急性毒性
経口
GHS分類: 区分外
ラットのLD50値として、3,840 mg/kg (PATTY (6th, 2012)) との報告に基づき、区分外 (国連分類基準の区分5) とした。
経皮
GHS分類: 区分外
ウサギのLD50値として、4,670 mg/kg (PATTY (6th, 2012)) との報告に基づき、区分外 (国連分類基準の区分5) とした。
吸入:ガス
GHS分類: 分類対象外
GHSの定義における固体である。
吸入:蒸気
GHS分類: 分類対象外
GHSの定義における固体である。
吸入:粉じん及びミスト
GHS分類: 分類できない
データ不足のため分類できない。なお、ラットのLC50値 (1時間) として、> 14,000 mg/m3 (4時間換算値:> 3.5 mg/L)、> 3,300 mg/m3 (4時間換算値:> 0.825 mg/L) との報告があり (PATTY (6th, 2012))、区分3超と推察されるが、この値のみで区分を特定することはできない。
皮膚腐食性及び皮膚刺激性
GHS分類: 区分外
ウサギ及びモルモットの皮膚において影響は認められなかった (PATTY (6th, 2012))。また、EPA TRED (2006) は皮膚刺激性なしと評価していることから、区分外とした。
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性
GHS分類: 区分2B
EPA TRED (2006) では眼刺激性なしと評価されているが、ウサギの眼に適用した試験で軽度の刺激性が報告されていることから (PATTY (6th, 2012))、区分2Bとした。
呼吸器感作性
GHS分類: 分類できない
データ不足のため分類できない。
皮膚感作性
GHS分類: 分類できない
EPA TRED (2006) において、本物質に皮膚感作性はないと評価されているが、他に皮膚感作性はないと評価した情報源がないことから、分類できないとした。
生殖細胞変異原性
GHS分類: 分類できない
In vivoでは、チャイニーズハムスターへの経口投与による染色体異常試験で陰性 (HSDB (Access on June 2016))、in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験で陰性、哺乳類培養細胞の遺伝子突然変異試験で陽性の報告がある (PATTY (6th, 2012)、HSDB (Access on June 2016))。以上より、ガイダンスに従い分類できないとした。
発がん性
GHS分類: 区分2
ラットに2年間混餌投与した発がん性試験において、雌雄に体重低下がみられた高用量 (1,000 ppm) 群で雌に乳腺腫瘍の増加がみられた (PATTY (6th, 2012)、HSDB (Access on June 2016))。一方で、異なる2系統のマウスを用いた経口投与試験 (7日齢から28日齢まで強制経口投与後18ヵ月間混餌投与)、及び皮下投与試験 (1,000 mg/kg単回投与後18ヵ月間後に観察) では腫瘍発生はみられなかったとの報告がある (PATTY (6th, 2012)、HSDB (Access on June 2016))。既存分類としては、EUがCarc. 2 に分類している (ECHA C&L Inventory (Access on August 2016))。以上より、本項は区分2とした。
生殖毒性
GHS分類: 分類できない
ラットを用いた混餌投与による3世代生殖毒性試験では、親動物、児動物に体重の低値がみられる用量においても生殖発生影響はみられていない (PATTY (6th, 2012)、HSDB (Access on June 2016))。妊娠ラットの器官形成期に経口投与した2つの発生毒性試験において、母動物毒性 (体重増加抑制、流産の増加) がみられる用量 (500~600 mg/kg/day) でも胎児に軽微な影響 (骨化遅延、胎児重量の低値) がみられたのみであった (PATTY (6th, 2012)、HSDB (Access on June 2016))。以上の試験結果からは、本項分類は区分外の可能性も想定されるが、雌ラットを用いた思春期発達試験で思春期の遅延がみられたとの記述 (PATTY (6th, 2012)、HSDB (Access on June 2016))、並びに血清LHの変動や性周期、ホルモン応答組織の変化から、本物質には神経内分泌かく乱作用が懸念されるとの記述がある (EPA TRED (2006)) ことから、本項は分類できないとした。