急性毒性
経口
【分類根拠】 (1) より、区分に該当しないとした。
【根拠データ】 (1) ラットのLD50: > 3,000 mg/kg (AICIS (旧NICNAS) IMAP (2015))
経皮
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。
吸入: ガス
【分類根拠】 GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。
吸入: 蒸気
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。
吸入: 粉じん及びミスト
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。
皮膚腐食性及び皮膚刺激性
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。
【参考データ等】 (1) EU-CLP分類でSkin Irrit. 2 (H315) に分類されている(EU CLP分類 (Access on August 2020))。
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。
【参考データ等】 (1) EU-CLP分類でEye Dam. 1 (H318) に分類されている (EU CLP分類 (Access on August 2020))。
呼吸器感作性
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。
皮膚感作性
【分類根拠】 (1)~(2) より、区分1とした。新しいデータ (1)、(2) が得られたことから区分を変更した。。
【根拠データ】 (1) 本物質を含むジスパースブルー色素はこれらを含む繊維へのばく露後に接触性アレルギー性皮膚炎の多数の症例と関連性があるとされてきた。ジスパースブルー染料は繊維性皮膚炎を生じる最もありふれたアレルゲンであると報告されている (AICIS (旧NICNAS) IMAP (2015))。 (2) 初期のモルモットを用いた皮膚感作性試験で、中程度の皮膚感作性物質に分類されると結論された報告がある (AICIS (旧NICNAS) IMAP (2015))。
【参考データ等】 (3) マウス(BALB/c、雌)を用いたLLNA変法による皮膚感作性試験(適用濃度: 3%及び10%)では、細胞数及びリンパ節重量の増加、CD8+リンパ球の減少などから、中程度の皮膚感作性物質と評価された (AICIS (旧NICNAS) IMAP (2015))。 (4) EU-CLP分類でSkin Sens. 1 (H317)に分類されている (EU CLP分類 (Access on August 2020))。
生殖細胞変異原性
【分類根拠】 (1)~(3) より、分類できないとした。
【根拠データ】 (1) in vivoでは、マウス腹腔内投与の骨髄細胞を用いた小核試験で陰性 (CEBS (Access on May 2020))、ハムスター腹腔内投与 (単回または反復投与) の骨髄細胞を用いた染色体異常試験で陰性、ラットの遺伝性 (相互) 転座試験で陰性の報告がある (AICIS (旧NICNAS) IMAP (2015))。 (2) in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験で陽性 (IARC 48 (1990)、NTP TR299 (1986)、AICIS (旧NICNAS) IMAP (2015)、CEBS (Access on May 2020)、HSDB (Access on May 2020))、哺乳類培養細胞を用いた染色体異常試験で陽性、姉妹染色分体交換試験で陽性、遺伝子突然変異試験で陽性、形質転換試験で陽性の報告がある (NTP RoC (14th, 2016)、AICIS (旧NICNAS) IMAP (2015)、CEBS (Access on May 2020)、HSDB (Access on May 2020))。 (3) AICISでは、in vivoにおける評価が不十分なため、遺伝毒性について明確な結論が導けないとしている (AICIS (旧NICNAS) IMAP (2015))。
発がん性
【分類根拠】 (1)~(3) より、区分2とした。
【根拠データ】 (1) 国内外の分類機関による既存分類では、IARCでグループ2B (IARC 48 (1990))、産衛学会で第2群B (産業衛生学雑誌許容濃度等の勧告 (1991年提案))、NTPでR (NTP RoC (14th, 2016))、EU CLP分類でCarc.1B (EU CLP分類 (Access on May 2020)) に分類されている。 (2) 雌雄のラットに本物質を2年間混餌投与した発がん性試験において、雌雄で膀胱の移行上皮乳頭腫及びがん、扁平上皮乳頭腫及びがん、雌で尿道膀胱の平滑筋腫及び平滑筋肉腫の用量依存的な増加が認められた。 さらに、膀胱結石が、膀胱新生物が増加したラット群で観察された。雄では、膵臓の膵島細胞腺腫及びがんの発生率がわずかに増加した。これらより、本物質の発がん性に関して、雌雄のラットには明らかな証拠 (clear evidence) があると結論された (NTP TR299 (1986)、IARC 48 (1990))。 (3) 雌雄のマウスに本物質を2年間混餌投与した発がん性試験において、雄で肺胞/細気管支腺腫及びがんの合計の発生率の増加、肝細胞腺腫又はがんの合計の発生率のがわずかな増加が認められた。これらより、本物質の発がん性に関して、雄のマウスにはあいまいな証拠 (equivocal evidence) があり、雌のマウスには発がん性の証拠はないと結論された (NTP TR299 (1986)、IARC 48 (1990))。
生殖毒性
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。
特定標的臓器毒性 (単回ばく露)
【分類根拠】 本物質のヒトでの単回ばく露に関する報告はない。動物試験では経口投与で (1) の影響がみられたのみで他の投与経路のデータはなく、データ不足のため分類できない。
【参考データ等】 (1) ラット、マウスの経口投与試験 (それぞれ、最高用量3,000 mg/kg、2,000 mg/kg) において、唯一の投与関連の影響として、本物質投与後の尿の青色化がみられたとの報告がある (AICIS (旧NICNAS) IMAP (2015)、NTP TR299 (1986))。
特定標的臓器毒性 (反復ばく露)
【分類根拠】 本物質のヒトでの反復ばく露に関する報告はない。実験動物では、(1) より区分2の用量で腎臓及び膀胱への影響がみられていることから、区分2 (腎臓、膀胱) とした。情報の再検討により、旧分類から分類結果を変更した。
【根拠データ】 (1) ラットの103週間混餌投与試験では、1,250 ppm (雄/雌: 45/56 mg/kg/day、いずれも区分2の範囲) 以上で腎臓及び膀胱の色素沈着、腎尿細管円柱及び腎尿細管変性、2,500 ppm (雄/雌: 95/111 mg/kg/day、それぞれ区分2の範囲/区分2超) 以上で膀胱結石、膀胱上皮化生、膀胱及び腎臓の上皮過形成がみられたとの報告がある (IARC 48 (1990)、NTP TR299 (1986))。
【参考データ等】 (2) マウスの104週間混餌投与試験では、600 ppm (雄/雌: 112/108 mg/kg/day、いずれも区分2超の範囲) 以上で腎臓及び膀胱の色素沈着、腎尿細管円柱、腎尿細管変性がみられ、雄ではさらに膀胱の炎症性リンパ球浸潤もみられたとの報告がある。本試験では1,200 ppm (雄/雌: 239/235 mg/kg/day、いずれも区分2超) 以上で膀胱の炎症、雄ではさらに膀胱結石、膀胱上皮過形成、膀胱線維化もみられており、膀胱の炎症性変化は、結石形成による影響の可能性がある (IARC 48 (1990)、NTP TR299 (1986))。
誤えん有害性*
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。
* JIS Z7252の改訂により吸引性呼吸器有害性から項目名が変更となった。本有害クラスの内容に変更はない。