急性毒性
経口
ラットのLD50値は3160 mg/kg (HSDB (2003))、>20000 mg/kg(雄)および>30000 mg/kg(雌)(農薬安全情報 日本農薬学会誌第15巻第3号(1990))に基づき、区分外とした。GHS分類:区分外
経皮
ウサギのLD50値は>3160 mg/kg (HSDB (2005)) およびラットのLD50値は>5000 mg/kg(農薬安全情報 日本農薬学会誌第15巻第3号(1990))基づき、区分外とした。GHS分類:区分外
吸入:ガス
GHSの定義における固体である。GHS分類:分類対象外
吸入:蒸気
データなし。GHS分類:分類できない
吸入:粉じん及びミスト
データ不足。なお、4時間ばく露によるラットのLCLoは>0.425 mg/L(RTECS (2005)と報告されているが、区分を特定できないので分類できない。また、試験濃度が飽和蒸気圧濃度(0.0019 mg/L)を超えているので粉塵による試験とみなした。GHS分類:分類できない
皮膚腐食性及び刺激性
ウサギの皮膚に50%水和剤0.5 gを24時間貼付した試験で、貼付後5日まで軽度の紅斑と浮腫が認められたが貼付後6日には消失し、軽度な刺激性との評価結果(農薬安全情報 日本農薬学会誌第15巻第3号(1990))に基き、JIS分類基準の区分外(国連分類基準の区分3に相当)とした。なお、ヒトで本物質は皮膚刺激物ではない(HSDB (2005))との記載もある。GHS分類:区分外
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性
ウサギの眼に3 mgを適用した試験で軽度の刺激性(slight irritation)が観察されたが、6日目迄に回復した(HSDB (2005))との報告、さらにウサギの眼に50%水和剤100 mgを適用した試験で、適用1時間に軽度な結膜の刺激性、24時間後には結膜に加えて角膜および虹彩にも軽度な刺激性変化がみられ、回復に約2週間を要したものの軽度な刺激性と評価された結果に基づき区分2Bとした。なお、ヒトで本物質は軽度の眼刺激物である(HSDB (2005))との記載もある。GHS分類:区分2B
呼吸器感作性
データなし。GHS分類:分類できない
皮膚感作性
モルモットの皮膚感作性試験で50%水和剤に皮膚感作性なし(農薬安全情報 日本農薬学会誌第15巻第3号(1990))と報告されているが、試験方法および試験結果(陽性率など)の詳細も不明のため「分類できない」とした。GHS分類:分類できない
生殖細胞変異原性
マウスの経口投与による骨髄細胞を用いた染色体異常試験(体細胞in vivo 変異原性試験)で陰性(農薬安全情報 日本農薬学会誌第15巻第3号(1990))の結果に基づき区分外とした。なお、in vitro試験では、エームス試験のTA100株で陽性(HSDB(2005))、およびTA100株のみ擬陽性(統計学的有意差はないが軽度な増加)でその他の株では陰性 (農薬安全情報 日本農薬学会誌第15巻第3号(1990))の結果が報告されている。GHS分類:区分外
発がん性
データなし。GHS分類:分類できない
生殖毒性
妊娠ラットおよび妊娠ウサギを用いそれぞれ器官形成期に経口投与した発生毒性試験において、両動物種とも高用量(ラット50 mg/kg、ウサギ40 mg/kg)で母動物に軽度な体重増加抑制がみられたが、着床数、胚死亡率、生存胎仔数などの発生指標、奇形発現率、および胎仔の発育に変化は認められなかった(農薬安全情報 日本農薬学会誌第15巻第3号(1990))。この結果から、仔の発生に対する悪影響は見出されなかったが、親動物の性機能・生殖能に対しては、交配前からのばく露のデータがないため判断できず、データ不足のため「分類できない」とした。GHS分類:分類できない
特定標的臓器毒性(単回ばく露)
データなし。GHS分類:分類できない
特定標的臓器毒性(反復ばく露)
マウスに3ヵ月間混餌投与による亜急性毒性試験(0, 20, 80, 320, 1280 ppm)において、最大無作用量は320 ppm (雄:38.3 mg/kg/day, 雌:44.8 mg/kg/day)と判断され、最高用量1280 ppm (雄: 153.2 mg/kg/day, 雌: 179.2 mg/kg/day)では雌雄各4匹が投与期間中に死亡し、病理組織学的検査で死亡例に肝の脂肪化、肝細胞の大小不同、クッパー細胞腫大等に加え、同群の雄ではALPおよびGPT活性の増加が認められたと報告されている(農薬安全情報 日本農薬学会誌第15巻第3号第3号(1990))。この結果から肝臓への影響が示唆されるが用量(1280 ppm)がガイダンス値の範囲を超えており、ガイダンス値上限付近では影響が不明なため「分類できない」とした。GHS分類:分類できない
吸引性呼吸器有害性
データなし。GHS分類:分類できない