急性毒性
経口
ラットの4つのLD50値(>7940 mg/kg, >5000 mg/kg , >10000 mg/kg, 1980 mg/kg(IUCLID (2000))のうち、3つが区分外に該当し1つが区分4に該当することから区分外とした。
経皮
ウサギLD50が>7940 mg/kg(IUCLID (2000))とするデータに基づき、区分外とした。
吸入
吸入(粉じん): データなし
吸入(蒸気): データなし
吸入(ガス): GHSの定義における固体である。
皮膚腐食性・刺激性
ウサギを用いたドレイズ試験において24時間適用で刺激性なし(IUCLID (2000))、他のウサギを用いた皮膚刺激性試験でも刺激性なし(IUCLID (2000))の結果に基づき区分外とした。なお、モルモットを用いた皮膚刺激性試験で刺激性が認められたという情報(IUCLID (2000))がある。
眼に対する重篤な損傷・刺激性
ウサギを用いたドレイズ試験において24時間適用で軽度の刺激性、他のウサギを用いた試験においても軽度の刺激性~中等度の刺激性が認められることから区分2とした。
呼吸器感作性又は皮膚感作性
皮膚感作性: ヒトのパッチテスト(IUCLID (2000))や、モルモットを用いたBuehler法などの試験(IUCLID (2000), HSDB (2003))において、いずれも陽性との結果が得られていることから、区分1とした。
呼吸器感作性:データなし
生殖細胞変異原性
ラットを用いた優性致死試験(生殖細胞を用いるin vivo経世代変異原性試験)において陽性の結果が得られている(IUCLID (2000))が、1用量のみの試験であり記述が不十分であり評価が困難である。なお、in vitro変異原性試験においては、エームス試験(IUCLID (2000))、CHO細胞を用いる染色体異常試験(HSDB (2003))で陰性、マウスリンフォーマ試験において陽性(IUCLID (2000))、CHO細胞を用いる突然変異試験では陰性と陽性の結果(IUCLID (2000)、HSDB (2003))が得られている。以上の結果よりin vivo試験「優性致死試験」の陽性結果は妥当性が判断できず、in vitroでは、陰性/陽性の知見があるが確定的な結論は導けず「分類できない」とした。
発がん性
ラットを用いた2年間の経口投与(混餌)試験、マウスを用いる79週の強制経口投与試験、21ヶ月の経口投与(混餌)試験、18ヶ月の経口投与試験において発がん性は認められていない(IUCLID (2000))ことから区分外とした。なお。マウスの皮下投与においても発がん性は確認されていない(IUCLID (2000))。
生殖毒性
ラットの雌雄を用いた繁殖試験において発情周期の変化、受胎の遅延、全胎仔死亡率の増加等の影響等は認められていない(IUCLID (2000))、また、複数のラットの器官形成期の経口投与試験において仔の奇形の発生等の影響、着床後死亡による胎仔数の減少も認められない(IUCLID (2000))ことより区分外とした。
特定標的臓器・全身毒性(単回ばく露)
データなし
特定標的臓器・全身毒性(反復ばく露)
ラットを用いた4週間の経口投与試験(用量:100, 200, 500, 1000 mg/kg)の1000 mg/kgの用量.、3ヶ月のによる経口投与(混餌)試験(用量:18, 69, 282, 1125 mg/kg)の1125 mg/kgの用量、21ヶ月間の経口投与(混餌)試験(用量:15, 150, 1500 mg/kg)の1500 mg/kgの用量、56日間の強制経口投与試験の(125, 250, 500 mg/kg)の125、250mg/kgの用量において臓器重量以外の変化は確認されていない(IUCLID (2000))。いずれもガイダンスの範囲内では影響が見られないことから区分外(経口)としたに該当するが、経皮経路での区分を決定できるようなデータがないことから「分類できない」とした。なお吸入経路については、4週間吸入ばく露試験(6時間/日・5日/週、用量:0.0044, 0.0098, 0.0102 mg/L)の最高用量においてわずかな体重減少、臓器重量、生化学値の変化が認められるものの、それ以外の病理学的変化は確認されていない(IUCLID (2000))。
吸引性呼吸器有害性
データなし