急性毒性
経口
ラットのLD50値は>2000 mg/kg[OECD TG401; GLP]および4400 mg/kg(OECD TG401; GLP準拠)(SIDS (Access on May 2012))に基づき、JIS分類基準の区分外(国連分類基準の区分5または区分外に相当)とした。GHS分類:区分外
経皮
ラットに2000 mg/kgを投与により死亡例はなく、LD50値は>2000 mg/kg(農林水産省毒性試験ガイドライン;GLP準拠)(SIDS (Access on May 2012))に基づき、区分外とした。 GHS分類:区分外
吸入:ガス
GHSの定義における液体である。GHS分類:分類対象外
吸入:蒸気
データなし。GHS分類:分類できない
吸入:粉じん及びミスト
データなし。GHS分類:分類できない
皮膚腐食性及び刺激性
ウサギ6匹の皮膚に試験物質0.5mLを4時間の閉塞適用した試験(EPA OPP 81-5;GLP準拠)において、パッチ除去24時間後に試験物質の濃度100%で1匹に軽微な紅斑が観察されたのみで、刺激性なし(not irritating)との評価結果(SIDS (Access on May. 2012))に基づき区分外とした。なお、ヒトでは男女合計41人の被験者に行ったパッチテストで、陰性と判断された結果(SIDS (Access on May. 2012))が報告されている。GHS分類:区分外
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性
ウサギの眼に試験物質原液0.1 mLを適用した試験(EPA OPP 81-4; GLP準拠)において、非洗浄群の6匹では軽度の角膜混濁、軽度の虹彩炎、中等度~重度の結膜反応と軽度~重度の排出物が認められたが、うち4匹は適用後7日目までに正常に戻り、残りの2匹は9~10日目までに完全に回復し、中等度の刺激性(moderately irritating)との評価結果(SIDS (Access on May. 2012))に基づき区分2Aとした。 GHS分類:区分2A
呼吸器感作性
データなし。GHS分類:分類できない
皮膚感作性
モルモットのマキシマイゼーション試験(GLP準拠)において、いずれの動物も陽性反応を示さず、陽性率0%(0/10)で感作性なし(not sensitizing)との結果(SIDS (Access on May 2012)に基づき、区分外とした。なお、モルモットを用いた光感作性試験も行われ、試験動物10匹中1匹も陽性反応を示さず、感作性なし(not sensitizing)と報告されている(SIDS (Access on May 2012)。GHS分類:区分外
生殖細胞変異原性
in vivo 試験のデータがなく分類できない。なお、in vitro試験では、エームス試験(OECD TG471、GLP準拠)およびチャイニーズ・ハムスター肺由来細胞を用いた染色体異常試験(GLP準拠)でいずれも陰性の結果(厚労省報告 (2002))が報告されている。GHS分類:分類できない
発がん性
データなし。GHS分類:分類できない
生殖毒性
ラットの交配開始14日前から、雄は47日間、雌は交配及び妊娠期間を経て分娩後の哺育4日まで経口投与した簡易生殖毒性試験(OECD TG421;GLP準拠)において、親動物では一般毒性として、200及び1000mg/kg群で肝臓および腎臓重量の有意な増加がみられたが、性周期、交尾率、受胎率、妊娠期間、黄体数、着床数、着床率、出産率、分娩率などの生殖指標に変化はなく、児動物では、新生児数、性比、出生率、形態及び哺育4日新生児生存率など最高用量(1000mg/kg群)でも仔の発生に変化は認められなかった(厚労省報告 (Access on May. 2012))。また、妊娠ラットの器官形成期に経口投与した発生毒性試験(FDA Guidelines; GLP準拠)では、250, 500, 2000 mg/kg bw/日いずれの投与群でも母動物の体重増加と摂餌量の低下がみられたが、仔の発生に対しては高用量(2000 mg/kg bw/日)での体重低下を除き、着床数、吸収胚数、生存および死亡胎児数に影響は見られず、投与後の奇形の発生率増加も見出されなかった(SIDS (Access on May. 2012))。以上より、性機能・生殖能に対する悪影響、および仔の発生に対する悪影響のいずれも認められなかったことから区分外とした。GHS分類:区分外
特定標的臓器毒性(単回ばく露)
ラットの急性経口毒性試験において、1000および2000 mg/kgの投与により死亡はなく、ガイダンス値範囲の上限となる2000 mg/kgで軽度な自発運動の低下例がみられたが、体重は順調に増加し、観察期間終了時の剖検では内部器官に異常は認められなかった(厚労省報告 (Access on May. 2012),)。また、ラットの急性経皮投与試験(農林水産省毒性試験ガイドライン;GLP準拠)でも、ガイダンス値範囲の上限となる2000 mg/kgで死亡はなく、臨床症状および剖検による異常も見出されなかった(SIDS (Access on May 2012))ことから、区分外に相当する。以上の結果により、経口および経皮の両経路では区分外に相当するが、吸入経路についてはデータがなく影響も不明のため、特定標的臓器毒性(単回ばく露)の分類としては「分類できない」とした。GHS分類:分類できない
特定標的臓器毒性(反復ばく露)
ラットの28日間反復経口投与毒性試験において、250 mg/kg/日(90日換算:77.8 mg/kg/日)以上で腎臓重量、および1000 mg/kg(90日換算:311 mg/kg/日)で肝臓重量の有意な増加が認められたが、病理組織学検査を含むその他の検査においては投与に起因する変化は認められなかった(厚労省報告 (Access on May. 2012))。また、簡易生殖毒性試験においては、200 mg/kg/日(90日換算:約100 mg/kg/日)以上で腎臓重量が有意に増加したが、病理組織学検査では、腎臓に投与に起因する変化は認められなかった(厚労省報告 (Access on May. 2012))。したがって、ガイダンス値範囲を超える用量で悪影響が示されていないことから、経口経路では区分外に相当する。一方、ラットに4週間吸入ばく露試験では、100 ppm(90日6時間ばく露換算:0.122 mg/L)以上でGOTの上昇と腎臓重量の増加が観察されたものの、病理組織学的変化は見出されず、(SIDS (Access on May. 2012))、試験の最高濃度500 ppm(90日6時間ばく露換算:0.613 mg/L)はガイダンス値範囲内の用量であり、ガイダンス値上限付近の用量での影響は不明である。加えて経皮投与によるデータもなく、特定標的臓器毒性(反復ばく露)の分類は「分類できない」とした。GHS分類:分類できない
吸引性呼吸器有害性
データなし。GHS分類:分類できない