安全データシート

メチルカルバミン酸1-ナフチル

改訂日:2024-01-24版番号:1

1. 化学品及び会社情報

製品識別子

  • 製品名: メチルカルバミン酸1-ナフチル
  • CB番号: CB9417021
  • CAS: 63-25-2
  • EINECS番号: 200-555-0
  • 同義語: カルバリル

物質または混合物の関連する特定された用途、および推奨されない用途

  • 関連する特定用途: 農薬(殺虫剤)
  • 推奨されない用途: なし

会社ID

  • 会社名:Chemicalbook
  • 住所:北京市海淀区上地十街匯煌国際1号棟
  • 電話:400-158-6606

2. 危険有害性の要約

GHS分類

分類実施日(物化危険性及び健康有害性)
GHS改訂4版を使用
H31.3.15、政府向けGHS分類ガイダンス (H25年度改訂版 (ver1.1):JIS Z7252:2014準拠) を使用
物理化学的危険性
-
健康に対する有害性
特定標的臓器毒性 (反復ばく露)   区分1(神経系)
特定標的臓器毒性 (単回ばく露)   区分1(神経系)
発がん性   区分1B
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性   区分2B
急性毒性(吸入:粉じん及びミスト)   区分4
急性毒性(経口)   区分4
分類実施日(環境有害性)
環境に対する有害性はH18年度、GHS分類マニュアル(H18.2.10版)を使用
環境に対する有害性
水生環境有害性(急性)   区分1

2.2 注意書きも含むGHSラベル要素

絵表示
GHS07GHS08GHS09
注意喚起語
警告
危険有害性情報
H400 水生生物に非常に強い毒性。
H351 発がんのおそれの疑い。
H302 + H332 飲み込んだ場合や吸入した場合は有害。
注意書き
安全対策
P273 環境への放出を避けること。
P271 屋外又は換気の良い場所でだけ使用すること。
P270 この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P264 取扱い後は皮膚をよく洗うこと。
P261 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P202 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P201 使用前に取扱説明書を入手すること。
応急措置
P391 漏出物を回収すること。
P308 + P313 ばく露又はばく露の懸念がある場合:医師の診察/手当てを受けること。
P304 + P340 + P312 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し,呼吸しやすい姿勢で休息させること。 気分が悪いときは医師に連絡すること。
P301 + P312 + P330 飲み込んだ場合:気分が悪いときは医師に連絡すること。口をすすぐこと。
保管
P405 施錠して保管すること。
廃棄
P501 内容物/容器を承認された処理施設に廃棄すること。

2.3 他の危険有害性

なし

3. 組成及び成分情報

  • 化学物質・混合物の区別: 化学物質
  • 別名: 1-Naphthyl-N-methylcarbamate
  • 化学特性(示性式、構造式 等): C12H11NO2
  • 分子量: 201.22 g/mol
  • CAS番号: 63-25-2
  • EC番号: 200-555-0
  • 化審法官報公示番号: 4-387
  • 安衛法官報公示番号: -

4. 応急措置

4.1 必要な応急手当

一般的アドバイス
この安全データシートを担当医に見せる。
吸入した場合
吸入後は新鮮な空気を吸うこと。ただちに医師の診察を受けること。 呼吸停止時はただちに人工呼吸を実施し、必要に応じて酸素も吸入する。
皮膚に付着した場合
皮膚に接触した場合: すべての汚染された衣類を直ちに脱ぐこと。 皮膚を流水/シャワーで洗うこと。 医師に相談する。
眼に入った場合
眼に触れた後は多量の水ですすぐこと。 眼科医の診察を受けること。 コンタクトレンズをはずす。
飲み込んだ場合
飲み込んだ後はただちに水を飲ませること(多くても2杯) 医師に相談する。

4.2 急性症状及び遅発性症状の最も重要な徴候症状

もっとも重要な既知の徴候と症状は、ラベル表示(項目2.2を参照)および/または項目11に記載されている

4.3 緊急治療及び必要とされる特別処置の指示

データなし

5. 火災時の措置

5.1 消火剤

使ってはならない消火剤
本物質/混合物に対する消火剤の制限なし
適切な消火剤
水 泡 二酸化炭素(CO2) 粉末

5.2 特有の危険有害性

火災時に有害な燃焼ガスや蒸気を生じるおそれあり。
可燃性。
分解生成物の本質は不明である。

5.3 消防士へのアドバイス

自給式呼吸器がある場合のみ危険区域に留まってもよい。安全なゾーンまで離れるか適切な保護衣を着用して、皮膚に触れないようにすること。

5.4 詳細情報

ガス/蒸気/ミストを水スプレージェットで抑える(除去する)。 消火水が、地上水または地下水のシステムを汚染しないようにする。

6. 漏出時の措置

6.1 人体に対する注意事項、保護具及び緊急時措置

救急隊員以外への助言: ほこりを吸い込まないこと。 触れないようにすること。 十分な換気を確保する。 危険なエリアから避難し、緊急時手順に従い、専門家に相談のこと個人保護については項目 8 を参照する。

6.2 環境に対する注意事項

物質が排水施設に流れ込まないようにする。

6.3 封じ込め及び浄化の方法及び機材

排水溝に蓋をすること。こぼれたら集めて結合させ、ポンプですくい取る。 物質の制限があれば順守のこと (セクション 7、10参照) 乾燥剤で処置すること。正しく廃棄すること。関係エリアを清掃のこと。ほこりを生じないようにすること。

6.4 参照すべき他の項目

廃棄はセクション13を参照。

7. 取扱い及び保管上の注意

7.1 安全な取扱いのための予防措置

安全取扱注意事項
換気フードの下で作業すること。吸い込まないこと。
衛生対策
汚した衣類はただちに替えること。予防的な皮膚保護を講じること。本物質を取り扱った後は手と顔を洗うこと。注意事項は項目2.2を参照。

7.2 配合禁忌等を踏まえた保管条件

保管クラス
保管クラス (ドイツ) (TRGS 510): 6.1C: 可燃性、急性毒性カテゴリー3 / 毒性化合物または慢性効果を引き起こす化合物
保管条件
密閉のこと。 乾燥。 換気のよい場所で保管する。 鍵をかけておくか、資格のあるまたは認可された人のみが出入りできる場所に入れておく。

7.3 特定の最終用途

項目1.2に記載されている用途以外には、その他の特定の用途が定められていない

8. ばく露防止及び保護措置

8.1 管理濃度

コンポーネント別作業環境測定パラメータ
OEL-M: 5 mg/m3 - 日本産業衛生学会 許容濃度等の勧告
TWA: 0.5 mg/m3 - 米国。 ACGIH限界閾値(TLV)

8.2 曝露防止

適切な技術的管理
汚した衣類はただちに替えること。予防的な皮膚保護を講じること。本物質を取り扱った後は手と顔
を洗うこと。
保護具
眼/顔面の保護
NIOSH(US)またはEN 166(EU)などの適切な政府機関の規格で試験され、認められた眼の
保護具を使用する。 保護眼鏡
皮膚及び身体の保護具
本推奨は、当社発行の安全データシート,に記載されている製品およびその指定の使用法のみに
適用される。溶解、他の物質との混合、およびEN374に記載の逸脱条件での使用については、
CE認証手袋のサプライヤに問い合わせのこと(例. KCL GmbH, D-36124 Eichenzell, Internet:
www.kcl.de)
フルコンタクト
材質: ニトリルゴム
最小厚: 0.11 mm
破過時間: 480 min
試験物質:KCL 741 Dermatril® L
飛沫への接触
材質: ニトリルゴム
最小厚: 0.11 mm
破過時間: 480 min
試験物質:KCL 741 Dermatril® L
身体の保護
保護衣
呼吸用保護具
ほこりが生じた際に必要。
次の規格に準拠しているフィルター式呼吸器保護具を推奨します。DIN EN 143、DIN 14387お
よび使用済み呼吸器保護システムに関連する他の付属規格。
環境暴露の制御
物質が排水施設に流れ込まないようにする。

9. 物理的及び化学的性質

物理的状態

形状
固体(結晶)
無色、黄白色
臭い
弱いにおい
臭いのしきい(閾)値
情報なし
pH
情報なし

融点・凝固点

145 ℃(HODOC (1989)、SRC) 142 ℃(ICSC (2004)、Merck (2013)、SAX'S (2000)、安全性データブック (1997))

沸点、初留点及び沸騰範囲

315 ℃(SRC)

引火点

193~202 ℃(ICSC (2004)) 吸収剤でのみ燃焼。(ホンメル (1996)) 不燃性(Weiss (1986))

蒸発速度(酢酸ブチル=1)

情報なし

燃焼性(固体、気体)

情報なし

燃焼又は爆発範囲

情報なし

蒸気圧

<4×10-5 mmHg(25 ℃)(Merck (2013)) <0.013 kPa(25 ℃)(安全性データブック (1997))

蒸気密度

情報なし

比重(相対密度)

1.232(20℃/20℃)(Merck (2013))

溶解度

水: 110 mg/L(22 ℃、実測値)(SRC) 水: 120 mg/L(30 ℃)(Merck (2013)) その他の情報: DMF、アセトンに適度に溶ける(Merck (2013))

n-オクタノール/水分配係数

log Kow = 2.36(実測値)(SRC、安全性データブック (1997)) log Kow = 1.59(ICSC (2004))

自然発火温度

不燃性(Weiss (1986))

分解温度

情報なし

粘度(粘性率)

情報なし

10. 安定性及び反応性

10.1 反応性

通常想定される。
可燃性有機物質及び製剤に概ね該当:微細に分散し、舞い上がった場合、粉じん爆発を起こす可能性が

10.2 化学的安定性

標準的な大気条件(室温)で化学的に安定。

10.3 危険有害反応可能性

データなし

10.4 避けるべき条件

情報なし

10.5 混触危険物質

強酸化剤

10.6 危険有害な分解生成物

火災の場合:項目5を参照

11. 有害性情報

急性毒性

経口
【分類根拠】 本物質は専門家判断に基づき、範囲ではなく個別の試験データが記載されている(1)、(2)のEPA Pesticede及びEFSAのLD50値を優先的に採用し、区分4とした。
【根拠データ】 (1)ラットのLD50値:302.6 mg/kg(雄)、311.5 mg/kg(雌)(EPA Pesticide(2004)) (2)ラットのLD50値:614 mg/kg(EFSA(2006))
【参考データ等】 (3)ラットのLD50値:220-720 mg/kg(JMPR 167(2001)) (4)ラットのLD50値:200–850 mg/kg(Canada(2009)) (5)22件のLD50値(EHC 153(1994)、IARC 12(1987)、産衛学会勧告(1989)、ACGIH(7th, 2007 ))の報告がある。
経皮
【分類根拠】 (1)~(3)より、区分外(国連分類基準の区分5又は区分外に相当)とした。新たな情報源の使用により、旧分類から区分を変更した。
【根拠データ】 (1)ラットのLD50値:> 4,000 mg/kg(産衛学会勧告(1989)、ACGIH(7th, 2008)、EHC 153(1994)、Canada(2009)) (2)ラットのLD50値:> 2,000 mg/kg(JMPR 167(2001)) (3)ウサギのLD50値:> 2,000 mg/kg(EPA Pesticide(2004)、EHC 153(1994)、Canada(2009))
吸入:ガス
【分類根拠】 GHSの定義における固体である。
吸入:蒸気
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。なお、本物質の蒸気圧は非常に低いため(<0.005Pa(25℃)(Merck))、旧分類に記載されているデータは、ミストによる試験と考えられる。
吸入:粉じん及びミスト
【分類根拠】 (1)、(2)より、区分4とした。
【根拠データ】 (1)ラットのLC50値:2.43 mg/L(雌)(4時間)((食品安全委員会 農薬評価書(2018)、EFSA(2006)) (2)ラットのLC50値:>3.4 mg/L(4時間、3.4 mg/Lで2/5例が死亡)(EPA Pesticide(2004)、Canada(2009))
【参考データ等】 (3)ラットのLC50値:>4.26 mg/L(雄)(ばく露時間不明)((食品安全委員会 農薬評価書(2018)) (4)ラットに本物質エアロゾル0.792 mg/Lの4時間ばく露で雌1/5例が死亡したとの報告がある(EHC 153(1994))。

皮膚腐食性及び皮膚刺激性

【分類根拠】 (1)、(2)より、区分外とした。なお、一過性の紅斑が見られたとの報告(3)もあるが、ばく露時間及び観察期間が不明であり、分類判断には用いなかった。分類区分は分類JIS(JIS Z7252)に準拠することになったため、旧分類の区分3を区分外に変更した。
【根拠データ】 (1)ヒトへのばく露では、比較対照試験において皮膚刺激性を示さなかったとの報告がある(ACGIH(2007))。 (2)ウサギを用いた皮膚刺激性試験で刺激性を示さなかったとの報告がある(EPA Pesticide(2004))。
【参考データ等】 (3)ウサギを用いた皮膚刺激性試験で一過性の紅斑が見られたとの報告がある(EHC(1994))。

眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性

【分類根拠】 (1)、(2)より、回復性のある弱い刺激性を有すると判断し、区分2Bとした。
【根拠データ】 (1)ヒトで軽度の眼瞼浮腫と角膜刺激が見られたが回復は速やかであったとの報告がある(PIM 147(1997))。 (2)ウサギを用いた眼刺激性試験(溶液濃度別に4件)において、損傷なし(25%溶液)、1/5例で軽度の損傷(10%溶液)、結膜に刺激性が発生したが2日後に回復(原液)、6/6例で結膜刺激と2/6例で一過性虹彩炎が発生したが3日後に回復(43.4%溶液)したとの報告がある(EHC 153(1994))。

呼吸器感作性

【分類根拠】 データ不足のため分類できない。

皮膚感作性

【分類根拠】 本物質は皮膚感作性を示さないことを示唆する動物試験データ(2)~(4)も得られているが、皮膚感作性を示唆するヒトデータ(1)もあり、感作性の有無を判断できる十分な証拠が得られておらず、分類できないとした。
【参考データ等】 (1)ヒトへの偶発的なばく露によって皮膚発疹が観察されたとの報告がある(IPCS PIM 147(Accessed Jul. 2018))。 (2)モルモットを用いた皮膚感作性試験で本物質(0.25%メチルセルロース溶液)を適用したところ、皮膚感作性は見られなかったとの報告がある(EHC 153(1994))。 (3)複数の動物試験において皮膚感作性は見られなかったとの報告がある(IPCS PIM 147(Accessed Jul. 2018))。 (4)本物質は皮膚感作性を示さないとの報告がある(EPA Pesticide(2004))。

生殖細胞変異原性

【分類根拠】 (1)、(2)より、ガイダンスに従い分類できないとした。
【根拠データ】 (1)In vivoでは、マウスの優性致死試験、マウスの骨髄細胞を用いた小核試験、ラット及びハムスターの骨髄を用いた染色体異常試験で陰性である(EHC 153(1994)、食品安全委員会 農薬評価書(2018))。 (2)In vitroでは、細菌を用いた復帰突然変異試験で陰性(一部陽性あり)、枯草菌を用いたDNA修復試験で陰性、哺乳類培養細胞を用いた遺伝子突然変異試験で陰性、同染色体異常試験及び姉妹染色分体交換試験で陽性の報告がある(Health Canada(2009)、EFSA(2006)、EHC 153(1994)、食品安全委員会 農薬評価書(2018))。

発がん性

【分類根拠】 発がん性に関して、利用可能なヒトを対象とした報告はない。 (1)~(3)より、既存分類はなされているものの、動物2種で多臓器で悪性腫瘍が認められていることを踏まえ、区分1Bとした。
【根拠データ】 (1)マウスに本物質100~8,000 ppmを2年間混餌投与した発がん性試験で、1,000 ppm以上の雄で肝臓及び脾臓の血管肉腫、腎臓では8,000 ppmの雄で尿細管腫瘍、肝臓では8,000 ppmの雌で肝細胞腫瘍の有意な増加が認められた(JMPR(2001)、食品安全委員会 農薬評価書(2018))。 (2)ラットに本物質250~7,500 ppmを2年間混餌投与した発がん性試験では、7,500 ppmの雌雄で膀胱の移行上皮乳頭腫及び移行上皮がん、雄で甲状腺の濾胞細胞腺腫の有意な増加が認められた(JMPR(2001)、食品安全委員会 農薬評価書(2018))。 (3)既存分類では、IARCはグループ3(IARC Suppl. 7(1987))、ACGIHはA4(ACGIH(7th, 2008))、EU CLPはCarc. 2、EPA OPP RED(Office of Pestcide Program, Reregistration Eligibility Dec.ision(2008))はL(Likely to be carcinogenic to humans)に分類している。

生殖毒性

【分類根拠】 (1)より、ラットを用いた2世代繁殖毒性試験では、児動物の生存率低下が認められたが統計的な有意差は見られていない。(2)の発生毒性試験の結果でも催奇形性はみられていない。JMPRは各世代ともに親動物の生殖能及び児動物への影響はみられず、本物質は生殖能へ悪影響を及ぼさないと結論付けている(JMPR(2001))が、既知見からは区分を付与すべき明確な根拠は得られず、分類できないとした。
【根拠データ】 (1)ラットを用いた経口経路(混餌)による2世代繁殖毒性試験では、親動物は300 ppm以上の雄、及び1,500 ppmの雌の投与群に体重増加抑制等が認められた(JMPR(2001))。F1児動物は300 ppm以上の投与群に生存率低下が認められたが、統計的な有意差はない(JMPR(2001)、食品安全委員会 農薬評価書(2018))、(JMPR(2001))。 (2)妊娠6~20日のラットに強制経口投与した発生毒性試験では、30mg/kg/dayの投与により母動物に体重増加抑制や流涎、30mg/kg/dayの投与により胎児に低体重や未骨化が認められたが、催奇形性はみられていない(JMPR(2001))。

特定標的臓器毒性(単回ばく露)

【分類根拠】 (1)~(2)のヒトの知見に基づき、区分1(神経系)とした。
【根拠データ】 (1)本物質はヒトでコリンエステラーゼ活性を阻害し、神経系を過剰刺激し、吐き気、めまい、錯乱をきたし、高用量ばく露では呼吸麻痺を生じ死亡に至ると記述されている(EPA Pesticide(2004))。 (2)ヒトで本物質250 mg/kgを経口摂取した症例において20分後に上腹部痛及び大量の発汗を生じたとの報告があるほか、本物質420 mg/kgを経口摂取した症例においては、85分後に視覚障害、虚弱、大量の発汗、頭痛を生じたとの報告がある(EHC 153(1994))。 (3)ラットに10-125mg/kgを経口投与した単回経口ばく露させた急性神経毒性試験において、区分1の範囲の125mg/kgの投与群で振戦、運動失調、歩行不良、自発運動量減少、覚醒レベル低下等の症状が見られたとの報告がある(JMPR(2001))。

特定標的臓器毒性(反復ばく露)

【分類根拠】 (1)、(2)より、区分1(神経系)とした。なお、腎臓についてはヒトの症例があるが一例のみであること、肝臓および腎臓については、(5)の食品安全委員会の報告を優先し、実験動物で区分2以下の用量では影響がみられなかったとの報告があることから標的臓器から除外した。
【根拠データ】 (1)本物質の10%製剤に8ヵ月間吸入ばく露された75歳男性がコリンエステラーゼ阻害作用に関連した症状を発症したとの報告(EHC 153(1994))があり、この症状はHSDBによれば頭痛、記憶障害、筋肉虚弱、筋肉の線維束性筋収縮、食欲不振、体重減少で、ばく露の終了により主症状は改善したと記述されている(HSDB(Accessed Jul. 2018))。 (2)本物質が慢性的な神経系又は精神的障害の原因となったみられる5つの症例報告があるとの記述がある(EPA Pesticide(2004)(IRED))。
【参考データ等】 (3)ヒトボランティアに本物質を0.06又は0.13 mg/kg/dayで6週間経口摂取させた結果、高用量群で尿中アミノ態窒素のクレアチニン比の上昇がみられ、近位曲尿細管におけるアミノ酸の再吸収阻害の可能性が示唆されたとの報告がある(EHC 153(1994)、産衛学会許容濃度の提案理由書(1989)、IPCS PIM147(Accessed Jul. 2018))。 (4)ラットに2年間混餌投与した試験において、400 ppm(15.6 mg/kg/day、区分2の範囲)投与群で腎尿細管のびまん性混濁腫脹(1年間の中間屠殺時、及び2年間投与終了時)、及び肝細胞索の混濁腫脹(2年間投与終了時)の頻度増加が認められた(IRIS(1987))。 (5)ラットに250~7,500 ppmを2年間混餌投与した試験においては、区分2超の7,500 ppm(ガイダンス値換算:350(雄)、485(雌) mg/kg/day)以上において、肝細胞肥大および腎盂上皮過形成、膀胱の移行上皮過形成、移行上皮乳頭腫、甲状腺の濾胞細胞肥大、濾胞細胞腺腫(雄のみ)がみられたが、区分2の範囲の1,500 ppm(ガイダンス値換算:60.2(雄)、78.6(雌) mg/kg/day)では有意差がなかったとの報告がある(食品安全委員会 農薬評価書(2018))。

吸引性呼吸器有害性

【分類根拠】 データ不足のため分類できない。

12. 環境影響情報

12.1 生態毒性

魚毒性
LC50 - Oncorhynchus mykiss (ニジマス) - 0.8 mg/l - 96 h
備考: (ECOTOX データベース)
ミジンコ等の水生無脊
固定化 EC50 - Daphnia magna (オオミジンコ) - 0.008 mg/l - 48 h
椎動物に対する毒性
備考: (ECOTOX データベース)

12.2 残留性・分解性

データなし

12.3 生体蓄積性

生物濃縮因子(BCF): 34
- 43 μg/l(1-ナフチルメチルカルバメート)
生体蓄積性 Leuciscus idus melanotus - 3 d

12.4 土壌中の移動性

データなし

12.5 PBT および vPvB の評価結果

化学物質安全性評価が必要ではない/行っていないため、PBT/vPvB評価データはない。

13. 廃棄上の注意

13.1 廃棄物処理方法

製品
内容物及び容器は、関連法規及び各自治体の条例等の規制に従い、産業廃棄物として適切に処理すること。

14. 輸送上の注意

14.1 国連番号

ADR/RID (陸上規制): 2811    IMDG (海上規制): 2811    IATA-DGR (航空規制): 2811

14.2 国連輸送名

IATA-DGR (航空規制): Toxic solid, organic, n.o.s. (1-Naphthyl methylcarbamate)
IMDG (海上規制): TOXIC SOLID, ORGANIC, N.O.S. (1-Naphthyl methylcarbamate)
ADR/RID (陸上規制): TOXIC SOLID, ORGANIC, N.O.S. (1-ナフチルメチルカルバメート)

14.3 輸送危険有害性クラス

ADR/RID (陸上規制): 6.1    IMDG (海上規制): 6.1    IATA-DGR (航空規制): 6.1

14.4 容器等級

ADR/RID (陸上規制): III IMDG (海上規制): III IATA-DGR (航空規制): III

14.5 環境危険有害性

ADR/RID: 該当 IMDG 海洋汚染物質(該当・非該当): IATA-DGR (航空規制): 非該当
該当

14.6 特別の安全対策

なし

14.7 混触危険物質

強酸化剤

15. 適用法令

労働安全衛生法

名称等を表示し、又は通知すべき危険物及び有害物(法第57条、施行令第17条別表第3第1号並びに施行令第18条及び第18条の2別表第9)

化学物質排出把握管理促進法 (PRTR法)

第一種指定化学物質(法第2条第2項、施行令第1条別表第1)

毒物及び劇物取締法

劇物(法別表第2)/劇物(指定令第2条)

大気汚染防止法

有害大気汚染物質(中央環境審議会第9次答申)

16. その他の情報

略語と頭字語

TWA: 時間加重平均
STEL: 短期暴露限度
RID: 鉄道による危険物の国際運送に関する規則
LD50: 致死量 50%
LC50: 致死濃度 50%
IMDG: 国際海上危険物
IATA:国際航空運送協会
EC50: 有効濃度 50%
CAS: ケミカルアブストラクトサービス
ADR: 道路による危険物の国際輸送に関する欧州協定

参考文献

【1】労働安全衛生法 ウェブサイト https://www.mhlw.go.jp
【2】化学物質審査規制法(化審法)https://www.env.go.jp
【3】化学物質排出把握管理促進法(PRTR法) https://www.chemicoco.env.go.jp
【4】NITE化学物質総合情報提供システム (NITE-CHRIP)https://www.nite.go.jp/
【5】カメオケミカルズ公式サイト http://cameochemicals.noaa.gov/search/simple
【6】ChemIDplus、ウェブサイト http://chem.sis.nlm.nih.gov/chemidplus/chemidlite.jsp
【7】ECHA - 欧州化学物質庁、ウェブサイト https://echa.europa.eu/
【8】eChemPortal - OECD 化学物質情報グローバルポータル、ウェブサイトhttp://www.echemportal.org/echemportal/index?pageID=0&request_locale=en
【9】ERG - 米国運輸省による緊急対応ガイドブック、ウェブサイトhttp://www.phmsa.dot.gov/hazmat/library/erg
【10】有害物質に関するドイツ GESTIS データベース、ウェブサイトhttp://www.dguv.de/ifa/gestis/gestis-stoffdatenbank/index-2.jsp
【11】HSDB - 有害物質データバンク、ウェブサイト https://toxnet.nlm.nih.gov/newtoxnet/hsdb.htm
【12】IARC - 国際がん研究機関、ウェブサイト http://www.iarc.fr/
【13】IPCS - The International Chemical Safety Cards (ICSC)、ウェブサイトhttp://www.ilo.org/dyn/icsc/showcard.home
【14】Sigma-Aldrich、ウェブサイト https://www.sigmaaldrich.com/
免責事項:

本MSDS中の情報は指定された製品にのみ適用され、特に規定がない限り、本製品とその他の物質の混合物には適用されません。本MSDSは、製品使用者の適切な専門的なトレーニングを受けた者にのみ製品安全情報を提供します。本MSDSの使用者は、本SDSの適用性について独自に判断しなければならない。本MSDSの著者は、本MSDSの使用によるいかなる傷害にも責任を負わない。

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1-[N-プロピル-N-[2-(2,4,6-トリクロロフェノキシ)エチル]カルバモイル]-1H-イミダゾール SDS アントラニル酸メチル SDS N-アセチル-L-システイン SDS 4-アミノ安息香酸 SDS カルバミン酸エチル SDS アリザリン SDS 1-(1-ナフチル)-2-チオ尿素 SDS 2-(2,4-ジクロロフェノキシ)プロピオン酸 SDS 2-(アセチルアミノ)-4-O-β-D-ガラクトピラノシル-2-デオキシ-D-グルコピラノース SDS メチルカルバミン酸1-ナフチル SDS