安全データシート

1,2,3-トリクロロプロパン

改訂日:2024-01-24版番号:1

1. 化学品及び会社情報

製品識別子

  • 製品名: 1,2,3-トリクロロプロパン
  • CB番号: CB6854719
  • CAS: 96-18-4
  • EINECS番号: 202-486-1

物質または混合物の関連する特定された用途、および推奨されない用途

  • 関連する特定用途: 洗浄剤,可塑剤原料 (NITE CHRIP)
  • 推奨されない用途: なし

会社ID

  • 会社名:Chemicalbook
  • 住所:北京市海淀区上地十街匯煌国際1号棟
  • 電話:400-158-6606

2. 危険有害性の要約

GHS分類

分類実施日(物化危険性及び健康有害性)
H29.3.1、政府向けGHS分類ガイダンス (H25年度改定版 (ver1.1): JIS Z7252:2014準拠) を使用
GHS改訂4版を使用
物理化学的危険性
引火性液体   区分4
健康に対する有害性
急性毒性(経口)   区分3
急性毒性(経皮)   区分3
急性毒性(吸入:蒸気)   区分2
眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性   区分2
生殖細胞変異原性   区分2
発がん性   区分1B
生殖毒性   区分1B
特定標的臓器毒性 (単回ばく露)   区分1 (神経系、副腎)、区分3 (気道刺激性)
特定標的臓器毒性 (反復ばく露)   区分1(呼吸器、肝臓、血液系、膵臓、腎臓)、区分2 (心臓)
分類実施日(環境有害性)
環境に対する有害性はH27.3、政府向けGHS分類ガイダンス (H25年度改定版 (ver1.1)) を使用
環境に対する有害性
水生環境有害性 (急性)   区分2
水生環境有害性 (長期間)   区分2

2.2 注意書きも含むGHSラベル要素

絵表示
GHS06GHS08
注意喚起語
危険
危険有害性情報
H227 可燃性液体。
H301 + H311 + H331 飲み込んだ場合や皮膚に接触した場合や吸入した場合は有毒。
H319 強い眼刺激。
H341 遺伝性疾患のおそれの疑い。
H350 発がんのおそれ。
H360 生殖能又は胎児への悪影響のおそれ。
H372 長期にわたる、又は反復ばく露(吸入)による臓器 (全身毒性) の障害。
H373 長期にわたる、又は反復ばく露(経口)による臓器の障害のおそれ (全身毒性)。
H373 長期にわたる、又は反復ばく露(経皮)による臓器の障害のおそれ (全身毒性)。
H411 長期継続的影響によって水生生物に毒性。
注意書き
安全対策
P201 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P210 熱/火花/裸火/高温のもののような着火源から遠ざけること。−禁煙。
P260 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264 取扱い後は皮膚をよく洗うこと。
P270 この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P271 屋外又は換気の良い場所でだけ使用すること。
P273 環境への放出を避けること。
P280 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
応急措置
P302 + P352 + P312 皮膚に付着した場合:多量の水と石けん(鹸)で洗うこと。 気分が悪いときは医師に連絡すること。
P304 + P340 + P311 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し,呼吸しやすい姿勢で休息させること。 医師に連絡すること。
P305 + P351 + P338 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P308 + P313 ばく露又はばく露の懸念がある場合:医師の診察/手当てを受けること。
P337 + P313 眼の刺激が続く場合:医師の診察/手当てを受けること。
P370 + P378 火災の場合:消火するために乾燥砂、粉末消火剤 (ドライケミカル) 又は耐アルコール性フォームを使用すること。
P391 漏出物を回収すること。
P301 + P310 + P330 飲み込んだ場合:直ちに医師 に連絡すること。口をすすぐこと。
保管
P403 + P233 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P403 + P235 換気の良い場所で保管すること。涼しいところに置くこと。
P405 施錠して保管すること。
廃棄
P501 内容物/容器を承認された処理施設に廃棄すること。
専門的な使用者に限定。

2.3 他の危険有害性

なし

3. 組成及び成分情報

  • 化学物質・混合物の区別: 化学物質
  • 化学特性(示性式、構造式 等): C3H5Cl3
  • 分子量: 147.43 g/mol
  • CAS番号: 96-18-4
  • EC番号: 202-486-1
  • 化審法官報公示番号: 2-83
  • 安衛法官報公示番号: 2-(13)-52

4. 応急措置

4.1 必要な応急手当

一般的アドバイス
医師に相談する。 この安全データシートを担当医に見せる。
吸入した場合
吸い込んだ場合、新鮮な空気の場所に移す。 呼吸していない場合には、人工呼吸を施す。 医師に相談する。
皮膚に付着した場合
石けんと多量の水で洗い流す。 直ちに被災者を病院に連れて行く。 医師に相談する。
眼に入った場合
多量の水で15分以上よく洗浄し、医師の診察を受けること。
飲み込んだ場合
無理に吐かせないこと。 意識がない場合、口から絶対に何も与えないこと。 口を水ですすぐ。 医師に相談する。

4.2 急性症状及び遅発性症状の最も重要な徴候症状

もっとも重要な既知の徴候と症状は、ラベル表示(項目2.2を参照)および/または項目11に記載されている

4.3 緊急治療及び必要とされる特別処置の指示

データなし

5. 火災時の措置

5.1 消火剤

適切な消火剤
水噴霧、耐アルコール泡消火剤、粉末消火剤、二酸化炭素を使用すること。

5.2 特有の危険有害性

炭素酸化物
塩化水素ガス

5.3 消防士へのアドバイス

消火活動時には必要に応じて 自給式呼吸装置を装着する。

5.4 詳細情報

未開封の容器を冷却するために水を噴霧する。

6. 漏出時の措置

6.1 人体に対する注意事項、保護具及び緊急時措置

呼吸保護(服)を着用。 蒸気、ミスト、またはガスの呼吸を避ける。 十分な換気を確保する。 付近の発火源となるものを取り除く。 安全な場所に避難する。 蒸気がたまると爆発性濃縮物が生成されるので要注意。蒸気は低いところにたまる可能性あり。個人保護については項目 8 を参照する。

6.2 環境に対する注意事項

安全を確認してから、もれやこぼれを止める。 物質が排水施設に流れ込まないようにする。 環境への放出は必ず避けなければならない。

6.3 封じ込め及び浄化の方法及び機材

漏出物を閉じ込め、防爆型の電気掃除機または湿ったブラシに より集め、地域の規則 (項目 13 を参照) に従い廃棄するために容器に移す。 廃棄に備え適切な容器に入れて蓋をしておく。

6.4 参照すべき他の項目

廃棄はセクション13を参照。

7. 取扱い及び保管上の注意

7.1 安全な取扱いのための予防措置

安全取扱注意事項
曝露を避けるー使用前に特別指示を受ける。安全取扱注意事項皮膚や眼への接触を避けること。 蒸気やミストの吸い込みを避けること。
火災及び爆発の予防
発火源から離しておいてください-禁煙。静電気の蓄積を防止する手段を講じる。
衛生対策
皮膚、眼、そして衣服との接触を避ける。 休憩前や製品取扱い直後には手を洗う。注意事項は項目2.2を参照。

7.2 配合禁忌等を踏まえた保管条件

保管クラス
保管クラス (ドイツ) (TRGS 510): 6.1D: 不燃性、急性毒性カテゴリー3 / 毒性危険物または慢性効果を引き起こす危険物
保管条件
冷所に保管。 容器を密閉し、乾燥した換気の良い場所に保管する。 一度開けた容器は注意深く再度密封し、漏れを避けるためまっすぐ立てておく。

7.3 特定の最終用途

項目1.2に記載されている用途以外には、その他の特定の用途が定められていない

8. ばく露防止及び保護措置

8.1 管理濃度

コンポーネント別作業環境測定パラメータ
TWA: 0.005 ppm - 米国。 ACGIH限界閾値(TLV)

8.2 曝露防止

適切な技術的管理
皮膚、眼、そして衣服との接触を避ける。 休憩前や製品取扱い直後には手を洗う。
保護具
眼/顔面の保護
顔面シールドおよび保護メガネ NIOSH(US)またはEN 166(EU)などの適切な政府機関の規
格で試験され、認められた眼の保護具を使用する。
皮膚及び身体の保護具
手袋を着用して取扱う。 使用前に、必ず手袋を検査する。 (手袋外面に触れずに)適切に手袋
を脱ぎ、本製品の皮膚への付着を避ける。 適用法令およびGLPに従い、使用後に汚染手袋を廃
棄する。 手を洗い、乾燥させる。
選ばれた防護手袋は、EU指令2016/425の仕様と、それから派生する規格EN374を満たすもので
なければならない。
フルコンタクト
材質: ブチルゴム
最小厚: 0.3 mm
破過時間: 480 min
試験物質:Butoject® (KCL 897 / Aldrich Z677647, Size M)
飛沫への接触
材質: ニトリルゴム
最小厚: 0.4 mm
破過時間: 38 min
試験物質:Camatril? (KCL 730 / Aldrich Z677442, Size M)
データソース:KCL GmbH, D-36124 Eichenzell, 電話 +49 (0)6659 87300, e-mail sales@kcl.de,
試験方法: EN374
EN374とは違った条件の下で、溶液の中、または他の物質と混ぜて使われる場合は、EC認可手
袋の供給業者に問い合わせる。 この勧告は単なる助言であり、予想される用途の特定状況に精
通した産業衛生専門家並びに安全管理者により評価されなければならない。 任意の使用方法に
ついて許可を受けていると理解すべきではない。
身体の保護
化学防護服, 特定の作業場に存在する危険物質の濃度および量に応じて、保護装置のタイプを選
択しなければならない。
呼吸用保護具
リスクアセスメントによりろ過式呼吸用保護具が適切であると示されている場所では、工学的
制御のバックアップとして、多目的直結式(US)またはABEK型(EN14387)呼吸用保護具カ
ートリッジ付き全面形呼吸用保護具を使用する。呼吸用保護具が唯一の保護手段である場合、
全面形送気マスクを使用する。 NIOSH(US)またはCEN(EU)などの適切な政府機関の規格
で試験され、認められた呼吸用保護具および部品を使用する。
環境暴露の制御
安全を確認してから、もれやこぼれを止める。 物質が排水施設に流れ込まないようにする。 環
境への放出は必ず避けなければならない。

9. 物理的及び化学的性質

物理的状態

形状
液体 (20℃、1気圧) (GHS判定)
無色 (ICSC (2005))
臭い
クロロホルム類似臭 (HSDB (2016))
臭いのしきい(閾)値
データなし
pH
データなし

融点・凝固点

-14.7℃ (HSDB (2016))

沸点、初留点及び沸騰範囲

157℃ (HSDB (2016))

引火点

73℃(cc) (ACGIH (7th, 2015))

蒸発速度(酢酸ブチル=1)

データなし

燃焼性(固体、気体)

データなし

燃焼又は爆発範囲

3.2~12.6 vol% (ACGIH (7th, 2015))

蒸気圧

0.29 kPa (20℃) (ICSC (2005))

蒸気密度

5.08 (Air = 1) (HSDB (2016))

比重(相対密度)

1.3889 (ACGIH (7th, 2015))

溶解度

水: 1.75g/L (25℃) (HSDB (2016)) 四塩化炭素にわずかに溶ける、エタノール、エチルエーテルに可溶、クロロホルムによく溶ける (HSDB (2016))

n-オクタノール/水分配係数

logKow=2.27 (HSDB (2016))

自然発火温度

304℃ (ICSC (2005))

分解温度

データなし

粘度(粘性率)

0.25 mPa・sec (20℃) (HSDB (2016))

10. 安定性及び反応性

10.1 反応性

データなし

10.2 化学的安定性

推奨保管条件下では安定。

10.3 危険有害反応可能性

データなし

10.4 避けるべき条件

熱、炎、火花。

10.5 混触危険物質

強酸化剤, 強塩基類, 強酸, アルミニウム, スズ/スズ酸化物, 亜鉛, マグネシウム

10.6 危険有害な分解生成物

火災の場合:項目5を参照

11. 有害性情報

急性毒性

経口
GHS分類: 区分3 ラットのLD50値として、120 mg/kg (雄) (SIDS (2004)、150 mg/kg (DFGOT vol.9 (1998)、ATSDR (1992))、151 mg/kg (雌雄) (SIDS (2004)、170 mg/kg (雌) (SIDS (2004)、DFGOT vol.9 (1998))、188 mg/kg (雌)、190 mg/kg (雌雄) (SIDS (2004)、205 mg/kg (雄) (SIDS (2004)、DFGOT vol.9 (1998))、320 mg/kg (IARC 63 (1995))、442 mg/kg (DFGOT vol.9 (1998))、444 mg/kg (DFGOT vol.9 (1998)、ATSDR (1992))、450 mg kg (雄) (ACGIH (7th, 2015))、505 mg/kg (ACGIH (7th, 2001))、150~505 mg/kg (EPA IRIS Summary (2009)、CICAD 56 (2003)) の13件の報告がある。7件が区分3に、5件が区分4に、1件が区分3~区分4に該当することから、件数の最も多い区分3とした。
経皮
GHS分類: 区分3 ウサギのLD50値 (OECD TG 402) として、900 mg/kg (雄)、850 mg/kg (雌) (SIDS (2004)、DFGOT vol.9 (1998))、880 mg/kg (雄雌) (SIDS (2004)) との報告に基づき、区分3とした。
吸入:ガス
GHS分類: 分類対象外 GHSの定義における液体である。
吸入:蒸気
GHS分類: 区分2 ラットのLC50値 (4時間) として、約3,000 mg/m3 (換算値:約497.5 ppm) (SIDS (2004)、CICAD 56 (2003)、EPA IRIS Summary (2009)、DFGOT vol.9 (1998)、ACGIH (7th, 2015)、ただしACGIHでは500 ppmと記載) との報告に基づき、区分2とした。なお、ラットのLC50値 (4時間) (OECD TG 403) として、> 4.8 mg/L (換算値:> 796 ppm) (SIDS (2004)) との報告があるが、この値のみでは区分を特定できない。なお、LC50値が飽和蒸気圧濃度 (4,870 ppm) の90%より低いため、ミストを含まないものとしてppmを単位とする基準値を適用した。
吸入:粉じん及びミスト
GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。

皮膚腐食性及び皮膚刺激性

GHS分類: 区分外 0.5 mL の被験物質をウサギに4時間貼付したの皮膚刺激性試験 (OECD TG 404準拠) で、皮膚刺激性が認められなかったことから (SIDS (2004))、区分外とした。

眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性

GHS分類: 区分2 ウサギの眼刺激性試験で軽度~中等度の刺激性がみられた (DFGOT vol.9 (1992)、SIAP (2004)、ACGIH (7th, 2015))。一部の試験で中等度の刺激性が7日以内に回復したとの記載があるが、細分類できなかったため、区分2とした。

呼吸器感作性

GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。

皮膚感作性

GHS分類: 分類できない モルモットの皮膚感作性試験において、マキシマイゼーション法を含む2試験で陽性、ビューラー法を含む2試験で陰性の結果があり (ATSDR (1992)、CICAD 56 (2003)、SIAP (2004))、分類できない。

生殖細胞変異原性

GHS分類: 区分2 In vivoでは、ラットの優性致死試験、マウス骨髄細胞の小核試験で陰性、ラットの肝臓、腎臓を用いたコメットアッセイ、ラット及びマウスの複数の臓器を用いたDNA付加体形成試験で陽性である (EPA IRIS Tox review(2009)、IARC 63 (1995)、DFGOT vol.9 (1998)、ACGIH (7th, 2015)、環境省リスク評価第13巻 (2015))。In vitroでは、細菌の復帰突然変異試験、哺乳類培養細胞のマウスリンフォーマ試験、染色体異常試験、姉妹染色分体交換試験での代謝活性化系で陽性、小核試験では非代謝活性化系で陽性結果が報告されている (EPA IRIS Tox review (2009)、IARC 63 (1995)、NTP TR384 (1993)、DFGOT vol.9 (1998)、ACGIH (7th, 2015)、環境省リスク評価第13巻 (2015))。以上より、ガイダンスに従い、区分2とした。

発がん性

GHS分類: 区分1B ヒトの発がん性に関する情報はない。実験動物ではラット、又はマウスに2年間強制経口投与した発がん性試験において、口腔粘膜扁平上皮の乳頭腫/がん、前胃の扁平上皮乳頭腫/がん、肝細胞の腺腫/がん、ハーダー腺の腺腫がラット及びマウスの雄及び/又は雌に、ジンバル腺、膵臓、腎臓、包皮腺、陰核腺、乳腺の腫瘍がラットの雄又は雌に、子宮の腫瘍がマウス雌に認められ、ラット、マウスの雌雄いずれも明らかな発がん性の証拠があると結論された (NTP TR 384 (1993))。既存分類はIARCがグループ2Aに (IARC 63 (1995))、EPAがL (Likely to be carcinogenic to humans: 区分1B相当) に (IRIS Summary (2009))、NTPがRに (NTP RoC (13th, 2014))、EUがCarc. 1Bに (ECHA SVHC support document (2011))、ACGIHがA2に (ACGIH (7th, 2015))、日本産業衛生学会が第2群Aに (許容濃度の勧告 (2015))、それぞれ分類している。よって、本項は区分1Bとした。

生殖毒性

GHS分類: 区分1B マウスを用いた経口経路 (強制経口投与) による連続交配試験において、F0世代では肝臓の絶対・相対重量の増加(雌雄)、腎臓の絶対・相対重量の減少 (雌) が認められた高用量 (120 mg/kg/day) で、5回の妊娠・出産を繰返したうち、受胎率の低下 (3回目の妊娠以降)、生存児数の減少 (2回目の出産以降)、妊娠期間の延長 (4回目の妊娠以降) がみられた。最後の出産児をF1世代として離乳後F0と同様に投与し、成長後同一用量群同士を交配させた結果、30 mg/kg/day 以上の群で性周期の延長、120 mg/kg/dayで受胎率の低下が認められた (環境省リスク評価第13巻 (2015)、ACGIH (7th, 2015)、CICAD 56 (2003))。 以上、親動物に体重増加抑制など明らかな毒性影響が生じない用量で、生殖毒性影響 (受胎率の低下、生存産児数の減少、性機能への影響) がみられたことから、本項は区分1Bとした。なお、EUは本物質をRepr. 1Bに分類し、発がん性結果も併せてSVHC指定している (ECHA SVHC support document (2011))。

特定標的臓器毒性(単回ばく露)

GHS分類: 区分1 (神経系、副腎)、区分3 (気道刺激性) 本物質のラット及びモルモットを用いた単回吸入ばく露試験において昏睡と痙攣及び副腎皮髄の壊死が区分1のガイダンス値範囲の濃度で認められたとの報告がある (ACGIH (7th, 2015)、NTP TR384 (1993))。さらにラット及びマウスを用いた吸入ばく露試験において呼吸困難、不活発、上気道刺激が認められたとの記述 (ACGIH (7th, 2001))、及びヒトばく露例で喉に刺激性が認められたとの記述がある (ACGIH (7th, 2015)、CICAD 56 (2003)、DFGOT vol.9 (1998)、IARC 63 (1995) 及び ATSDR (1992))。以上より区分1 (神経系、副腎)、区分3 (気道刺激性) とした。

特定標的臓器毒性(反復ばく露)

GHS分類: 区分1 (呼吸器、肝臓、血液系、膵臓、腎臓)、区分2 (心臓) ヒトに関する情報はない。 実験動物では、ラットを用いた13週間吸入毒性試験において、区分1相当である4.5 ppm (ガイダンス値換算:0.02 mg/L)で肝臓への影響 (肝細胞肥大)、血液への影響 (脾臓の髄外造血亢進) (CICAD 56 (2003)、ACGIH (7th 2001)、DFGOT vol.9 (1998)、IARC 63 (1995)、NTP TR384 (1993)、ATSDR (1992))、ラットを用いた11日間吸入毒性試験において区分1相当である2.9 ppm (ガイダンス値換算:0.0021 mg/L) で呼吸器 (鼻甲介嗅上皮の菲薄化)、132 ppm (ガイダンス値換算:0.097 mg/L) で肝臓 (肝細胞壊死) の報告があり、マウスを用いた11日間吸入毒性試験において同様に区分1相当の濃度で肝臓及び呼吸器への影響が報告されている (環境省リスク評価第13巻 (2015))。
ラットを用いた強制経口投与による90日間反復投与毒性試験において、区分2相当の59 mg/kg/dayで肝臓への影響 (胆管過形成、AST及びALT増加)、心臓への影響 (心筋への影響、(AST増加)) が報告されている (CICAD 56 (2003)、DFGOT vol.9 (1998)、IARC 63 (1995)、環境省リスク評価第13巻 (2015))。ラットを用いた強制経口投与による17週間反復投与毒性試験において、区分1の範囲である8~16 mg/kg/day (90日換算:3.6~7.1 mg/kg/day) で血液系への影響 (ヘマトクリット値・赤血球数・ヘモグロビン濃度減少等)、マウスを用いた強制経口投与による17週間反復投与毒性試験において、区分2相当の63 mg/kg/day (90日換算:59.5 mg/kg/day) で前胃への影響 (前胃の角質増殖と扁平上皮過形成)、呼吸器への影響 (細気管支の再生変性) が報告されている (CICAD 56 (2003)、ACGIH (7th, 2001)、DFGOT vol.9 (1998)、IARC 63 (1995)、IRIS Tox. review (2009)、NTP TR384 (1993)、ATSDR (1992)、環境省リスク評価第13巻 (2015))。ラットを用いた強制経口投与による104週間反復投与毒性試験において、区分1相当の3 mg/kg/dayで前胃への影響 (基底細胞及び扁平上皮の過形成)、膵臓への影響 (腺房の限局性過形成)、10 mg/kg/dayで腎臓への影響 (尿細管上皮の限局性過形成) が報告されている (環境省リスク評価第13巻 (2015))。 これらの所見のうち、前胃の変化については刺激性に起因したものと考え標的臓器とはしなかった。 したがって、区分1 (呼吸器、肝臓、血液系、膵臓、腎臓)、区分2 (心臓) とした。

吸引性呼吸器有害性

GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。なお、HSDB (Access on June 2016) に収載された数値データ (粘性率: 0.25 mPa・s (20℃)、密度: 1.389 g/cm3 (20℃)) より、動粘性率は0.14 mm2/sec (20/20℃) と算出される。

12. 環境影響情報

12.1 生態毒性

魚毒性
流水式試験 LC50 - Pimephales promelas (ファットヘッドミノウ) - 66.5 mg/l
- 96 h
(US-EPA)
ミジンコ等の水生無脊
止水式試験 EC50 - Daphnia magna (オオミジンコ) - 約 20 mg/l - 48 h
椎動物に対する毒性
(OECD 試験ガイドライン 202)
藻類に対する毒性
止水式試験 EC50 - Pseudokirchneriella subcapitata (緑藻) - 49.6 mg/l - 72 h
(OECD 試験ガイドライン 201)
微生物毒性
止水式試験 IC50 - バクテリア - 30 mg/l - 24 h
(ISO 9509)

12.2 残留性・分解性

生分解性
好気性 - 曝露時間 28 d
結果: 0 % - 易分解性ではない。
(OECD テスト ガイドライン 301C)

12.3 生体蓄積性

生体蓄積性 Cyprinus carpio (コイ) - 6 週
(1,2,3-トリクロロプロパン)
生物濃縮因子(BCF): 5.3 - 13
(OECD 試験ガイドライン 305)

12.4 土壌中の移動性

データなし

12.5 PBT および vPvB の評価結果

化学物質安全性評価が必要ではない/行っていないため、PBT/vPvB評価データはない。

13. 廃棄上の注意

13.1 廃棄物処理方法

製品
このような可燃性の物質は、 アフターバーナーとスクラバーが備えられた化学焼却炉で焼却しても差し支えないと考えられる。 免許を有する廃棄物処理業者に、余剰物で再使用不可の溶液として処理を依頼する。汚染容器及び包装製品入り容器と同様に処分する。

14. 輸送上の注意

14.1 国連番号

ADR/RID (陸上規制): 2810    IMDG (海上規制): 2810    IATA-DGR (航空規制): 2810

14.2 国連輸送名

ADR/RID (陸上規制): TOXIC LIQUID, ORGANIC, N.O.S. (1,2,3-トリクロロプロパン)
IMDG (海上規制): TOXIC LIQUID, ORGANIC, N.O.S. (1,2,3-Trichloropropane)
IATA-DGR (航空規制): Toxic liquid, organic, n.o.s. (1,2,3-Trichloropropane)

14.3 輸送危険有害性クラス

ADR/RID (陸上規制): 6.1    IMDG (海上規制): 6.1    IATA-DGR (航空規制): 6.1

14.4 容器等級

ADR/RID (陸上規制): III IMDG (海上規制): III IATA-DGR (航空規制): III

14.5 環境危険有害性

ADR/RID: 該当 IMDG 海洋汚染物質(該当・非該当): IATA-DGR (航空規制): 非該当
該当

14.6 特別の安全対策

なし

14.7 混触危険物質

強酸化剤, 強塩基類, 強酸, アルミニウム, スズ/スズ酸化物, 亜鉛, マグネシウム

15. 適用法令

化審法

旧第2種監視化学物質(旧法第2条第5項)

労働安全衛生法

名称等を表示すべき危険有害物(法第57条、施行令第18条別表第9) 名称等を通知すべき危険有害物(法第57条の2、施行令第18条の2別表第9) リスクアセスメントを実施すべき危険有害物(法第57条の3) 変異原性が認められた既存化学物質(法第57条の5、労働基準局長通達)

船舶安全法

毒物類・毒物(危規則第3条危険物告示別表第1)

航空法

毒物類・毒物(施行規則第194条危険物告示別表第1)

消防法

第4類引火性液体、第三石油類非水溶性液体(法第2条第7項危険物別表第1)

大気汚染防止法

有害大気汚染物質に該当する可能性がある物質(中央環境審議会第9次答申)

海洋汚染防止法

有害液体物質(Y類物質)(施行令別表第1)

化学物質排出把握管理促進法(PRTR法)

第1種指定化学物質(法第2条第2項、施行令第1条別表第1)

外国為替及び外国貿易管理法

輸入貿易管理令第4条第1項第2号輸入承認品目「2の2号承認」 輸出貿易管理令別表第1の16の項 輸出貿易管理令別表第2(輸出の承認)

特定廃棄物輸出入規制法(バーゼル法)

廃棄物の有害成分・法第2条第1項第1号イに規定するもの(平10三省告示1号)

16. その他の情報

略語と頭字語

ADR: 道路による危険物の国際輸送に関する欧州協定
CAS: ケミカルアブストラクトサービス
EC50: 有効濃度 50%
IATA:国際航空運送協会
IMDG: 国際海上危険物
LC50: 致死濃度 50%
LD50: 致死量 50%
RID: 鉄道による危険物の国際運送に関する規則
STEL: 短期暴露限度
TWA: 時間加重平均

参考文献

【1】労働安全衛生法 ウェブサイト https://www.mhlw.go.jp
【2】化学物質審査規制法(化審法)https://www.env.go.jp
【3】化学物質排出把握管理促進法(PRTR法) https://www.chemicoco.env.go.jp
【4】NITE化学物質総合情報提供システム (NITE-CHRIP)https://www.nite.go.jp/
【5】カメオケミカルズ公式サイト http://cameochemicals.noaa.gov/search/simple
【6】ChemIDplus、ウェブサイト http://chem.sis.nlm.nih.gov/chemidplus/chemidlite.jsp
【7】ECHA - 欧州化学物質庁、ウェブサイト https://echa.europa.eu/
【8】eChemPortal - OECD 化学物質情報グローバルポータル、ウェブサイトhttp://www.echemportal.org/echemportal/index?pageID=0&request_locale=en
【9】ERG - 米国運輸省による緊急対応ガイドブック、ウェブサイトhttp://www.phmsa.dot.gov/hazmat/library/erg
【10】有害物質に関するドイツ GESTIS データベース、ウェブサイトhttp://www.dguv.de/ifa/gestis/gestis-stoffdatenbank/index-2.jsp
【11】HSDB - 有害物質データバンク、ウェブサイト https://toxnet.nlm.nih.gov/newtoxnet/hsdb.htm
【12】IARC - 国際がん研究機関、ウェブサイト http://www.iarc.fr/
【13】IPCS - The International Chemical Safety Cards (ICSC)、ウェブサイトhttp://www.ilo.org/dyn/icsc/showcard.home
【14】Sigma-Aldrich、ウェブサイト https://www.sigmaaldrich.com/
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