急性毒性
経口
【分類根拠】 (1)、(2)より、区分に該当しない。
【根拠データ】 (1)ラットのLD50:2,800 mg/kg(REACH登録情報 (Accessed Oct. 2021)、AICIS IMAP (2013)) (2)ラットのLD50:8,400 mg/kg(IPCS (1996)、US EPA (2005))
経皮
【分類根拠】 (1)より、区分に該当しない。
【根拠データ】 (1)ラットのLD50:> 2,000 mg/kg(OECD TG 402、GLP)(AICIS IMAP (2013)、REACH登録情報 (Accessed Oct. 2021))
吸入: ガス
【分類根拠】 GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。
吸入: 蒸気
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。
吸入: 粉じん及びミスト
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。なお、旧分類で使用されていた文献は現ガイダンスの文献リストに含まれていないため、採用していない。これにより、分類結果を変更した。
皮膚腐食性及び皮膚刺激性
【分類根拠】 (1)より、区分に該当しない。
【根拠データ】 (1)ウサギ(n = 3)を用いた皮膚刺激性試験(OECD TG 404、GLP、半閉塞、4時間適用、72時間観察)において、24、48、72時間後の観察時に紅斑、浮腫はみられなかったとの報告がある(AICIS IMAP (2013)、REACH登録情報 (Accessed Oct. 2021))。
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性
【分類根拠】 (1)より、区分に該当しない。なお、新たな知見に基づき、分類結果を変更した。
【根拠データ】 (1)ウサギ(n = 3)を用いた眼刺激性試験(OECD TG 405、GLP、21日観察)において、わずかな眼刺激性みられた(角膜混濁スコア:0/0/0、虹彩炎スコア:0/0/0、結膜発赤スコア:1.3/0.7/0.7、結膜浮腫スコア:1.3/0.3/0.3)との報告がある(AICIS IMAP (2013)、REACH登録情報 (Accessed Oct. 2021))。
【参考データ等】 (2)ACGIHは、感作されていない労働者を呼吸器刺激性、眼刺激性から保護する作業環境許容濃度(TLV)を、0.001 mg/m3に設定した(ACGIH (8th, 2020))。
呼吸器感作性
【分類根拠】 (1)、(2)より、区分1Aとした。なお、新たな知見に基づき分類結果を変更した。
【根拠データ】 (1)日本産業衛生学会ではコロホニウム(ロジン)として、気道感作性物質第1群に分類されている。 (2)本物質に関連する喘息、喘鳴、息切れ等の症状発生の疫学研究報告や症例報告が多数ある(ACGIH (8th, 2020))。
皮膚感作性
【分類根拠】 (1)、(2)より、区分1Aとした。なお、新たな知見に基づき分類結果を変更した。
【根拠データ】 (1)日本産業衛生学会ではコロホニウム(ロジン)として、皮膚感作性物質第1群に分類されている。 (2)本物質によるアレルギー性皮膚炎の症例報告が複数なされている(ACGIH (8th, 2020))。
生殖細胞変異原性
【分類根拠】 In vivoの試験データはないが、(1)より標準的な組合せによるin vitro試験結果ですべて陰性であることから、区分に該当しない。
【根拠データ】 (1)In vitro試験では、細菌復帰突然変異試験(OECD TG 471、GLP)、ヒトリンパ球を用いた染色体異常試験(OECD TG 473、GLP)及びマウスリンパ腫L5178Y細胞を用いた遺伝子突然変異試験(OECD TG 476、GLP)が実施されており、いずれも陰性の結果であった(REACH登録情報 (Accessed Sep. 2021)、AICIS IMAP (2013))。
発がん性
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。
【参考データ等】 (1)ウッドロジン(Wood Rosin、CAS番号 -)を被験物質としたラットを用いた2年間混餌投与による慢性毒性/発がん性試験報告があり、1%(10,000 ppm:434 mg/kg/day相当)まで腫瘍の発生増加はみられなかった(JECFA FAS 35 (1996)、EPA (2005)、Canada CMP Screening Assessment (2019))が、例数が少ない(25~30匹/性/群)等、発がん性試験の要求基準を満たす試験結果ではない。
生殖毒性
【分類根拠】 (1)、(2)より、親動物に一般毒性影響がみられる用量で、生殖発生影響がみられたことから区分2とした。新たな情報源を利用し分類した。
【根拠データ】 (1)ラットを用いた混餌投与による2つの反復投与毒性/生殖発生スクリーニング併合試験(OECD TG422、GLP)において、雌雄親動物に一般毒性影響(体重及び摂餌量低値等)が明瞭にみられる最高用量(10,000 ppm)において、雌親動物に黄体数と着床数の減少、児動物には同腹児数の減少、生後死亡の増加及び体重の低値がみられた。母動物毒性及び発生毒性のNOAELは各々2,500 ppm及び5,000 ppmと結論されたとの報告がある(REACH登録情報 (Accessed Sep. 2021))。 (2)別のラットを用いた混餌投与による反復投与毒性/生殖発生スクリーニング併合試験(OECD TG422、GLP)において、雌雄親動物に一般毒性影響(体重及び摂餌量低値等)が明瞭にみられる最高用量(10,000 ppm)において、雌親動物に黄体数の軽度減少、児動物に体重の低値がみられた。母動物毒性及び発生毒性のNOAELは各々5,000 ppm及び10,000 ppmと結論されたとの報告がある(REACH登録情報 (Accessed Sep. 2021))。 (3)ラットを用いた混餌投与による生殖発生スクリーニング試験(OECD TG421、GLP)において、雌雄親動物に体重増加抑制及び摂餌量減少がみられる10,000 ppmで、雌親動物に着床数の減少、児動物に同腹児数の減少が軽度にみられた。母動物毒性及び発生毒性のNOAELは3,000 ppmと結論されたとのとの報告がある(REACH登録情報 (Accessed Sep. 2021)、AICIS IMAP (2013))。 (4)雌ラットを用いた混餌投与による発生毒性試験(OECD TG414、GLP、妊娠3~19日)において、親動物に体重増加抑制・摂餌量減少がみられる最高用量(7,500 ppm)で胎盤重量の減少及び胎児体重の低値がみられた。母動物毒性及び発生毒性のNOAELは各々2,500 ppm及び5,000 ppmと結論されたとの報告がある(REACH登録情報 (Accessed Oct. 2021)、Canada CMP Screening Assessment (2019))。
特定標的臓器毒性 (単回ばく露)
【分類根拠】 (1)より、呼吸器への刺激性があると報告されていることから、区分3(気道刺激性)とした。なお、新たな知見に基づき分類結果を変更した。
【根拠データ】 (1)ロジンを含むフラックス-コルドソルダーを製造する工場で、労働者のばく露調査が行われた。肺機能測定の結果、中央値0.02 mg/m3(6人)と1.92 mg/m3(14人)のロジンにばく露された労働者では、職業性喘息の有病率が21%であった。しかし、0.01 mg/m3未満のばく露者の職業性喘息の有病率はわずか4%であったことから、呼吸器への刺激性があると報告している(ACGIH (2020))。
【参考データ等】 (2)ラットを用いた単回経皮投与試験(OECD TG 402、GLP、24時間)において、2,000 mg/kg(区分2の範囲)で軽度から中程度の皮膚の乾燥がみられたとの報告がある(AICIS IMAP (2013)、REACH登録情報 (Accessed Oct. 2021))。 (3)ラットを用いた単回経口投与試験において、影響がみられなかったとの報告がある。なお、LD50は2,800 mg/kgと報告されている(REACH登録情報 (Accessed Oct. 2021))。
特定標的臓器毒性 (反復ばく露)
【分類根拠】 (1)~(3)より、経口経路では区分に該当しないが、他経路ではデータ不足のため分類できない。なお、副腎について、(1)での影響はより高用量の試験である(2)、(3)でみられなかったことから、標的臓器として採用していない。
【根拠データ】 (1)ラットを用いた混餌投与による反復投与毒性試験と生殖発生毒性スクリーニング試験の併合試験(OECD TG422、GLP、交配14日前から50日間(雄)、交配14日前から哺育4日までの最短5週間(雌))において、2,500 ppm(90日換算:69.4 mg/kg/day、区分2の範囲)で軽度の体重増加抑制、クレアチニン増加、副腎球状帯の肥大・空胞化(雄)がみられたとの報告がある(REACH登録情報 (Accessed Oct. 2021))。 (2)ラットを用いた混餌投与による生殖/発生毒性スクリーニング試験(OECD TG421、GLP、交配14日前から30日間(雄)、交配14日前から最長45日間(雌))において、3,000 ppm(90日換算:50 mg/kg/day、区分2の範囲)で体重増加抑制(雄)がみられたとの報告がある(REACH登録情報 (Accessed Oct. 2021))。 (3)ラットを用いた混餌投与による2年間慢性毒性/がん原性併合試験において、10,000 ppm(440 mg/kg/day、区分に該当しない範囲)で体重増加抑制、摂餌量の低下、肝臓重量の増加(雌)がみられたとの報告がある(JECFA FAS 35 (1996)、EPA (2005)、Canada CMP (2019))。
誤えん有害性*
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。
* JIS Z7252の改訂により吸引性呼吸器有害性から項目名が変更となった。