食性及び皮膚刺激性
【分類根拠】
(1)、(2)より、区分に該当しない(国連分類基準の区分3)。なお、新たな評価文書に基づき、分類結果を変更した。
【根拠データ】
(1)ウサギを用いた皮膚刺激性試験において、軽微な刺激性がみられた(EPA Pesticides (2009))。
(2)本物質は軽微な皮膚刺激性物質である(JMPR (2010))。
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性
【分類根拠】
(1)より、ガイダンスに従い、区分2とした。なお、新たな評価文書に基づき、分類結果を変更した。
【根拠データ】
(1)ウサギを用いた眼刺激性試験において、中程度の刺激性がみられた(JMPR (2010))。
【参考データ等】
(2)ウサギを用いた眼刺激性試験において、最小限の刺激性がみられた(EPA Pesticides (2009))。
呼吸器感作性
【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
皮膚感作性
【分類根拠】
(1)より、区分1とした。
【根拠データ】
(1)マウスを用いた局所リンパ節試験(LLNA)において、結果は陽性であった(JMPR (2010)、EPA Pesticides (2009))。
生殖細胞変異原性
【分類根拠】
(1)~(4)より区分に該当しない。
【根拠データ】
(1)In vivoでは、マウスの赤血球を用いた小核試験(EPAOPPTS 870.5395準拠、最大1,858 mg/kg、単回強制経口投与)で陰性の報告がある(EPA Pesticides (2009))。
(2)In vitroでは、細菌復帰突然変異試験、ほ乳類培養細胞を用いた遺伝子突然変異試験及び染色体異常試験で、いずれも陰性の結果が得られている(EPA Pesticides (2009))。
(3)本物質の遺伝毒性ポテンシャルはin vitro及びiI vivoの十分な範囲の試験で検討され、変異原性、染色体異常の証拠は認められなかった。JMPRは、本物質は遺伝毒性を有さないであろうと結論した(JMPR (2009))。
(4)本物質(DE-126)は遺伝毒性も発がん性も有さない(EFSA (2014))。
発がん性
【分類根拠】
(1)~(4)より区分に該当しない。なお、新たな情報源に基づき分類結果を変更した。
【根拠データ】
(1)国内外の評価機関による既存分類結果として、本物質がEPAでグループEに分類されている(EPA OPP Annual Cancer Report (2020):2009年分類)。関連物質のジノカップ(CAS番号 39300-45-3)も先行してグループEに分類されている(EPA OPP Annual Cancer Report (2020):1994年分類)。
(2)本物質(メプチルジノカップ、DE-126)はジノカップ(CAS番号 39300-45-3)に含まれる6つの異性体のうちの1つであり、ジノカップの約22%を占める(EFSA (2014)、JMPR (2010)、EPA Pesticides (2009))。
(3)ジノカップを用いた長期毒性試験及び発がん性試験において、最高用量、すなわちラットでは2,000 ppm(71 mg/kg/day相当)、マウスでは150 ppm(23 mg/kg/day相当)まで発がん性の証拠はみられなかった。なお、ラットの2,000 ppm、マウスの150 ppmは一般毒性が発現する用量である(JMPR (2010))。
(4)ジノカップと比べて、構造の類似性と本物質の証明された低毒性に基づいて、ジノカップのヒトに対する発がん性分類のグループEが本物質にも適用拡張された(EPA Pesticides (2009))。
生殖毒性
【分類根拠】
(1)~(4)より、発生影響はみられていないが、生殖能への影響に関する情報がなく、データ不足のため分類できない。なお旧分類は本物質を含む6種の異性体混合物であるジノカップ(CAS番号 39300-45-3)のデータを利用し分類されている。新たな情報源を用いて分類結果を見直した。
【根拠データ】
(1)妊娠マウスを用いた発生毒性試験において、最高用量の500 mg/kg/dayまで母動物毒性、胎児の発生影響ともに認められなかった(EPA Pesticides (2009))。
(2)妊娠ラットを用いた発生毒性試験において、著しい母動物毒性を生じた500 mg/kg/day群は試験を中止し、150 mg/kg/dayまでの試験となった。150 mg/kg/dayでは母動物毒性(体重減少/体重増加抑制、摂餌量減少)が認められたが、胎児に発生影響は認められなかった(EPA Pesticides (2009))。
(3)妊娠ウサギを用いた発生毒性試験において、母動物毒性(体重増加抑制、摂餌量減少)がみられた最高用量(48 mg/kg/day)まで胎児に発生影響は認められなかった(EPA Pesticides (2009))。
(4)本物質は発生毒性を生じないし、催奇形性物質ではないとJMPRにより結論された(JMPR (2010))。
【参考データ等】
(5)本物質(メプチルジノカップ、DE-126)は、ジノカップ(CAS番号 39300-45-3)に含まれる6つの異性体のうちの1つであり、ジノカップの約22%を占める(EFSA (2014)、JMPR (2010)、EPA Pesticides (2009))。
(6)ジノカップを被験物質としたラットの2世代生殖毒性試験において、F0、F1世代では最高用量の400 ppm(27 mg/kg/day)まで、受胎能、生殖パラメータ、精子又は生殖組織への影響はみられなかった。1,000 ppm(約65 mg/kg/day)ではF1児動物の生存率低下を生じた結果、F1親動物及びF2児動物は400 ppmが最高用量となった。児動物及び親動物のNOAELは200 ppm(約13 mg/kg/day)と報告された(JMPR (2010))。
(7)ジノカップを被験物質とした妊娠マウスを用いた発生毒性試験では、25 mg/kg/dayの用量では胎児のほぼ全例に口蓋裂と耳石形成への影響が認められた(JMPR (2010))。
(8)ジノカップはCLP分類でRepr. 1Bに分類されている(CLP分類結果 (Accessed December 2021))。