安全データシート

フタル酸ジヘプチル

改訂日:2024-01-24版番号:1

1. 化学品及び会社情報

製品識別子

  • 製品名: フタル酸ジヘプチル
  • CB番号: CB1212299
  • CAS: 3648-21-3
  • EINECS番号: 222-885-4
  • 同義語: フタル酸ジヘプチル

物質または混合物の関連する特定された用途、および推奨されない用途

  • 関連する特定用途: 可塑剤
  • 推奨されない用途: なし

会社ID

  • 会社名:Chemicalbook
  • 住所:北京市海淀区上地十街匯煌国際1号棟
  • 電話:400-158-6606

2. 危険有害性の要約

GHS分類

分類実施日
GHS改訂4版を使用
平成24年。政府向けGHS分類ガイダンス(H22.7版)を使用
健康に対する有害性
生殖毒性   区分2
環境に対する有害性
水生環境有害性 (急性):H18.3.31、H24年度の分類は実施中のため、H18年度の分類を記載(GHS分類マニュアル(H18.2.10 版)を使用)。 水生環境有害性 (長期間):H18.3.31、H24年度の分類は実施中のため、H18年度の分類を記載(GHS分類マニュアル(H18.2.10 版)を使用)。
<環境分類実施日に関する情報>
オゾン層への有害性   分類実施中
水生環境有害性 (急性)   区分1

2.2 注意書きも含むGHSラベル要素

絵表示
GHS07GHS08
注意喚起語
警告
危険有害性情報
H361 生殖能又は胎児への悪影響のおそれの疑い。
H335 呼吸器への刺激のおそれ。
H319 強い眼刺激。
H315 皮膚刺激。
注意書き
安全対策
P280 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P271 屋外又は換気の良い場所でだけ使用すること。
P264 取扱い後は皮膚をよく洗うこと。
P261 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P202 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P201 使用前に取扱説明書を入手すること。
応急措置
P337 + P313 眼の刺激が続く場合:医師の診察/手当てを受けること。
P332 + P313 皮膚刺激が生じた場合:医師の診察/手当てを受けること。
P308 + P313 ばく露又はばく露の懸念がある場合:医師の診察/手当てを受けること。
P305 + P351 + P338 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P304 + P340 + P312 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し,呼吸しやすい姿勢で休息させること。 気分が悪いときは医師に連絡すること。
P302 + P352 皮膚に付着した場合:多量の水で洗うこと。
保管
P405 施錠して保管すること。
P403 + P233 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
廃棄
P501 内容物/容器を承認された処理施設に廃棄すること。

2.3 他の危険有害性

なし

3. 組成及び成分情報

  • 化学物質・混合物の区別: 化学物質
  • 別名: Phthalic acid diheptyl ester
  • 化学特性(示性式、構造式 等): C22H34O4
  • 分子量: 362.51 g/mol
  • CAS番号: 3648-21-3
  • EC番号: 222-885-4
  • 化審法官報公示番号: 3-1307
  • 安衛法官報公示番号: -

4. 応急措置

4.1 必要な応急手当

一般的アドバイス
この安全データシートを担当医に見せる。
吸入した場合
吸入後は新鮮な空気を吸うこと。
皮膚に付着した場合
皮膚に接触した場合: すべての汚染された衣類を直ちに脱ぐこと。 皮膚を流水/シャワーで洗うこと。 医師に相談する。
眼に入った場合
眼に触れた後は多量の水ですすぐこと。 眼科医の診察を受けること。 コンタクトレンズをはずす。
飲み込んだ場合
飲み込んだ後はただちに水を飲ませること(多くても2杯) 医師に相談する。

4.2 急性症状及び遅発性症状の最も重要な徴候症状

もっとも重要な既知の徴候と症状は、ラベル表示(項目2.2を参照)および/または項目11に記載されている

4.3 緊急治療及び必要とされる特別処置の指示

データなし

5. 火災時の措置

5.1 消火剤

使ってはならない消火剤
本物質/混合物に対する消火剤の制限なし
適切な消火剤
泡 二酸化炭素(CO2) 粉末

5.2 特有の危険有害性

火災時に有害な燃焼ガスや蒸気を生じるおそれあり。
高熱で空気と反応して爆発性混合物を生じる
蒸気は空気より重く、床に沿って広がることがある。
可燃性。
炭素酸化物

5.3 消防士へのアドバイス

自給式呼吸器がある場合のみ危険区域に留まってもよい。安全なゾーンまで離れるか適切な保護衣を着用して、皮膚に触れないようにすること。

5.4 詳細情報

消火水が、地上水または地下水のシステムを汚染しないようにする。

6. 漏出時の措置

6.1 人体に対する注意事項、保護具及び緊急時措置

救急隊員以外への助言: 蒸気、エアゾールを吸入してはならない。 触れないようにすること。 十分な換気を確保する。 危険なエリアから避難し、緊急時手順に従い、専門家に相談のこと個人保護については項目 8 を参照する。

6.2 環境に対する注意事項

物質が排水施設に流れ込まないようにする。

6.3 封じ込め及び浄化の方法及び機材

排水溝に蓋をすること。こぼれたら集めて結合させ、ポンプですくい取る。 物質の制限があれば順守のこと (セクション 7、10参照) 液体吸収剤(例. Chemizorb® )で処置すること。 正しく廃棄すること。関係エリアを清掃のこと。

6.4 参照すべき他の項目

廃棄はセクション13を参照。

7. 取扱い及び保管上の注意

7.1 安全な取扱いのための予防措置

注意事項は項目2.2を参照。

7.2 配合禁忌等を踏まえた保管条件

保管クラス
保管クラス (ドイツ) (TRGS 510): 10: 可燃性液体
保管条件
密閉のこと。

7.3 特定の最終用途

項目1.2に記載されている用途以外には、その他の特定の用途が定められていない

8. ばく露防止及び保護措置

8.1 管理濃度

コンポーネント別作業環境測定パラメータ
許容濃度が設定されている物質を含有していない。

8.2 曝露防止

適切な技術的管理
汚した衣類はただちに替えること。予防的な皮膚保護を講じること。本物質を取り扱った後は手と顔
を洗うこと。
保護具
眼/顔面の保護
NIOSH(US)またはEN 166(EU)などの適切な政府機関の規格で試験され、認められた眼の
保護具を使用する。 保護眼鏡
皮膚及び身体の保護具
身体の保護
保護衣
呼吸用保護具
気化ガス/エアロゾル発生時に必要
次の規格に準拠しているフィルター式呼吸器保護具を推奨します。DIN EN 143、DIN 14387お
よび使用済み呼吸器保護システムに関連する他の付属規格。
環境暴露の制御
物質が排水施設に流れ込まないようにする。

9. 物理的及び化学的性質

物理的状態

形状
液体(HSDB (2009))
無色(ICSC(J) (2003))
臭い
無臭(ICSC(J) (2003))
臭いのしきい(閾)値
データなし。
pH
データなし。

融点・凝固点

-46℃NITE総合検索 (Access on Apr. 2012)(元:神奈川県環境科学センター化学物質安全情報提供システム(Kis-et)(http://www.kerc.pref.kanagawa.jp/kisnet/index.htm))

沸点、初留点及び沸騰範囲

360℃(CRC (91st, 2010))

引火点

113℃(CC)(MSDS (Sigma-Aldrich) (2012))

蒸発速度(酢酸ブチル=1)

データなし。

燃焼性(固体、気体)

データなし。

燃焼又は爆発範囲

データなし。

蒸気圧

0.00000207 mmHg(25℃)(SRC Phys Prop (Access on Apr. 2012))

蒸気密度

データなし。

比重(相対密度)

0.99(ICSC(J) (2003))

溶解度

ベンゼン、トルエン、ガソリン、灯油、ミネラルオイルに溶解。(HSDB (2009))
水:0.00183 mg/L(25℃, EST)(SRC Phys Prop (Access on Apr. 2012))

n-オクタノール/水分配係数

7.6 (概算)(ICSC(J) (2003))

自然発火温度

データなし。

分解温度

データなし。

粘度(粘性率)

データなし。

10. 安定性及び反応性

10.1 反応性

引火点より下のおよそ15ケルビンからの範囲は危険とみなされている。
高熱で空気と反応して爆発性混合物を生じる

10.2 化学的安定性

標準的な大気条件(室温)で化学的に安定。

10.3 危険有害反応可能性

データなし

10.4 避けるべき条件

強力な熱

10.5 混触危険物質

強酸化剤

10.6 危険有害な分解生成物

火災の場合:項目5を参照

11. 有害性情報

急性毒性

経口
ラットに2000 mg/kg投与により死亡例はなく、LD50値は>2000 mg/kg(厚労省報告 (Access on Apr. 2012))に基づき区分外とした。GHS分類:区分外
経皮
データなし。GHS分類:分類できない
吸入:ガス
GHSの定義における液体である。GHS分類:分類対象外
吸入:蒸気
データなし。GHS分類:分類できない
吸入:粉じん及びミスト
データなし。GHS分類:分類できない

皮膚腐食性及び刺激性

データなし。GHS分類:分類できない

眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性

データなし。GHS分類:分類できない

呼吸器感作性

データなし。GHS分類:分類できない

皮膚感作性

データなし。GHS分類:分類できない

生殖細胞変異原性

in vivo試験のデータが無いので分類できない。なお、in vitro試験としてエームス試験およびチャイニーズハムスターCHL細胞を用いた染色体異常試験でいずれも陰性の結果(厚労省報告(Access on Apr. 2012))が報告されている。GHS分類:分類できない

発がん性

データなし。GHS分類:分類できない

生殖毒性

ラット雌雄に交配前14日から交配を経て、雄は計42日間、雌は妊娠、分娩を経て哺育3日まで経口投与した簡易生殖毒性試験において、1000 mg/kg群で雌7例が妊娠20-22日に死亡し、死亡に起因する出産率の低下が認められたが、その他の性機能および生殖能の指標には変化がなく、また、新生児に対しても外表検査を含め、発生の指標に投与の影響は認められなかった(厚労省報告 (2007))。一方、マウスの妊娠期間に単回経口投与した試験において、胚/胎仔の死亡率増加が対照群を除く全群でみられ、8日目に7.5 mL/kg を投与した群の胚は100%吸収されていた。また、8、9日目に投与した群の胎仔で外表系奇形の増加がみられ、脳ヘルニア、眼瞼開裂、口蓋裂、欠趾が多かった。10、11日目の投与群では尾の異常、欠趾、血腫が多く、骨格系の奇形/変異は頭蓋骨、椎骨、肋骨、肢骨にみられ、8日目に2.5 mL/kg を投与した群では全数の胎仔に肋骨融合がみられた(環境省リスク評価 第5巻 (2006))。以上より、ラットの一世代生殖試験で生殖毒性は認められなかったが、マウスの妊娠期間中に単回経口投与した発生毒性試験で、親動物での一般毒性について記述がなく、胚/胎仔の死亡率増加、胚の100%吸収、外表奇形の増加、骨格系の奇形/変異の増加が報告されていることに基づき区分2とした。GHS分類:区分2

特定標的臓器毒性(単回ばく露)

ラットの単回経口投与試験(OECD TG401, GLP)(投与量 500, 1000, 2000 mg/kg bw)の結果、いずれの用量においても死亡は無く、一般状態観察、体重推移、剖検及び病理組織学的検査においても本物質投与による影響は認められなかった(厚労省報告 (Access on Apr. 2012))。この結果から経口経路では区分外相当となるが、他経路によるばく露のデータはなくその影響が不明のため、特定標的臓器毒性(単回暴露)の分類としては「分類できない」とした。GHS分類:分類できない

特定標的臓器毒性(反復ばく露)

ラットの28日間反復経口投与試験において、肝臓に対する影響として、雄の250 mg/kg以上の群でのプロトロンビン時間及び活性化部分トロンボプラスチン時間の延長、1000 mg/kg群での血清β-グロブリン分画の低下に関連して、雄の1000 mg/kg群では病理組織学的に小葉中心性肝細胞肥大、小葉中心性肝細胞脂肪化及び小葉中心帯における肝細胞の単細胞性壊死が認められた。腎臓に対する影響として、雌の1000 mg/kg群で尿蛋白陽性例の増加、雄の1000 mg/kg群では血清尿素窒素の増加が認められたが、病理組織学的には変化は認められなかった。雄性生殖器に対する影響として、1000mg/kg群で病理組織学的検査で精巣に精子形成細胞の消失、精巣上体に管内精子減少及び剥離性精子形成細胞の出現が認められた(厚労省報告 (Access on Apr. 2012))。以上の結果から、250 mg/kg/day(90日換算:77.8 mg/kg/day)の用量での変化は雄のプロトロンビン時間及び活性化部分トロンボプラスチン時間の延長のみであり、その他の肝臓に対する影響、腎臓および雄性生殖器に対する影響は全てガイダンス値を超える1000 mg/kg/day(90日換算:311 mg/kg/day)での所見であり、ガイダンス値範囲の上限付近では影響が不明のため「分類できない」とした。なお、ラットの28日間反復投与経口投与による別の試験でも、肝臓への影響がみられ、GOT、GPT、ALPの増加、肝細胞の肥大および壊死、また、精巣への影響として精子形成細胞の消失、精細管の萎縮が報告されている(環境省リスク評価第5巻 (2006))が、いずれも1000 mg/kg/day(90日換算:311 mg/kg/day以上の高用量での所見である。GHS分類:分類できない

吸引性呼吸器有害性

データなし。GHS分類:分類できない

12. 環境影響情報

12.1 生態毒性

データなし

12.2 残留性・分解性

データなし

12.3 生体蓄積性

データなし

12.4 土壌中の移動性

データなし

12.5 PBT および vPvB の評価結果

化学物質安全性評価が必要ではない/行っていないため、PBT/vPvB評価データはない。

12.6 内分泌かく乱性

データなし

12.7 他の有害影響

データなし

13. 廃棄上の注意

13.1 廃棄物処理方法

製品
内容物及び容器は、関連法規及び各自治体の条例等の規制に従い、産業廃棄物として適切に処理すること。

14. 輸送上の注意

14.1 国連番号

ADR/RID (陸上規制): -    IMDG (海上規制): -    IATA-DGR (航空規制): -

14.2 国連輸送名

IATA-DGR (航空規制): Not dangerous goods
IMDG (海上規制): Not dangerous goods
ADR/RID (陸上規制): 非危険物

14.3 輸送危険有害性クラス

ADR/RID (陸上規制): -    IMDG (海上規制): -    IATA-DGR (航空規制): -

14.4 容器等級

ADR/RID (陸上規制): - IMDG (海上規制): - IATA-DGR (航空規制): -

14.5 環境危険有害性

非該当
ADR/RID: 非該当 IMDG 海洋汚染物質(該当・非該当): IATA-DGR (航空規制): 非該当

14.6 特別の安全対策

14.7 混触危険物質

国際輸送に関する国連勧告の定義上は、危険物に該当しない。
詳細情報
強酸化剤

15. 適用法令

消防法

第4類引火性液体、第四石油類

海洋汚染防止法

有害液体物質(Y類物質)

16. その他の情報

略語と頭字語

TWA: 時間加重平均
STEL: 短期暴露限度
RID: 鉄道による危険物の国際運送に関する規則
LD50: 致死量 50%
LC50: 致死濃度 50%
IMDG: 国際海上危険物
IATA:国際航空運送協会
EC50: 有効濃度 50%
CAS: ケミカルアブストラクトサービス
ADR: 道路による危険物の国際輸送に関する欧州協定

参考文献

【1】労働安全衛生法 ウェブサイト https://www.mhlw.go.jp
【2】化学物質審査規制法(化審法)https://www.env.go.jp
【3】化学物質排出把握管理促進法(PRTR法) https://www.chemicoco.env.go.jp
【4】NITE化学物質総合情報提供システム (NITE-CHRIP)https://www.nite.go.jp/
【5】カメオケミカルズ公式サイト http://cameochemicals.noaa.gov/search/simple
【6】ChemIDplus、ウェブサイト http://chem.sis.nlm.nih.gov/chemidplus/chemidlite.jsp
【7】ECHA - 欧州化学物質庁、ウェブサイト https://echa.europa.eu/
【8】eChemPortal - OECD 化学物質情報グローバルポータル、ウェブサイトhttp://www.echemportal.org/echemportal/index?pageID=0&request_locale=en
【9】ERG - 米国運輸省による緊急対応ガイドブック、ウェブサイトhttp://www.phmsa.dot.gov/hazmat/library/erg
【10】有害物質に関するドイツ GESTIS データベース、ウェブサイトhttp://www.dguv.de/ifa/gestis/gestis-stoffdatenbank/index-2.jsp
【11】HSDB - 有害物質データバンク、ウェブサイト https://toxnet.nlm.nih.gov/newtoxnet/hsdb.htm
【12】IARC - 国際がん研究機関、ウェブサイト http://www.iarc.fr/
【13】IPCS - The International Chemical Safety Cards (ICSC)、ウェブサイトhttp://www.ilo.org/dyn/icsc/showcard.home
【14】Sigma-Aldrich、ウェブサイト https://www.sigmaaldrich.com/
免責事項:

本MSDS中の情報は指定された製品にのみ適用され、特に規定がない限り、本製品とその他の物質の混合物には適用されません。本MSDSは、製品使用者の適切な専門的なトレーニングを受けた者にのみ製品安全情報を提供します。本MSDSの使用者は、本SDSの適用性について独自に判断しなければならない。本MSDSの著者は、本MSDSの使用によるいかなる傷害にも責任を負わない。

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