急性毒性
経口
GHS分類: 区分4
ラットのLD50値として、1,200~2,400 mg/kg (雄、EU-RAR (2002))、1,600~1,900 mg/kg (雌、EU-RAR (2002))、1,300~2,462 mg/kg (NITE初期リスク評価書 (2005)、SIAP (2001)) との3件の報告があり、それぞれ区分4~区分外、区分4、区分4~区分外に該当する。これらに基づき、有害性の高い区分を採用し、区分4とした。
経皮
GHS分類: 区分外
ウサギのLD50値として、2,031 mg/kg (EU-RAR (2002)、NITE初期リスク評価書 (2005)、環境省リスク評価第2巻 (2003)、SIAP (2001)) の報告に基づき、区分外 (国連分類基準の区分5) とした。
吸入:ガス
GHS分類: 分類対象外
GHSの定義における液体である。
吸入:蒸気
GHS分類: 分類できない
データ不足のため分類できない。
吸入:粉じん及びミスト
GHS分類: 分類できない
データ不足のため分類できない。
皮膚腐食性及び皮膚刺激性
GHS分類: 区分1C
ウサギの皮膚刺激性試験 (OECD TG 404の3試験、詳細不明な1試験) において、4時間適用で全層壊死、潰瘍形成などの腐食性を示唆する変化が認められ、また、その内の2試験では3分から1時間適用群が設けられ、軽度から重度の刺激性がみられたが、腐食性を示唆する壊死等は認められなかったと報告されている (NITE初期リスク評価書 (2005)、EU-RAR (2002))。その他、ウサギの皮膚刺激性試験 (OECD TG 404の2試験、詳細不明な1試験) においても、中等度~重度の刺激性が認められたとの報告がある (NITE初期リスク評価書 (2005)、EU-RAR (2002)、CEPA (2001))。以上の結果から、本物質は腐食性を有すると考えられ、3分から1時間の適用で腐食性は認められなかったことから、区分1Cとした。
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性
GHS分類: 区分1
ウサギの眼刺激性試験 (OECD TG 405、3試験) において、結膜発赤 (スコア3)、角膜混濁 (スコア3又は4) がみられ、重度の刺激性が報告されている (EU-RAR (2002))。その他、ウサギの眼刺激性試験 (3試験) において、詳細は不明であるが中等度~重度の刺激性が認められたと報告されている (NITE初期リスク評価書 (2005)、CEPA (2001))。よって、区分1とした。
呼吸器感作性
GHS分類: 分類できない
データ不足のため分類できない。
皮膚感作性
GHS分類: 区分外
モルモットを用いた皮膚感作性試験 (OECD TG 406を含むマキシマイゼーション法、3試験) において、本物質に皮膚感作性は認められなかった (NITE初期リスク評価書 (2005)、EU-RAR (2002)、SIAP (2001))。その他、モルモットの皮膚感作性試験においても、試験の詳細は不明であるが陰性であるとの記述がある (NITE初期リスク評価書 (2005)) ことから、区分外とした。
生殖細胞変異原性
GHS分類: 分類できない
ガイダンスの改訂により区分外が選択できなくなったため、分類できないとした。すなわち、in vivoでは、マウスの骨髄細胞を用いる小核試験で陰性 (EU-RAR (2002))、in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験、哺乳類培養細胞の遺伝子突然変異試験、染色体異常試験で陰性である (NITE初期リスク評価書 (2005)、厚労省既存化学物質毒性データベース (Access on October 2016)、EU-RAR (2002))。
発がん性
GHS分類: 分類できない
データ不足のため分類できない。
生殖毒性
GHS分類: 区分2
ラットを用いた混餌投与による3世代試験において、F0~F2親動物に一般毒性影響 (体重増加抑制、腎臓相対重量減少、腎尿細管の変性) がみられる用量 (50~160 mg/kg/day) で、F1~F3児動物に膣開口の早期化、子宮重量増加、卵巣重量減少、性周期の延長 (F1、F2)、精巣上体精子濃度の低下、精巣精子細胞の減少がみられた (EU-RAR (2002))。また、ラット2世代試験でもF0、F1親動物に腎臓及び肝臓重量増加 (雄)、卵巣重量減少 (雌) がみられる用量 (50 mg/kg/day) で、F1児動物の生存率低下、膣開口の早期化、着床数の減少及びF2生存児数の減少がみられた (NITE初期リスク評価書 (2005)、環境省リスク評価書第2巻 (2003))。以上、ラットを用いた2世代及び3世代試験において、概ね親動物に一般毒性影響のみられる用量で、児動物に性機能・生殖器官への影響や生存率低下など次世代への影響がみられており、本項は区分2が妥当と考えられた。なお、EUは本物質をRepr. 2 に分類している (ECHA C&L Inventory (Access on October 2016))。