急性毒性
経口
【分類根拠】
(1)~(6) より、区分2とした。
【根拠データ】
(1) ラットのLD50: 7 mg/kg (MOE初期評価第4巻:暫定的有害性評価シート (2005)、GESTIS (Access on April 2020)、HSDB (Access on April 2020))
(2) ラットのLD50: 雄: 36 mg/kg、雌: 7.7 mg/kg (ACGIH (7th, 2019))
(3) ラットのLD50: 8 mg/kg (HSDB (Access on April 2020))
(4) ラットのLD50: 14 mg/kg (IPCS PIM G001 (1985))
(5) ラットのLD50: 雄: 36 mg/kg、雌: 24 mg/kg (食安委 農薬評価書 (2017)、農薬抄録 (2017))
(6) ラットのLD50: 36 mg/kg (HSDB (Access on April 2020))
経皮
【分類根拠】
溶媒が水であり、GLP試験結果である (1) に重きを置いて、区分3とした。
【根拠データ】
(1) ラットのLD50 (溶媒: 水): 雄: 2,850 mg/kg、雌: 538 mg/kg (食安委 農薬評価書 (2017)、農薬抄録 (2017)、HSDB (Access on April 2020))
(2) ラットのLD50 (溶媒: アセトン): 雄: 230 mg/kg、雌: 25 mg/kg (ACGIH (7th, 2019)、HSDB (Access on April 2020))
吸入: ガス
【分類根拠】
GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。
吸入: 蒸気
【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
吸入: 粉じん及びミスト
【分類根拠】
(1)~(3) より、区分1とした。なお、ばく露濃度が飽和蒸気圧濃度 (1.7E-005 mg/L) よりも高いため、粉じんとしてmg/Lを単位とする基準値を適用した。新たな情報源の使用により、旧分類から区分を変更した。
【根拠データ】
(1) ラットのLC50 (1時間): 106 mg/m3 (0.106 mg/L) (4時間換算値: 0.0265 mg/L) (ACGIH (7th, 2019)、MOE初期評価第4巻:暫定的有害性評価シート (2005))
(2) ラットのLC50 (1時間): 160 mg/m3 (0.16 mg/L) (4時間換算値: 0.04 mg/L) (HSDB (Access on April 2020))
(3) 本物質の蒸気圧: 0.00000095 mmHg (25℃) (飽和蒸気圧濃度換算値: 1.7E-005 mg/L) (HSDB (Access on April 2020))
皮膚腐食性及び皮膚刺激性
【分類根拠】
(1)、(2) より、区分に該当しないとした。
【根拠データ】
(1) 本物質はウサギを用いた皮膚刺激性試験において僅かな刺激性が認められ、適用24/48/72時間後の平均スコアは0.3/0.1/0.1であった (食安委 農薬評価書 (2017)、農薬抄録 (2017))。
(2) 本物質は過剰量で皮膚と眼を刺激する (HSDB (Access on April 2020))。
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性
【分類根拠】
(1)、(2) の記載はあるが、データ不足により分類できないとした。旧分類の根拠とされたデータは製剤によるデータであること及び原体のデータは動物の死亡により、区分に十分な情報が得られないことから区分を変更した。
【参考データ等】
(1) ウサギを用いた眼刺激性試験において結膜刺激性を有するが、速やかに回復すると判断されたている、しかしながら、本試験で使用したウサギは6例中5例が適用後、18時間以内、残りの1例も48時間以内に死亡している (食安委 農薬評価書 (2017)、農薬抄録 (2017))。
(2) 本物質は過剰量で皮膚と眼を刺激する (HSDB (Access on April 2020))。
呼吸器感作性
【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
皮膚感作性
【分類根拠】
(1) より、区分に該当しないとした。
【根拠データ】
(1) モルモットを用いた皮膚感作性試験 (ビューラー法) において皮膚感作性は認められなかった (食安委 農薬評価書 (2017)、農薬抄録 (2017))。
生殖細胞変異原性
【分類根拠】
(1)、(2) より、in vivo試験で陰性、一部のin vitro試験で陽性であったが、専門家判断に基づき、区分に該当しないとした。
【根拠データ】
(1) in vivoでは、マウスの骨髄細胞を用いた小核試験で陰性の報告がある (食品安全委員会 農薬評価書 (2017)、農薬抄録 (2017))。
(2) in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験、哺乳類培養細胞の染色体異常試験で陰性、哺乳類培養細胞のマウスリンフォーマ試験、ヒトリンパ球の染色体異常試験で陽性の報告がある (食品安全委員会 農薬評価書 (2017)、農薬抄録 (2017))。
発がん性
【分類根拠】
(1) の既存分類結果、及び (2)、(3) の実験動物における発がん性試験の結果より区分に該当しないとした。
【根拠データ】
(1) 国内外の分類機関による既存分類では、ACGIHでA4 (ACGIH (7th, 2019)) に分類されている。
(2) 本物質を雌雄のラットに2年間、マウスに18ヵ月混餌投与した発がん性試験で、投与に関連した腫瘍性病変の発生頻度の増加は認められなかった (食安委 農薬評価書 (2017))。
(3) 雌雄のラットに本物質を2年間混餌投与した試験でも発がん性の証拠は認められなかった (ACGIH (7th, 2019))。
生殖毒性
【分類根拠】
(1) より、親動物毒性用量において児動物の生存率低下がみられたことからガイダンスに従い区分2とした。
【根拠データ】
(1) ラットを用いた混餌投与による2世代繁殖試験において、親動物毒性 (体重増加抑制) がみられる用量で、児動物の生存率低下がみられた (食安委 農薬評価書 (2017))。
【参考データ等】
(2) 雌ラットの妊娠6~15日に強制経口投与した発生毒性試験において、母動物毒性 (振戦、虚脱、円背位、鼻汁、流涙) がみられる用量においても胎児に影響はみられていない (食安委 農薬評価書 (2017))。
(3) 雌ウサギの妊娠7~19日に強制経口投与した発生毒性試験において、母動物毒性 (死亡 (2/15例)、摂餌量減少) がみられる用量において、胎児に低体重がみられている (食安委 農薬評価書 (2017))。
(4) 雌ラットの妊娠6~哺育10日に強制経口投与した発達神経毒性試験において、母動物毒性 (振戦、体重増加抑制) がみられる用量において、胎児に体重増加抑制がみられたが、発達神経毒性はみられていない (食安委 農薬評価書 (2017))。