安全データシート

フタル酸ジヘキシル

改訂日:2024-01-24版番号:1

1. 化学品及び会社情報

製品識別子

  • 製品名: フタル酸ジヘキシル
  • CB番号: CB1256789
  • CAS: 84-75-3
  • EINECS番号: 201-559-5
  • 同義語: フタル酸ジ-n-ヘキシル,フタル酸ジヘキシル

物質または混合物の関連する特定された用途、および推奨されない用途

  • 関連する特定用途: 可塑剤 (NITE-CHRIPより引用)
  • 推奨されない用途: なし

会社ID

  • 会社名:Chemicalbook
  • 住所:北京市海淀区上地十街匯煌国際1号棟
  • 電話:400-158-6606

2. 危険有害性の要約

GHS分類

分類実施日(物化危険性及び健康有害性)
R3.3.12、政府向けGHS分類ガイダンス (令和元年度改訂版 (ver2.0)) を使用
JIS Z7252:2019準拠 (GHS改訂6版を使用)
物理化学的危険性
-
健康に対する有害性
生殖毒性   区分1B
分類実施日(環境有害性)
未実施
環境に対する有害性
-

2.2 注意書きも含むGHSラベル要素

絵表示
GHS08
注意喚起語
危険
危険有害性情報
H360 生殖能又は胎児への悪影響のおそれ。
注意書き
安全対策
P201 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P280 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
応急措置
P308 + P313 ばく露又はばく露の懸念がある場合:医師の診察/手当てを受けること。
保管
P405 施錠して保管すること。
廃棄
P501 内容物/容器を承認された処理施設に廃棄すること。
専門的な使用者に限定。

2.3 他の危険有害性

なし

3. 組成及び成分情報

  • 化学物質・混合物の区別: 化学物質
  • 別名: Phthalic acid dihexyl ester
    Di-n-hexyl phthalate
    1,2-Benzenedicarboxylic acid 1,2-dihexyl ester
  • 化学特性(示性式、構造式 等): C20H30O4
  • 分子量: 334.45 g/mol
  • CAS番号: 84-75-3
  • EC番号: 201-559-5
  • 化審法官報公示番号: 3-1307
  • 安衛法官報公示番号: -

4. 応急措置

4.1 必要な応急手当

一般的アドバイス
この安全データシートを担当医に見せる。
吸入した場合
吸入後は新鮮な空気を吸うこと。ただちに医師の診察を受けること。
皮膚に付着した場合
皮膚に接触した場合: すべての汚染された衣類を直ちに脱ぐこと。 皮膚を流水/シャワーで洗うこと。 医師に相談する。
眼に入った場合
眼に触れた後は多量の水ですすぐこと。 眼科医の診察を受けること。 コンタクトレンズをはずす。
飲み込んだ場合
飲み込んだ後はただちに水を飲ませること(多くても2杯) 医師に相談する。

4.2 急性症状及び遅発性症状の最も重要な徴候症状

もっとも重要な既知の徴候と症状は、ラベル表示(項目2.2を参照)および/または項目11に記載されている

4.3 緊急治療及び必要とされる特別処置の指示

データなし

5. 火災時の措置

5.1 消火剤

使ってはならない消火剤
本物質/混合物に対する消火剤の制限なし
適切な消火剤
泡 二酸化炭素(CO2) 粉末

5.2 特有の危険有害性

炭素酸化物
可燃性。
蒸気は空気より重く、床に沿って広がることがある。
高熱で空気と反応して爆発性混合物を生じる
火災時に有害な燃焼ガスや蒸気を生じるおそれあり。

5.3 消防士へのアドバイス

自給式呼吸器がある場合のみ危険区域に留まってもよい。安全なゾーンまで離れるか適切な保護衣を着用して、皮膚に触れないようにすること。

5.4 詳細情報

消火水が、地上水または地下水のシステムを汚染しないようにする。

6. 漏出時の措置

6.1 人体に対する注意事項、保護具及び緊急時措置

救急隊員以外への助言: 蒸気、エアゾールを吸入してはならない。 触れないようにすること。 十分な換気を確保する。 危険なエリアから避難し、緊急時手順に従い、専門家に相談のこと個人保護については項目 8 を参照する。

6.2 環境に対する注意事項

物質が排水施設に流れ込まないようにする。

6.3 封じ込め及び浄化の方法及び機材

排水溝に蓋をすること。こぼれたら集めて結合させ、ポンプですくい取る。 物質の制限があれば順守のこと (セクション 7、10参照) 液体吸収剤(例. Chemizorb® )で処置すること。 正しく廃棄すること。関係エリアを清掃のこと。

6.4 参照すべき他の項目

廃棄はセクション13を参照。

7. 取扱い及び保管上の注意

7.1 安全な取扱いのための予防措置

安全取扱注意事項
換気フードの下で作業すること。吸い込まないこと。 蒸気やエアロゾルが生じないようにすること。
衛生対策
汚した衣類はただちに替えること。予防的な皮膚保護を講じること。本物質を取り扱った後は手と顔を洗うこと。注意事項は項目2.2を参照。

7.2 配合禁忌等を踏まえた保管条件

保管条件
密閉のこと。 換気のよい場所で保管する。 鍵をかけておくか、資格のあるまたは認可された人のみが出入りできる場所に入れておく。保管安定性推奨された保管温度2 - 8 °C

7.3 特定の最終用途

項目1.2に記載されている用途以外には、その他の特定の用途が定められていない

8. ばく露防止及び保護措置

8.1 管理濃度

コンポーネント別作業環境測定パラメータ
許容濃度が設定されている物質を含有していない。

8.2 曝露防止

適切な技術的管理
汚した衣類はただちに替えること。予防的な皮膚保護を講じること。本物質を取り扱った後は手と顔
を洗うこと。
保護具
眼/顔面の保護
NIOSH(US)またはEN 166(EU)などの適切な政府機関の規格で試験され、認められた眼の
保護具を使用する。 保護眼鏡
皮膚及び身体の保護具
身体の保護
保護衣
呼吸用保護具
気化ガス/エアロゾル発生時に必要
次の規格に準拠しているフィルター式呼吸器保護具を推奨します。DIN EN 143、DIN 14387お
よび使用済み呼吸器保護システムに関連する他の付属規格。
環境暴露の制御
物質が排水施設に流れ込まないようにする。

9. 物理的及び化学的性質

物理的状態

物理状態
液体 (20℃、1気圧) (GHS判定)
透明
臭い
かすかな芳香臭

融点/凝固点

-27.4℃ (RAC Background Document (2011))

沸点、初留点及び沸騰範囲

350℃ (RAC Background Document (2011))

可燃性

引火性 (引火点より)

爆発下限界及び爆発上限界/可燃限界

データなし

引火点

192℃ (測定法不明) (RAC Background Document (2011))

自然発火点

> 500℃ (RAC Background Document (2011))

分解温度

データなし

pH

データなし

動粘性率

25 MPa.s (25℃) (RAC Background Document (2011))

溶解度

水: 0.05 mg/L (RAC Background Document (2011))

n-オクタノール/水分配係数

log Kow = 6.30 (RAC Background Document (2011))

蒸気圧

1.4E-005 mmHg (25℃) (HSDB (Access on August 2020))

密度及び/又は相対密度

1.011 (HSDB (Access on August 2020))

相対ガス密度

11.5 (Air = 1) (HSDB (Access on August 2020))

粒子特性

該当しない

10. 安定性及び反応性

10.1 反応性

高熱で空気と反応して爆発性混合物を生じる
引火点より下のおよそ15ケルビンからの範囲は危険とみなされている。

10.2 化学的安定性

標準的な大気条件(室温)で化学的に安定。

10.3 危険有害反応可能性

データなし

10.4 避けるべき条件

強力な熱

10.5 混触危険物質

強酸化剤

10.6 危険有害な分解生成物

火災の場合:項目5を参照

11. 有害性情報

急性毒性

経口
【分類根拠】 (1)、(2) より、区分に該当しないとした。
【根拠データ】 (1) ラットのLD50: 29,600 mg/kg (HSDB (Access on August 2020)、Patty (6th, 2012)) (2) ラットのLD50: > 29,600 mg/kg (GESTIS (Access on August 2020))
経皮
【分類根拠】 (1)、(2) より、区分に該当しないとした。
【根拠データ】 (1) ウサギのLD50: > 19,800 mg/kg (GESTIS (Access on August 2020)) (2) ウサギのLD50: 20,000 mg/kg (HSDB (Access on August 2020)) (3) ウサギのLD50: 20 mL/kg (比重1.01を用いて換算したLD50値: 20,200 mg/kg) (Patty (6th, 2012))
吸入: ガス
【分類根拠】 GHSの定義における液体であり、区分に該当しない。
吸入: 蒸気
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。
吸入: 粉じん及びミスト
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。

皮膚腐食性及び皮膚刺激性

【分類根拠】 (1)、(2) より、区分に該当しないとした。
【根拠データ】 (1) 本物質はごく軽度の皮膚刺激性を有する (AICIS (旧NICNAS) IMAP (2016))。 (2) 本物質はウサギを用いた皮膚刺激性試験 (ドレイズ法) で軽度の刺激性を示す (GESTIS (Access on August 2020))。

眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性

【分類根拠】 データ不足のため分類できない。

呼吸器感作性

【分類根拠】 データ不足のため分類できない。

皮膚感作性

【分類根拠】 データ不足のため分類できない。

生殖細胞変異原性

【分類根拠】 データ不足のため分類できない。
【根拠データ】 (1) in vivoデータなし。 (2) in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験で陰性の報告がある (AICIS (旧NICNAS) IMAP (2016)、NTP CERHR (2003)、CEBS (Access on August 2020))。

発がん性

【分類根拠】 データがなく分類できない。

生殖毒性

【分類根拠】 (1)、(2) より、区分1Bとした。
【根拠データ】 (1) マウスを用いた混餌投与による連続交配試験において、親動物毒性がみられない用量で生殖能の低下 (一腹あたりの生存児数及び生存児の割合の減少) がみられた。対照群及び高用量についてのみ実施した病理組織学的検査では高用量群の雄で精巣重量減少、精巣上体精子濃度及び運動性への重度の影響、精細管の広範な萎縮がみられ、交差交配の結果、雄の交配能の低下が示された (EU CLP CLH (2011)、RAC Background Document (2011))。 (2) 雌ラットの妊娠6~20日に強制経口投与した発生毒性試験において、750 mg/kg/dayで着床後胚吸収の増加、胎児死亡の増加 (対照群の60%)、500 mg/kg/day以上で奇形 (口蓋裂、眼の異常) がみられ、胎児体重の有意な減少等、250 mg/kg/dayで骨化遅延、骨格変異の増加がみられた。雄胎児の肛門生殖突起間距離の減少が250 mg/kg/day以上でみられ、500 mg/kg/day以上では停留精巣の増加がみられた (EU CLP CLH (2011)、RAC Background Document (2011))。
【参考データ等】 (3) EU CLP分類ではRepr. 1Bに分類されている (EU CLP分類 (Access on October 2020))。

特定標的臓器毒性 (単回ばく露)

【分類根拠】 データ不足のため分類できないとした。
【参考データ等】 (1) 材料や樹脂向けコーティング剤である本物質を含む水不溶性可塑剤をエアロゾル、粉じん、蒸気のいずれかで吸入した後に、鼻や喉の感覚異常 (paraesthesia)、気管支炎を引き起こす可能性がある (GESTIS (Access on August 2020))。

特定標的臓器毒性 (反復ばく露)

【分類根拠】 (1)、(2) の情報があるが、分類を行うための十分な情報ではない。従って、データ不足のため分類できないとした。
【参考データ等】 (1) ラットに本物質20,000 ppm (1,824 mg/kg/day、区分2超) を21日間混餌投与した結果、肝臓重量増加、小葉中心性壊死、グリコーゲンの減少、小葉中心性脂肪蓄積、毛細胆管の滑面小胞体の増殖と肥大、毛細胆管の微絨毛の短縮、中心静脈周囲の脂肪滴、ペルオキシゾーム増殖がみられたとの報告がある (RAC Background Document (2011))。 (2) ラットに本物質2% (2,000 mg/kg/day、区分2超) を21日間混餌投与した結果、血清中T4レベルの減少と病理組織学的変化を伴う甲状腺の活性増加、肝臓における脂肪蓄積がみられたとの報告がある (RAC Background Document (2011))。

誤えん有害性*

【分類根拠】 データ不足のため分類できない。

* JIS Z7252の改訂により吸引性呼吸器有害性から項目名が変更となった。本有害性クラスの内容に変更はない。

12. 環境影響情報

12.1 生態毒性

魚毒性
止水式試験 LC50 - Pimephales promelas (ファットヘッドミノウ) - > 0.1 mg/l
- 96 h
備考: (ECOTOX データベース)

12.2 残留性・分解性

データなし

12.3 生体蓄積性

データなし

12.4 土壌中の移動性

データなし

12.5 PBT および vPvB の評価結果

化学物質安全性評価が必要ではない/行っていないため、PBT/vPvB評価データはない。

13. 廃棄上の注意

13.1 廃棄物処理方法

製品
内容物及び容器は、関連法規及び各自治体の条例等の規制に従い、産業廃棄物として適切に処理すること。

14. 輸送上の注意

14.1 国連番号

ADR/RID (陸上規制): -    IMDG (海上規制): -    IATA-DGR (航空規制): -

14.2 国連輸送名

ADR/RID (陸上規制): 非危険物
IMDG (海上規制): Not dangerous goods
IATA-DGR (航空規制): Not dangerous goods

14.3 輸送危険有害性クラス

ADR/RID (陸上規制): -    IMDG (海上規制): -    IATA-DGR (航空規制): -

14.4 容器等級

ADR/RID (陸上規制): - IMDG (海上規制): - IATA-DGR (航空規制): -

14.5 環境危険有害性

非該当
ADR/RID: 非該当 IMDG 海洋汚染物質(該当・非該当): IATA-DGR (航空規制): 非該当

14.6 特別の安全対策

14.7 混触危険物質

強酸化剤
詳細情報
国際輸送に関する国連勧告の定義上は、危険物に該当しない。

15. 適用法令

労働安全衛生法

-

化学物質排出把握管理促進法 (PRTR法)

-

毒物及び劇物取締法

-

海洋汚染防止法

有害液体物質(Y類物質)(施行令別表第1)【340 フタル酸ジヘキシル】

16. その他の情報

略語と頭字語

ADR: 道路による危険物の国際輸送に関する欧州協定
CAS: ケミカルアブストラクトサービス
EC50: 有効濃度 50%
IATA:国際航空運送協会
IMDG: 国際海上危険物
LC50: 致死濃度 50%
LD50: 致死量 50%
RID: 鉄道による危険物の国際運送に関する規則
STEL: 短期暴露限度
TWA: 時間加重平均

参考文献

【1】労働安全衛生法 ウェブサイト https://www.mhlw.go.jp
【2】化学物質審査規制法(化審法)https://www.env.go.jp
【3】化学物質排出把握管理促進法(PRTR法) https://www.chemicoco.env.go.jp
【4】NITE化学物質総合情報提供システム (NITE-CHRIP)https://www.nite.go.jp/
【5】カメオケミカルズ公式サイト http://cameochemicals.noaa.gov/search/simple
【6】ChemIDplus、ウェブサイト http://chem.sis.nlm.nih.gov/chemidplus/chemidlite.jsp
【7】ECHA - 欧州化学物質庁、ウェブサイト https://echa.europa.eu/
【8】eChemPortal - OECD 化学物質情報グローバルポータル、ウェブサイトhttp://www.echemportal.org/echemportal/index?pageID=0&request_locale=en
【9】ERG - 米国運輸省による緊急対応ガイドブック、ウェブサイトhttp://www.phmsa.dot.gov/hazmat/library/erg
【10】有害物質に関するドイツ GESTIS データベース、ウェブサイトhttp://www.dguv.de/ifa/gestis/gestis-stoffdatenbank/index-2.jsp
【11】HSDB - 有害物質データバンク、ウェブサイト https://toxnet.nlm.nih.gov/newtoxnet/hsdb.htm
【12】IARC - 国際がん研究機関、ウェブサイト http://www.iarc.fr/
【13】IPCS - The International Chemical Safety Cards (ICSC)、ウェブサイトhttp://www.ilo.org/dyn/icsc/showcard.home
【14】Sigma-Aldrich、ウェブサイト https://www.sigmaaldrich.com/
免責事項:

本MSDS中の情報は指定された製品にのみ適用され、特に規定がない限り、本製品とその他の物質の混合物には適用されません。本MSDSは、製品使用者の適切な専門的なトレーニングを受けた者にのみ製品安全情報を提供します。本MSDSの使用者は、本SDSの適用性について独自に判断しなければならない。本MSDSの著者は、本MSDSの使用によるいかなる傷害にも責任を負わない。

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