急性毒性
経口
ラットを用いた経口投与試験のLD50値 540 mg/kg、613 mg/kg(IUCLID(2000))より、区分4とした。
経皮
ウサギを用いた経皮投与試験のLD50値は3,096 mg/kg、6,730 mg/kg(IUCLID(2000))との記述があり、低値3,098 mg/kgは国連GHS急性毒性区分5に該当するが、国内では不採用区分につき、区分外とした。
吸入
吸入(蒸気): IUCLID(2000)にラットを用いた4時間吸入ばく露試験のLC50値が0.311-0.686 mg/L(90.4-199 ppm)、0.94 mg/L(274 ppm)、0.82 mg/L(238 ppm)(IUCLID(2000))等の記述と、ラットを用いた1時間吸入ばく露試験のLC50値が551 ppmの記述がある。本物質の飽和蒸気圧濃度9,860 ppm(20℃)から、気体基準を適用すると、1時間ばく露の4時間換算LC50値は275 ppmである。これらのデータは区分1または区分2の範囲内であるが、区分2に該当するデータが多いことから、区分2とした。
なお、EU分類はXn; R20(EU-Annex I)である。
吸入(ミスト): データがないので分類できない。
吸入(ガス): GHS定義上の液体であるため、ガスでの吸入は想定されず、分類対象外とした。
皮膚腐食性・刺激性
ウサギを用いた試験で「4.9 Draize units」(IUCLID(2000))の記述があり、引用文献(Ind. Hyg. Found. Am. Chem. Toxicol. Ser. Bull. 6 (1967))を調査したところ「moderate irritation」に該当することから、区分2とした。
なお、RTECS(2006)にウサギを用いた24時間Draize試験で「moderate」と、ウサギを用いた試験で「mild」の記述がある。また、ヒトへの影響として、「corrosive、severeな眼、皮膚の熱傷」(HSDB(2003))の記述がある。
眼に対する重篤な損傷・刺激性
ウサギを用いた試験で「結膜、虹彩、角膜のDraizeスコアは24 時間後:20/20, 5/10, 70/80、48 時間後:20/20, 5/10, 70/80、72時間後:20/20, 5/10, 60/80」(IUCLID(2000))の記述より、処置後24、48、72時間のAOIが95/110、95/110、85/110と推定されることから、区分1とした。
なお、HSDB(2003)にヒトへの影響として、「corrosive、severeな眼、皮膚の熱傷」の記述がある。
呼吸器感作性又は皮膚感作性
皮膚感作性:データがないので分類できない。
呼吸器感作性:データがないので分類できない。
生殖細胞変異原性
in vivo試験データがないので分類できない。
なお、ネズミチフス菌を用いたAmes試験で「陽性」(IUCLID(2000))の記述がある。
発がん性
雄マウスを用いた経皮投与試験、雌マウスを用いた別の経皮投与試験で、それぞれ「試験期間中、腫瘍はみられなかった」(IUCLID(2000))旨の記述があるが、雌雄ラットを用いた試験データがなく、主要な国際的評価機関による評価もなされていないため、分類できない。
生殖毒性
HSDB(2003)に「動物実験とヒトへのばく露で胎児毒性はみられなかった」旨の記述があるが、データ不足のため分類できない。