急性毒性
経口
【分類根拠】 (1) より、区分に該当しないとした。
【根拠データ】 (1) ラットのLD50: 雄: > 5,000 mg/kg (食安委 農薬評価書 (2017)、農薬抄録 (2018))
経皮
【分類根拠】 (1) より、区分に該当しないとした。
【根拠データ】 (1) ラットのLD50: > 5,000 mg/kg (食安委 農薬評価書 (2017)、農薬抄録 (2018))
吸入: ガス
【分類根拠】 GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。
吸入: 蒸気
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。
吸入: 粉じん及びミスト
【分類根拠】 (1) より、区分に該当しないとした。
【根拠データ】 (1) ラットのLC50 (鼻部ばく露、4時間): > 5.1 mg/L (食安委 農薬評価書 (2017)、農薬抄録 (2018))
皮膚腐食性及び皮膚刺激性
【分類根拠】 (1) より、区分に該当しないとした。
【根拠データ】 (1) ウサギを用いた皮膚刺激性試験において、刺激性は認められなかった (食安委 農薬評価書 (2017)、農薬抄録 (2018))。
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性
【分類根拠】 (1) より、区分に該当しないとした。
【根拠データ】 (1) ウサギを用いた眼刺激性試験において、適用24/48/72時間後の平均スコアは角膜混濁及び虹彩の平均スコアは全例 1未満、結膜発赤及び浮腫の平均スコアも全例 2未満であった。症状は適用72時間後までに消失し、本物質は軽微な刺激性(EPA の基準)又は刺激性なし(EEC の分類)と判定された (食安委 農薬評価書 (2017)、農薬抄録 (2018))。
呼吸器感作性
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。
皮膚感作性
【分類根拠】 (1) より、区分に該当しないとした。
【根拠データ】 (1) モルモットを用いた皮膚感作性試験(マキシマイゼーション法)で、感作性は認められなかった (食安委 農薬評価書 (2017)、農薬抄録 (2018))。
生殖細胞変異原性
【分類根拠】 (1)、(2)より、区分に該当しないとした。
【根拠データ】 (1) in vivoでは、マウス経口投与の骨髄細胞を用いた小核試験で陰性の報告がある (食安委 農薬評価書 (2017)、農薬抄録 (2018))。 (2) in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験で陰性、哺乳類培養細胞を用いた染色体異常試験、遺伝子突然変異試験で陰性の報告がある (食安委 農薬評価書 (2017)、農薬抄録 (2018))。
発がん性
【分類根拠】 (1)~(3) より、区分に該当しないとした。
【根拠データ】 (1) 国内外の分類機関による既存分類では、EPAでNL (Not Likely To Be Carcinogenic To Humans) (EPA Annual Cancer Report 2019 (Access on October 2020):2009年分類) に分類されている。 (2) 雌雄のラットに本物質を2年間混餌投与した慢性毒性/発がん性併合試験では、投与の影響によると考えられる腫瘍性病変の発生頻度の増加は認められなかった (食安委 農薬評価書 (2017))。 (3) 雌雄のマウスに本物質を18ヵ月間混餌投与した発がん性試験では、腫瘍性病変の発生頻度に検体投与の影響は認められなかった (食安委 農薬評価書 (2017))。
生殖毒性
【分類根拠】 (1)~(3) より、区分に該当しないとした。
【根拠データ】 (1) ラットを用いた混餌投与による2世代繁殖試験において、最高用量の20,000 ppm (P世代、雄: 1,200 mg/kg/day、雌: 1,590 mg/kg/day; F1世代、雄: 1,930 mg/kg/day、雌: 2,180 mg/kg/day) においても親動物毒性、児動物毒性、繁殖能に対する影響はみられていない (食安委 農薬評価書 (2017))。 (2) 雌ラットの妊娠6~20日に強制経口投与した発生毒性試験において、最高用量の1,000 mg/kg/dayにおいても母動物毒性、発生毒性はみられていない (食安委 農薬評価書 (2017))。 (3) 雌ウサギの妊娠7~28日に強制経口投与した発生毒性試験において、最高用量の1,000 mg/kg/dayにおいても母動物毒性、発生毒性はみられていない (食安委 農薬評価書 (2017))。
特定標的臓器毒性 (単回ばく露)
【分類根拠】 本物質のヒトでの急性ばく露影響に関する報告はない。実験動物では、(1)~(4) より、経口、経皮、吸入のいずれの経路の試験からも標的臓器を特定可能な所見は得られず、区分に該当しないとした。
【根拠データ】 (1) 雌ラットの単回経口投与試験において、5,000 mg/kg (区分2超) で、症状及び死亡例はみられなかった (食安委 農薬評価書 (2017))。 (2) ラットの単回経皮適用試験において、5,000 mg/kg (区分2超) で、症状及び死亡例はみられなかった (食安委 農薬評価書 (2017))。 (3) ラットの4時間吸入ばく露試験 (鼻部ばく露) において、5.1 mg/L (区分2超) で死亡例はなく、ばく露直後に雄で眼及び口に分泌物、雌で眼瞼閉鎖がみられたが、肉眼的病理検査では変化はみられなかった (食安委 農薬評価書 (2017)、農薬抄録(2018))。 (4) ラットを用いた強制経口による急性神経毒性試験 (0、200、700、2,000 mg/kg) において、死亡率、一般状態、体重変化、詳細な状態の観察、機能検査、剖検及び病理組織学的検査 (神経組織) のいずれにおいても、検体投与の影響は認められなかった (食安委 農薬評価書 (2017))。
特定標的臓器毒性 (反復ばく露)
【分類根拠】 本物質のヒトでの反復ばく露に関する報告はない。実験動物の経口及び経皮経路の試験では、(1)~(3) より、区分2までの用量で標的臓器を特定できる毒性所見がないことから、経口及び経皮経路では区分に該当しないと考えられる。しかし、吸入経路では十分な毒性情報がないことから、分類できないとした。
【根拠データ】 (1) マウスの18ヵ月間混餌投与試験で、7,000 ppm (雄/雌: 935/1,150 mg/kg/day、いずれも区分2超) の雄で肝絶対及び比重量増加、小葉中心性肝細胞肥大、肝臓の変異肝細胞 (好酸性細胞) の増加がみられたとの報告がある (食安委 農薬評価書 (2017)、JMPR (2008))。 (2) ラット、マウス及びイヌの90日~2年間混餌投与試験で、区分2までの用量で毒性所見がみられなかったとの報告が複数ある (食安委 農薬評価書 (2017)、JMPR (2008))。 (3) ラットの29日間経皮ばく露試験で、1,000 mg/kg/day (90日換算値: 320 mg/kg/day、区分2超) で体重増加抑制及び食餌効率の減少がみられたとの報告がある (食安委 農薬評価書 (2017))。
誤えん有害性*
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。
* JIS Z7252の改訂により吸引性呼吸器有害性から項目名が変更となった。本有害性クラスの内容に変更はない。